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Buen Camino 2022 あなたも巡礼に出かけてみませんか? ⑰

(17)「レオンの大聖堂」

  8/31(水)第13日、曇り、11℃
 まだ暗い中、物音を立てないように準備をして静かに宿を出ると、村からの道は緩い上りになる。まだ眠っている住宅地を抜けて行くと、やがて店舗が並ぶ国道に沿って行く。レオンに近づいているのがわかる。少し寒いのでダウンを着た。
 BC1世紀にローマによって建設されたレオンLeonは、イスラーム勢力との抗争などを経て大きな町に成長した。中心部になかなか近づかない。それでも、予想通り昼前に着いた。
 案の定、ここも大きな壁で囲まれた町であり、ここから旧市街に入る。壁の様子から見ても、パンプローナに比べるとこちらの方が古いようだ。

分厚い壁

 市街の道はすべてが曲がりくねっており、それとは別に毛細血管のような細くて短い路地が無数に絡まっている。目印になる構造物がないので、よほど慣れないと、自分がどこにいるのかわからない構造になっている。これも軍事上・防御上の目的からであろうか。まあ、上の方を目指していけばどうにかなるだろうと見当をつける。ここでもアプリが頼りで、これがないと、どう進んでいいのか全くわからない。

 門前町のような、土産物店やレストランが軒を連ねて並ぶ坂道を登り詰めたところが広場になっており、大勢の観光客で溢れていた。そして、そこに人々を圧するかのように巨大な聖堂(写真)がそびえ立っていた。

大聖堂

 入場料(65歳以上は割引)を払って中に入ると、ステンドグラスが光を通して美しい模様を浮かび上がらせている。ただ、微に入り細に入った技巧を凝らした装飾がなされていたが、芸術的には見るべきものはないように感じた(これは私の個人的な感想で、解説を聞けば、そんな無茶なことは言えなかったのかも?)。

内部を照らすステンドグラス

 十字架で死んだわが子のイエス・キリストを膝に抱くマリアを描いたピエタ像があったが、バチカンのミケランジェロのそれを見た者には、表現は稚拙で物足りない。

ピエタ

 そして、それらから感じたのは、宗教と権力の結びつきであった。表面的には、イエス・キリストの十字架と神への従順が強調されているが、その陰に権力の存在を感じたのは、私だけであろうか。

 聖堂の見学が終わって、下の広場に設置された市場でぶどうを買い、食事を済ませた。次は宿探しであるが、ここでつまずいた。宿が見つからないのだ。アプリにはアルベルゲなどの宿の情報も入っていて、大きな町なので無数に表示されていて、簡単に探せるだろうと楽観していたが、期待は見事に裏切られた。表示された場所に行っても、目当ての宿が存在しないのだ。それが何度も、である。
 これは私の勝手な想像であるが、そこにコロナの影響を見たような気がした。コロナで観光客や巡礼が激減したことで、資本力が乏しい、小さな宿の経営が圧迫され、多くが休業や廃業に追い込まれたのではないだろうか。ちなみに、高いホテルなら探す苦労はいらない。なお、スペインではCOVID-19の流行で、10万人以上が亡くなって、厳しいロックダウンが行われた。

 他にも宿を探したが、結局、宿を見つけることができず時間を浪費し、午前中に見かけたサンタ・マリア修道会が経営するアルベルゲ(8€、1,120円)を、記憶を頼りに探し当てた。安い代わりに施設の内容は贅沢は言えない。こんな宿でも決まるとホッとする。それも、すぐに満員になった。シャワーを浴び、洗濯物を洗って干し、家族やFBに載せる記事を書いた。

 夕食は、近くのスーパーで買ったフランスパンに、ソーセージとチーズを挟んで、コーラで食べた。K先生から、コロナ検査の結果が陰性で、明日、日本に帰ることになったという連絡が入った。良かった。
 今日で8月が終わるが、私の旅はまだ続く。(12.6km、36,315歩)

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