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富士五湖ウルトラマラソンに出てみた

noteを始めたのは2年前のステイホームGWで、以後2年間一度も記事書いてなかった。ずぼらな私はGWくらいまとまった時間がないとなかなか長い文章を書かない。だが先月に初めて出場したチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンについて顛末を書くには、距離が長いだけにそれなりの長さを要するので通常のfacebookやインスタ投稿ではなくnoteに書いてみる。

エントリーしたきっかけ

私がマラソン始めたのは8年ほど前、以来フルマラソンも年1~2回ペースで出場してきた。最初はサブフォー(4時間切り)を目標に、それが達成されたら次は3.45目指してみたものの、加齢とともにそんなに甘いものではない。COVID-19パンデミックが始まった2020年シーズンからはエントリーした大会も軒並み中止。大会を目標にすることで練習のモチベーションを保ってきた私としては冬場サボってしまいがち。今年もそうなるかなと思っていた昨年末あたり、4月開催のチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンのエントリー告知を目にした。この大会は私のトライアスロン仲間も完走したことあったし、別のサロマ湖ウルトラマラソンに出場した人もいる。アラカンの年齢(57才)の私にとってはウルトラ走れるのは今のうち、4月ならコロナ第6波も収まるかもしれないし、行ってみたかった桜の季節の富士五湖でもあるので、深く考えずにポチっとエントリーしてしまった

ちなみにウルトラマラソンというのは42.195kmのフルマラソンを超える距離を走るもので距離はまちまちだが、100kmと言うのが一つの節目、さらに24時間走り続ける大会もある。ランナーでない一般の人にとっては、日テレ24時間テレビでタレントが走る100kmマラソンくらいしか見たことがなく、高いエントリー費用と旅費を払ってまで丸一日走ろうと思うものではないだろう(私も数年前まではそう思った)。私が今回エントリーしたのは本栖湖を除く4Lakes 100kmコース(制限時間14時間)。さらに上には5Lakes 118km(制限時間15時間)というコースもあるが、初ウルトラマラソンでそれは無謀とみた(結果は正解)。

富士五湖ウルトラマラソンのコースマップ

事前練習とペース目論見

通常フルマラソン前ならサブフォーのために5:30/kmで走るペース走やら、スピードをつけるための坂ダッシュやビルドアップ走などやるのだけど、ウルトラ向けはゆっくり長く走り続けるLSD走 (Long Slow Distance)を多めに練習したくらい。1月から3月まで毎月1回ずつのLSD走と趣味のトレラン(トレイルランニング)をノルマとして、月間走行距離150km前後程度しか練習してない。つまり一度も50kmを超えた距離を走らないまま本番を迎えた。

1~3月のLSD走の記録。自宅の吉祥寺起点に皇居往復したり国分寺府中を回ったり
飽きないように歴史探訪やお花見をテーマにのんびりと

ウルトラマラソンの完走タイムはブログなど見るとフルマラソンの3倍くらい、富士五湖ウルトラマラソンはアップダウンがあるからそれに30分ほど足せばよいという記事をみて、4時間×3+30分=12時間30分くらいで走れるものと勝手に思い込んで本番に臨んだ。もちろん現実はそんなに甘くなかった。

前日下見ライド

大会前日の土曜日は朝方まで雨模様だったが急速に天気が回復する予報をみて、お昼すぎには河口湖入りし大会会場の富士北麓公園に到着。翌日の天気予報では雲が出そうなので、ロードバイク乗りでもある私としては、富士五湖と桜の絶景はチャリで下見しておかねば。北麓公園の駐車場に車を停めて、チャリでFuji3Lakesコースの下見へ。

大会前日下見ライド:精進湖キャンプ場側から見た富士山、桜とミツバツツジ

山中湖行かない3Lakesコースも67kmあり、3時間ちょっとのゆるゆるサイクリングとは言え脚が削られる。最後の富士北麓公園に登る斜度6~7%が3km以上続く「ステラ坂」は自転車でもノロノロ。でも天気はどんどん回復して、富士山がくっきり見えてた。

富士北麓公園でマラソン会場設営中

夕方5時が迫ってたけど、河口湖で富士山が見えるということは、海外観光客に人気の「新倉山浅間公園」に行かなくては(笑)。五重塔と富士山と桜がいっぺんに見れるということで、ミシュランガイドの表紙になった景色。新倉山は山だから階段を登らないと絶景は見れず、また脚を削ってしまったのは間違いないけど、夕刻の富士山がくっきり。観光客用の展望デッキがこの春から完成しており、写真も撮りやすくなっている。

新倉山浅間公園の新展望デッキは階段状になっているので頭越しに写真撮れます

会場から車で30分ほど離れたホテルに戻り、道具の確認。ゼッケン番号の横に赤いリボン。これはfacebookの富士完:富士五湖ウルトラマラソンに出て、全員で完走しよう!!というグループメンバーの証で、これを付けていると「富士完がんばれ~」と声援がもらえる。翌日の天気予報は雲が多めだけど暑くなさそうなのはマラソンにとって吉のはず(だった)。

ポケットが多いサイクルジャージに補給食など入れて
コロナ禍でマイボトル・マイカップ持参義務付けられウェストポーチ
実はここに登場していないレインウェアが本番で活躍

スタートまでのバタバタ

4Lakes 100kmコース第2組のスタートは朝5:10。3時には目覚めて人生初のPCR検査キットを使ってみる。コロナ禍の開催のためということでキットを1500円の代引きで送られてきて、当日朝検査してメールで提出ということなので一生懸命やってみたのだけど、30分経っても陰性とも陽性ともよくわからない状態。えいやっと写真撮って結果を大会本部に送ったりしているうちに4時を回り、ホテルを出てみたらまさかの冷たい雨!天気予報で雨なんて聞いてないから。
クルマを富士急ハイランドの駐車場に停めて、北麓公園までのシャトルバスに乗りかえ、会場についたときはもうスタート20分前。全体で約4,000人も参加する大会を甘く見てた。

すでに4:30スタートの5 Lakesコースの人たちはスタート済み

健康管理アプリの画面を見せたり荷物を預けたりバタバタしている中で、リュックに入っていたレインウェアをウィンドブレーカーと交換。雨仕様スタイルで100km第2組スタートの列の最後尾へ。すでに私の組の先頭はスタートしており、一度も止まることなくスタートラインを通過。

スタートラインを通過します

前半戦(山中湖~河口湖)

最初は山中湖に向かって下り基調。雨も止んでひんやりした空気の中、はやる気持ちを押さえて6:30/km以上のペースにならないように淡々と走る。

山中湖畔。晴れていれば富士山と桜のコラボレーションだったはず…

山中湖から花の都公園へ緩やかに下り、そこからスタート地点の富士北麓公園へ長い坂を登ってから、今度は河口湖方面に坂を一気に下る。この辺りで40kmくらい。まだ余裕のはずが、長い坂の登りと下りでだいぶ脚に負荷かけてしまったみたいで重くなってきた。

長い河口湖も後半

河口湖畔は桜まつりやっていて観光客の間を淡々とランナーが通過。ウルトラマラソンは友人同士や夫婦で並走しながら会話する人も多い。50kmの通過タイムは5時間53分台でほぼ目論見通り、残り半分同じペースで走れるとは思わなかったが、12時間半くらいでゴールできるものとまだ思っていた。

後半戦(西湖~精進湖~ゴール)

河口湖過ぎて西湖への上り坂にある足和田出張所のエイド(56km)地点についたときには「足が棒」状態。特に膝の裏が突っ張る感覚で、足の曲げ伸ばし可動域が狭くなってきた。脚つり防止の「2RUN(ツーラン)」やらMag-Onジェルを入れながらだましだまし西湖への坂を半分歩いて登る。上り坂は走っても歩いてもそれほどタイム変わらず、実は歩いたほうがそのあと楽だということにやっと気づいてきた。

西湖の西端まで来ました 約60km地点

西湖から精進湖へはさらに坂を登る。もはや歩く割合がだいぶ増えてきて9分/kmペース。62.6km地点のエイドで名物「吉田うどん」をいただきゆっくり腰を下ろす。この頃からエイドで止まると次に走り出すときに足が前に出ないという現象に見舞われたが、周りのランナーを見るとみんなそんな感じ。体が走り出すのを拒否している状態なのか?

前日の下見で富士山がきれいに見えた精進湖のキャンプ場あたりのミツバツツジ

精進湖回って西湖に戻ってきたときには「足が棒」状態はさらにひどくなって、足が前に出ない。キロ8~9分台の歩くようなペースで進むようになった。ロキソニンを持っていたことを思い出して飲んでみたが急に効くわけもなく、先にスタートして本栖湖まで行った5Lakesコースのランナーが元気に私を追い越していく。12時間台のゴールはもはや夢のまた夢へ。

80km地点を越えて河口湖に戻ってくると、応援も増えてきて「富士完ガンバレ」とか「あと20kmしか無いよ~、楽しまないとすぐ終わっちゃうよ~」みたいな応援に、変態の祭典だな~と笑いがもれつつ元気をもらう。
残り5kmからの北麓公園に登る「ステラ坂」についたときは小雨が降りしきり薄暗くなる中をお互いに励まし合いながら一生懸命速足歩き。
登り切って最後の2kmを走り始めた時、体の中の何かのスイッチが切り替わった。足の痛みが気にならなくなって急に走れるようになり、前のランナーを今度はガンガン追い越し始めた。スタジアムの明かりが見えて遠くからZARDの「負けないで」の曲が聞こえてきたら元気百倍、24時間テレビの武道館に帰ってきたランナーの気分。幸せな気持ちがこみ上げるランナーズハイ状態でラスト1kmは本日最速の6:16で走ってゴール。ゴールタイムはNETで13時間27分45秒。

ゴールした直後、一緒に走ってきたランナーとお互いに写真を撮り合った
私のラップタイム。50km超えてから一気にペースダウン

私の出場した4Lakes 100km男子は出走1509人、完走1043人(完走率69.12%)で私は776位。出走した変態集団の真ん中くらいだったわけで、変態ど真ん中(笑)。5Lakes 118kmコースの完走率は5割ほどしかなく、過酷なサバイバルレースで、私のペースでは完走できなかったことになる。

ウルトラマラソン走って見えた景色

新しいチャレンジをすると、新しい景色が見える。これは山に登っているときと同じで、ある高さの稜線まで登らないと、その先の世界が見えてこない。自転車のヒルクライムレース、フルマラソンとかトライアスロンとか、最初は自分ができるとは思わなかったけど一度達成してしまうと見える景色が変わり、その先の世界が見えてくる。
ウルトラマラソンで見えた景色は初体験の50km以降に見えてきた。体が走るのを拒否し始めて、脳みそが体のために「止まれ」と信号を出し続ける中で、なぜか止まらず走り続ける。きっと意味なんて何もないけど、やればできたという思いが一つ積み重なった。
大会直後は膝裏の痛みで歩くのもやっと(翌日テレワークでよかった)、疲労が抜けるのに2週間以上かかったわけで、再度同じ大会を走ろうとは思わない。でもウルトラマラソンの大会は四万十川、サロマ湖、飛騨高山などの風光明媚な場所で開かれるので、また別の景色が見たくなったら行っちゃうかもな~
そんな変態のウルトラ長い記事をここまで読んでくれた皆さんありがとうございます! またコロナ禍で難しい中、安全に配慮して実施してくれたスタッフ・ボランティアの皆さんに深く感謝します。

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