2023年 岐阜市議会 6月定例会(6月21日) 一般質問 「岐阜市立図書館における非正規職員の現状について」

○可児隆 岐阜市議会議員(所属会派: 健やか緑政)
 2番目ですが、岐阜市立図書館における非正規職員の現状についてお話し、お願いします。
 岐阜市立図書館の非正規職員の労働条件について質問致します。
 公益社団法人 日本図書館協会は、2023年5月31日付で、都道府県知事、市長、東京23区長宛に、「図書館非正規職員の処遇についてのお願い」を発出し、併せて、2020年1月、非正規雇用職員に関する委員会で取りまとめた「会計年度任用職員に関する提言」も送付し、図書館における非正規職員の待遇改善を訴えております。
 年1回の同協会の調査によれば、国内全ての公立図書館の職員の75.6%は、雇用期間内の限定された非正規職員です。
 岐阜市立図書館の場合、これは中央館、分館、5つの図書室を合わせて、司書資格を保有している正規の職員、司書ですね、が7人。
 司書資格を保有していない正規職員が11人。
 非正規職員が85人おられるということで、非正規職員の割合は82.5%と高いものになっております。
 岐阜市立図書館の非正規職員の年収は、約230万円程度と聞いております。


 2021年 国民生活基礎調査の概要によって引用した資料「所得金額階級別世帯数」のヒストグラムと「各種世帯別にみた所得金額階級別世帯数の分布及び中央値」の相対度数分布表によると、年収250万円以下の割合は25.3%、中央値は440万円ですので、岐阜市立図書館の非正規職員の年収は下位25%以下、中央値よりも210万円少ないということになりますので、岐阜市立図書館の非正規職員はワーキングプアであるということにならないかと心配しております。
 そこでお聞きしたいのですが、岐阜市立図書館における正規職員、アルバイト、それぞれの人数及び平均年収、平均時給、労働条件等、岐阜市立図書館の職員の現状について、市民協働推進部長にお答えをお訊きしたいと思います。
 日本図書館協会理事長は、「図書館は、人々が自分で自分の考えを持つ場所。例えば原発や地域の課題等、議論が分かれる問題の資料を図書館が均等に揃える。それを市民が読み、私はこういう態度を取ろう、選挙でこの人に投票しよう。それで社会が動き、人々の生活が向上する。そんな図書館を作るには、経験や知識の積み重ねがあり、地域を良く知る職員が必要。」と訴えています。
 そして、岐阜市の現状は、その人材を雇用するための待遇にはなっていないと考えられます。
 私は、図書館を人材教育には重要な施設だと考えております。

 岐阜市における図書館の理想像をお聞きし、また、今後、日本図書館協会 理事長が理想と考える専門職員を登用し、そして、非正規職員を正規職員にしていくことが大切だと思います。
 その辺をお答えして頂きたいと思います。
 近隣の一宮では、調べた結果、市立図書館と小中学校の図書カードが連携され、共通カードとして利用でき、一般市民、そして、子どもたちに図書館の利用促進が図られているということです。
 岐阜市でも同様の連携は必要だと考えますが、今後、市立図書館と学校図書館の利用を促進する手法を岐阜市立図書館と小中学校の図書カードの共通化等、利用促進もしていくことを望ん
でいきたいと思います。


○議長
 市民協働推進部長、浅野裕之君。

○浅野裕之 市民協働推進部長
 はい、議長。

 岐阜市立図書館の非正規職員の現状について、それぞれの雇用区分に応じた職員の内訳や、 今後の市立図書館の目指すべき方向性、人材確保についての考え方等についてのご質問を頂きました。
 関連しますので、一括してお答え致します。
 まず、はじめに、職員の現状についてお答えします。
 岐阜市立図書館は中央図書館、JR岐阜駅東 高架下にある分館及び東部コミュニティセンター等に併設された5つの図書室で構成された本市の行政サービスの1つであります。
 定数計画に基づいた人員配置として、正規職員18名、非正規職員として会計年度任用職員132名の全150名で運営を行っており、条例規則に基づいて勤務条件が定められております。
 この内、岐阜メディアコスモス内の中央図書館は、休館日が月1日、また、午前9時から
午後8時までの開館時間であることから、2交代勤務制としており、全職員でのシフト勤務を行っております。
 職員150名の内訳については、正規職員18名の内、7名が図書館司書として採用されており、年齢構成は40代3名、30代4名、全員が女性で、図書館で実施する事業の企画立案をはじめ、フルタイム職員、パートタイム職員の指導を担い、一般の事務職員と同じ、行政職給料表の適用を受けております。
 次に会計年度任用職員でございますが、フルタイム勤務及びパートタイム勤務の2種類に大別されます。
 この内、フルタイム会計年度任用職員は、男性1名、女性4名の計5名が在籍。
 また、年齢構成は、60代2名、50代1名、30代2名となっております。
 雇用条件は、1日あたり7時間45分、週5日勤務、月額19万1,700円であります。
 この5名の内、図書館司書は4名であり、正規職員、図書館司書のサポート等、残りの1名は事務職として図書館内の物品管理等を担っております。
 続いて、パートタイム会計年度任用職員でありますが、主に司書として、本の貸出や調査研究のための資料紹介等を担当する、月額のパートタイム会計年度任用職員と事務補助者として働く時間額のパートタイム会計年度任用職員の2区分に分かれております。
 その内訳ですが、月額のパートタイムの職員は80名在籍、この内、76名が女性であります。
 年齢構成は60代11名、50代16名、40代15名、30代26名、20代12名で、40代以上が約5割を占めております。
 また、80名の内、79名は図書館司書として勤務、残りの1名は分館長として、統括業務に従事しております。
 雇用条件は、1日当たり7時間11分、週4日勤務で、採用初年度は月額14万8,200円、勤続年数によって昇給があり、3年目以降は15万6,100円でございます。
 次に、時間額のパートタイムの職員でありますが、47名在籍、この内、45名が女性であります。
 年齢構成は、70代8名、60代20名、50代11名、40代5名、30代1名、20代2名で40代以上が約9割を占めております。
 雇用に際しては、司書資格を必要とせず、本人の希望に合わせ、週3日程度、時間額950円で書架整理等に従事しております。
 そこで、非正規職員の正規職員への登用については、パートタイムでの勤務を希望するとの声もあり、多様な働き方に応えるという面からも、現在の雇用体制を今後も維持して参りたいと考えております。
 次に、今後の市立図書館が目指す方向性や展望、人材確保についての見解にお答え致します

 今年度、本市では、図書館利用カードを作った令和5年4月1日以降生まれの乳幼児に絵本をプレゼントする「はじめての図書館」事業や、岐阜市 柳ヶ瀬 子育て支援施設「つなぐ手」との連携等の新規事業に加え、中央図書館と分館や各図書室とのネットワークを強化し、支所の情報発信能力を高められるよう、正規職員の図書館司書2名を増員しました。
 市立図書館では、これまでも市民が継続して図書館との関わりを持ち続けて頂けるように多様なボランティア活動の場を提供することで、本と人と街を繋ぐと共に子どもから高齢者までのあらゆる世代が来館し、本や人との出会いの場を創出できるように、「子ども司書養成講座」や「大人の夜学」、さらには、岐阜への誇りを高める「シビック・プライド・ライブラリー」の充実を図ることで従来の図書館機能に加え、岐阜の魅力を市民と共に再発見し、情報を集積し、発信していく、シビック・プライドの拠点として展開して参りました。
 今後はより広く、読み聞かせ活動に取り組んでいくことに加え、選書や読書機会の拡大デジタル化をはじめとした図書館の基盤となる機能のレベルアップに努めると共に、市立図書館のみならず、小中学校の図書室、薬科大学や市立女子短大の図書館と連携し、岐阜市内の図書館環境の充実を図る牽引役となるよう取り組んで参ります。
 なお、本年5月31日付で、公益社団法人 日本図書館協会が、都道府県知事、市長、東京23区長宛に図書館の非正規職員の待遇改善を求める要望書を送付されました。
 本市としましても、図書の育成と充実は不可欠と認識しており、今後も職員の確保を含め、先進図書館の事例研究や他都市の図書館との交流等により、司書のスキルアップを図り、図書館機能の充実を図りたいと考えております。