2023年 岐阜市議会 6月定例会(6月21日) 一般質問 「インボイス制度の導入について」

○議長
 2番、可児隆君。

○可児隆 岐阜市議会議員(所属会派: 健やか緑政)
 れいわ新選組、健やか緑政の3人目として登壇させて頂きます。
 議長からお許しが出ましたので、3つの質問をさせて頂きたいと思います。
 よろしくお願いします。

 1つ目にインボイス制度の導入について、財政部長にお尋ねします。
 令和5年10月1日より導入予定のインボイスについて質問致します。
 財務省の試算によると、売上1,000万円以下の免税事業者が全国で370万件、存在します。
 その内、約161万社がインボイス導入を機に課税業者になるということです。
 インボイス導入による税収増が、試算によると2,480億円、前述の161万社で割ると、1社あたり15万4千円の負担になります。
 財務省の試算想定が、売上550万円、粗利益150万円の小規模事業者を対象としており、消費者からインボイスを求められない小売業者は含まない免税事業者の4割強を課税対象としたとのことですが、シミュレーションよりも、さらなる課税業者の増加が予想されるところです。
 東京商工リサーチ社の調査によると、岐阜県内における法人数は、2022年8月時点、調査の数字は平成28年の経済センサス、3万3,164社、その内28,900社、87.14%の法人が、令和5年3月末の段階でインボイス登録済みということですが、岐阜市における免税事業者は、なかなか登録が進んでない状況であると聞いております。
 そのことは、私の知る免税事業者からの声からも想像ができます。
 インボイス導入により1,000万円以下事業者の負担額が、平均15万から16万円と予想される中、岐阜市の経済に与える影響は非常に大きいと考えられます。
 また、1つの例として、令和4年9月に神奈川県 大磯町議会から、「シルバー人材センターのインボイス制度の適用除外を求める意見書」が国に提出されています。
 これは、シルバー人材センターの会員が消費税免税事業者に該当し、インボイスが発行できないことから、その相当額をセンターが負担しなければならず、センターの死活問題になるという実情からの意見書です。
 これは岐阜にも、対象になるんじゃないかと考えられます。
 定年退職後に臨時的かつ短期的な就業等を希望する高年齢者に対して、地域の日常生活に密着した仕事を提供し、以って、高齢者の就業機会の増大を図り、活力ある地域社会づくりに寄与することを目的とするシルバー人材センターの困窮は、結果的に高齢者の働く機会を無くすことに繋がるのではないかと思います。
 当然、岐阜市でも同様の事態が予想され、このような点でも、インボイス制度の導入には疑問点を残します。
 消費税が導入された1989年に、サラリーマンが東京、大阪にて、
 「免税事業者とか、簡易課税を採用し、税金をピンハネしている事業者がいる。自分の払った消費税が税務署・国家に入っていない。これは恣意的な徴税を禁止した憲法84条違反、同法29条の国民の財産権を侵害するもので、欠陥税制であり違法だ。損賠賠償せよ。」
との訴訟に対し、1990年3月、東京地裁は、同年9月、大阪地裁にも、「消費税は預かり税ではなく、対価の一部である。」という判決が下りました。
 これは皆さん知っての通りだと思いますが、判決後も、国税庁は、消費税「預り金的性格を有する税」と定義してきましたが、2023年2月10日の衆議院 内閣委員会にて、れいわ新選組 たがや亮 議員が、『旧大蔵省が主張した「消費税は預かり税ではない」とのことでよろしいですか?』との質問に対し、自民党 金子俊平 財務大臣政務官が「預かり金ではない認識で結構でございます。」と答弁しています。
 益税を否定するということは、税の公正さの大前提が崩れ、インボイス導入、消費税増税の布石になるとも考えられ、さらなる増税を危惧されます。
 全国商工団体連合会の調査によると、全1,788自治体の内、インボイス中止・延期等の意見書に関し、請願・陳情が議会に提出された自治体は724自治体、実に40.5%にも上がっております。
 また、その内、議会で採択されたのは、166自治体です。
 請願・陳情が提出された内、22.9%を占めております。

 このように、各自治体議会がインボイス導入延期・中止を働きかける中、岐阜市は今後、どのように対応されるか、財政部長、お答え下さい。

 インボイス導入は実質的な消費税増税です。
 中小零細事業者の廃業を促進し、経理担当者や税理士の手間を激増させ、電気料金上昇等の物価上昇の原因にもなるインボイス導入は廃止すべきだということを申し上げ、インボイス制度の影響についての質問を終わります。


○議長
 財政部長、佐藤哲史君。

○佐藤哲史 財政部長
 はい、議長。

 インボイス制度の導入についてのご質問にお答え致します。
 消費税は国内における商品の販売やサービスの提供等の売り上げに対し、事業者を納税義務者として課される税であり、消費税相当額は販売価格に転嫁され、最終的には消費者が負担することが予定されております。
 特定の世代に負担が偏らず、景気の影響を受け難いため、安定した歳入を見込むことができ、社会保障費の増加が続く中、持続可能な社会保障制度の構築を図るための財源として令和元年10月から税率が8%から10%に引き上げられたところであります。
 この税率引き上げに合わせて、低所得者への配慮として、日々の生活において、幅広く消費されている飲食料品等の生活必需一部について税率を8%に据え置くことで税負担の軽減を図る、軽減税率が導入されました。
 本年10月1日に施行されます、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度は、軽減税率の導入による10%および8%の複数税率の下で、事業者の皆様に申告納付頂くにあたり、税率区分ごとの税額等を明記した適格請求書であるインボイスを売り手が買い手に発行し、インボイス等を保存することで、正確な仕入税額向上を行い、適正な課税を確保するものであります。
 制度の導入にあたり、事業者の皆様におかれましては、税務署に対し、インボイス発行事業者としての登録申請や、税の申告納付等の事務手続き、また、インボイスに対応した機器の購入等が必要となることから、国においてインボイス制度の円滑な導入に向けた、各種支援策が講じられております。
 例えば、インボイスを発行するためにパソコンやレジ、会計ソフト等を購入する費用の支援や、販路の開拓等に対し助成する小規模事業者持続化補助金について、免税事業者がインボイス発行事業者に転換した場合の補助上限額が引き上げられております。
 また、税制上の措置と致しまして、制度開始後も6年間は免税事業者との取引において、一定割合の仕入れ税額相当額の控除を可能とする経過措置が講じられております。
 さらに、令和5年度税制改正において、追加の経過措置として、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合に、納税額を売上税額の2割に軽減することや、課税売上高が1億円以下である事業者の行う1万円未満の取引について、インボイスの保存が無くとも帳簿のみの仕入れ税額の控除を可能とすること等が規定されたところです。
 また、免税事業者が取引において、不当な取扱いを受けることがないよう、独占禁止法や下請け法上問題となる行為の明確化、各事業者団体への法令遵守の要請、下請けGメンによる調査等、環境整備も図られております。
 本市と致しましても、税務署等、関係機関と連携し、セミナーの開催や、市ホームページや広報岐阜への掲載、岐阜駅等に設置するデジタルサイネージへの表示等を通して、周知広報に努めているところであります。
 いずれに致しましても、インボイス制度は、国における様々な議論を経て、先に申しました目的により実施されるもので、併せて事業者の皆様の負担を軽減するため、様々な措置が講じられているものと認識しており、制度の円滑な導入に向け、今後も引き続き、関係機関と連携し、積極的な周知広報に努めて参ります。