ドーン

古本屋にて、小さい頃のトラウマとして名高い、笑うセールスマンの漫画の背表紙が目に入りおもわず立ち読みした。
登場人物がみんな、自分に足りないものを嘆いていて、
それを主人公(もぐろふくぞう?)が「慈善活動」という風を装い、邪道な方法でいっとき満ち足りた自分というものを味あわせ、相手の欲や焦りがみえたところで地獄につきおとす。
もぐろふくぞうに狙われる人びとのほんとうの敵は、
望む素質が自分に「ない」ことじゃなくて
それが「ない自分を自分が蔑んでいる」ことだ、と気がついた瞬間に、もぐろふくぞうの指はこちらに向いている。

そういう怖さだと思った。そういううねりながら正しい真理みたいなのを、むずかしいことがわからない年齢の子どもが怖いと感じるのって不思議だなぁ。
自分でさえ手のゆきとどかない心の奥底を、いきなりドーン!されたのが効いたかんじがした。

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