2023BRM204神奈川400km追い風

※今回は旅レポでもライドログでもなくもやもやの吐き出しである。こういう回もある。

年は明け久しぶりのブルべである。
前回が11月頭の栃木路・改300km、あれから結膜炎になりコロナになり勢いで引っ越しをしてとまったくもって自転車に乗っていない。PBPを見越してペダル&シューズの変更、ベストなサドルを求めて直前にサドル変更もした。400kmにこれ以上ないぐらいリスキーな状態で挑むことになった。始まるまえからそんな言い訳を用意するぐらいにはメンタルのほうが弱っていたようだ。
コースは三河安城から海沿いを経て修善寺へ、伊豆を冷川峠で越えたら再び海沿いを逗子まで。かなり平坦で自分には苦手なコースだ。しかし富士川まではいってこいビワイチで、その先は西東京富士400とほぼほぼ共通なのでコースの勘所はつかめている。おまけに快晴に追い風と来ている。完走自体は問題ないだろう。

7時過ぎに家を出て、こだまで輪行。どの車両も最後列が自転車で埋まっている。自分の横にも当然のように同じイベントの参加者だろう人が座っているが、話しかけるきっかけもなく、若干気まずいような何とも言えない空気のまま過ごす。駅弁がとにかくおいしそうでうらやましかった。

三河安城駅前で西東京スタッフの方々と餃子を食す。大人数の一斉スタートブルべは初めてで、これまでスタート地点で知り合いに会うこと自体めったになかったのでテンションは高めだったが内心憂鬱であった。入れていただいたflecheチームが剛の者ばっかりと判明したこと、PBPに向けて失敗にリスクが伴うこと、、、いつものブルべと違い楽しもうという気持ちで臨めていなかったようだ。目標があるわけではなく、ただ何となく確実に好タイムでゴールしなければならんとプレッシャーをかけていた。とにかく今回はしっかり自分を追い込んで、どれぐらい走れるのかを測ることを目的に割り切ろうと思いながらブリーフィングを受けた。

出走はウェーブスタート、自分は第二の13:05を選択。開始してしばらくは愛知特有の車にめっちゃ気を配りながら走る区間が続く。前の人がすり抜け原付にぶつかられそうになってるのを見ながら、さすが愛知だなぁと笑っていた。もう2度と愛知を通るブルべは走らん!って宣言したはずやのに半年もたたずにまたここにいる。
30分も走ると田舎道になり走りやすくなった。以前は豊橋発だったそうだから、これでもだいぶ走りやすくはしてくれているんだろう。
東名側道で西東京のDさんに合流。おしゃれなケルビムのランドナーで安定したペースはまさしくブルべライダーのお手本である。
50kmあたりの新城PCにつく手前ぐらいでは前後の人もだいぶ減り楽なペースで走れるようになってきた。ここでOさんと同じトレインになる。
「ポジション調整失敗してケツがずれてくるんですよ~」「しっかり手で前に押さえつけるといい」「掌痛くならないですか??」「慣れろ!」とアドバイスをもらう。
やってみるとなるほど確かに痛くない。前に押さえつける意識を持つことで肩回りの体幹がしっかり働いている感じがあり、体重自体はペダルの上に乗せているような安定感がある。さすが走りこんでいる人は指摘も的確である。ついでに潰瘍性大腸炎の疑いがあるほうについても食事のアドバイスをもらいたいなぁ・・・

新城PCを出てから浜名湖まではさほど記憶が残っていない。弁天島の日の入りがみられるといいなーと飛ばし気味で進んでいたはず。だが弁天島に曲がるポイントを間違えてしまい、ついた時には太陽は水の下だった。別にウナギを食べるわけでも温泉に入るわけでもない自分には、今回のお楽しみはこれで終了である。残念無念、また来年!
さて、ソロライドならただのがっかりでも、ブルべではこういった失敗は悪くない。すぐ横にいた参加者に夕日の写真を見せてもらい、次のPCまでの退屈な直線道をカフェさながらのトークタイムに変えてくれた。ちょっとしたやらかしは初対面の垣根を崩してくれる。

浜松のPCでは西東京のOさんに再度合流、夕日の写真を見せてもらった。おかしいな先行してたはずなのになんで俺は見れてないんだ、、、この地点ですでにケツに嫌な兆候が来ていた。新サドルでろくにポジションも確認せんまま本番に来てるから自業自得なんだが。とりあえずのごまかしでサドルを下げる。
ここからは大変退屈な平坦ストレートが続く。夜間で交通量が少なく走りやすいのはいいんだけど、、、平坦は気づくとケツ荷重が続いてダメージが入るからきらい。10kmぐらい走ると8人ぐらいのグループに合流。しばらく後ろについたがこれが失敗だった。巡航速度がめちゃくちゃ早いが、ストップゴーの加速が尋常じゃないため気を抜くとスリップストリームに入れずあっという間に離れていく。速すぎて正直なんで追いついたのか疑問である。これにつくのはいろいろ危ないと思い、ペースを落として一人になる。(ゴール後に知ったが、このグループを牽引していた方がflecheのメンバーの可能性があるようだ。死にそうだ。)時間的にも体力的にも全然余裕があるんだが、速い人の圧倒的な差を見てしまって精神的にかなりのダメージを受けた。この辺から日が出るまで終始暗めの気分であった。走りながら毒を吐きまくることはなくなったので過去の自分よりは成長もといマシになっていると思いたい。

焼津市街地を抜け、上りとも言えない上りをこなして宇津ノ谷峠のPCに。
トンネルを超えるとランタンの灯りと人の声が聞こえてくる様子は不思議とあったかい気持ちになってくる。
自転車を止めるとハイテンションなお姉さん笑(多分"元気な"虫さん)がおつかれー!!!!さぁブルベカード出して!!受け付けはあっち!!!と出迎えてくれた。せかされるようにしてかじかむ手で準備をしていると自然と前向きな気持ちになってくるから不思議である。豚汁を受け取り、いらっしゃったマヤさんにご挨拶をする。このコースの歴史などをすごく楽しそうにお話される姿を見てあぁこの人が今のブルべの理念を広めてこられたんだなぁと感激する。横の人が「ショウガが効いてて温まる!うまい!」と言ってるのを聞きながら、そういや豚汁の感想何も言ってねえや、、、でもうまい以外出てこなくてなんか言いにくい言いたくないとかいろいろと頭の中をぐるぐると回っていた。どうにもひどく疲れていた。頑張れるコミュ障は疲れると頑張れないコミュ障に戻るのだ。

次のPCは伊東あたり。そこまではそれなりに地獄であった。計画では沼津手前で空腹があれば一度補給を入れるとしていたが、寒さからトイレに行きたくなること複数回、結果的にトイレ休憩を5回ほど挟んだ。ゴールタイムを上げるためでも自分を追い込むためでもなく、ただ体を冷やさずトイレに早くたどり着くためだけにハイペースで進む。修善寺手前の公衆トイレを見つけたときは必至すぎやしないかと笑ってしまった。
冷川の上りは1℃前後、寒いけど耐えられないことはないくらい。別段なんてことはなくクリア。久しぶりの上りでむしろ体が喜んでいるのがわかる。

少し寒い下りをすませ伊東のPCへ。気のいいおっちゃんと研修中の若いお兄さんで営業していた。おっちゃんが「安城?よーきたなー400kmか~どこまで行くん??」と気さくに話している横でお兄さんが表情に困っている様子が印象的だった。深夜に薄着で反射ベストを羽織った人が自転車で何百km走ってると言われれば正解のリアクションはどれやねんってなるのも無理はない。おっちゃん曰く、自分が今日二人目だそう。速い人たちは仮眠してるっぽい。いい位置を知ってしまったらキープしたくなってしまうのが
人の性、聞かなきゃよかったな~と思いつつ早めに休憩を切り上げリスタート。といっても後から来た人が先にリスタートしてしまっているのですでに3番手である。

まだ寒いだろうと防寒用のレインパンツを履いたままリスタート。モンベルのサイクル用バーサライトパンツはめちゃ軽コンパクトでとても優秀。廃版になったらいやだな。伊東の海岸沿いに出ると三浦半島までの相模湾が一望でき、ホームに帰ってきた安心感がわいてくる。あと100km、まだ日はかけらも無い。
熱海のアップダウンで先ほどの休憩で合流した参加者をとらえる。上りの調子が良かった(体の痛みのおかげで足が全く使えてなかった)ので、そのまま長いのぼりでパス。ゴール後に「めっちゃ踏んでましたねw」と言われ少し恥ずかしい気持ちに。やっぱり若干順位も意識してたかなぁ。
湯河原から根府川への旧道へ入るとまたトイレ欲が。何度か使ったことのある道だったが、トイレとの戦いになると途端に長く感じ始める。「こんなカーブ絶対なかったわ」とぼやきながら気を紛らわせること数キロ、根府川駅へ。シクロクロスのピットインさながらの華麗な下車でトイレへ駆け込む。(もしこのトイレが営業時間外だったら色々とオワッテイタ)日はまだ上る気配もなく何も見えないのでコーンポタージュで温まってすぐに下る。
根府川の交差点を超えたところにものすごく海が見える高台があり、自然と足が止まった。横には日の出を待っているおじさんが車で仮眠をとっている。オレンジ色の光と黒い海の間にぼこぼこした影が見える。自信はないが方向からして伊豆大島だろう。若干黄昏てみたものの、寒さに勝てず後にした。
ここから先は小田原、大磯と飽きるほど走った道だ。気温は2度前後、冷川では0度だったのに比べると良心的、、、というのは大間違いで実際には平地巡行&逆風による体感温度低下で指先に痛みが出るレベルの寒さとなった。インナーグローブ装備で絶対的な温度への耐性はついているが風速が上がるとやっぱり秋用グローブではだめだったようだ。次はテムレスを試そう。缶コーヒーで指を温め、日が高くなるのを少し待つ。
直射日光が当たるようになると、少しずつ気持ちもポジティブになってきた。江の島が遠くに見えるようになるとあと少し、ケツは限界だが最悪押し歩ける距離である。

松汀園の看板を見つけおそるおそる庭に進むと、見慣れた薄紅色のジャージが塀に吊るしてある。縁側からスタッフにご挨拶をし、今回の旅も無事終了である。長いようで短いような、昼スタートになるとそもそも時間間隔が無茶苦茶になるのでどうでもよくて、濃密なような退屈で自分と向き合わされるような、不思議な気持ちが残ったブルべであった。
ゴール後は序盤ゴールの人たちと温泉に入り、Oさんと談笑して西東京のMさんを待ったりDNFの知らせを聞いたり、言いそびれた気がした豚汁のお礼をスタッフさんに伝えたりとわたわたと過ごした。
このブルべは交流を大事にするコースだったのかな。孤独とたまの出会いを楽しむいつもの自分のスタイルとちょっと違い戸惑っていたのかもしれない。
知らん世界がまだまだ広がっているようだが守りに入るのはもったいない。
引けば老いるぞ臆せば死ぬぞ




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