福島ユナイテッドFC 2023シーズン前半戦の選手通信簿

19節北九州戦を終えてJ3も折り返しという事で、例年のように前半戦の寸評的なものを書いておこうかと。例によってスタッツはリーグ戦のもので、19節までの内容です。
いやーーーーー、きっついっすね今年は。J2昇格どころか残留争いですよ。20チーム中唯一の10敗、リーグ19位の得点力でシーズン途中での監督交代という劇薬を投入する事態。あまりにもしんどい試合内容の連続とホームで開幕から8試合ノーゴール、19節でようやくホーム初ゴールを決めるともうそれだけで満足と思わせられるくらいにはハードルが下げられました。服部監督から依田監督に交代して浮上の兆しは見えてるような気がしないでもないけど予断を許さない状況なので我々も適度に楽しみつつ地に足をつけて見守りましょう。残り19試合全勝すれば勝ち点76を稼げます。一応まだ優勝の望みは断たれてないぞ!

GK

1番 上川 琢 出場なし
大卒2年目なのだがどうも4番手らしい。正直こういう若手をベンチにも入れずにスタンドに置いておくようになるなら(本人の実力や成長曲線はあるにしても)レンタルに出して実戦経験を積ませた方がいいと思う。これがGKのポジション争いが激しいとかなら話は別なんだが、なんせ怪我でもしない限り山本海人以外が出場するという事はまずなさそうなのでなおさらである。当の本人は相変わらずの好青年。

16番 ファンティー二 燦 出場なし
なんか年々ゴツくなってないだろうか。福島に来たばっかのころは爽やかハーフイケメンという感じだったのだが年々胸板と肩幅がゴツくなってきている。それもそのはず、公称180㎝85㎏なのである。プレミアリーグかよ。天皇杯福島県予選ではベンチ入りしてたのでどうも3番手を確保してる模様。練習とか見てると相変わらずレスポンスはいいのに止められないみたいな感じだったのでやっぱシュートブロックを磨きたいところ。

21番 大杉 啓 出場なし
去年に引き続き不動の2番手。淡々と準備を続けることが求められる立ち位置なので本人はつらいだろうが頑張ってほしいところ。キックとかうまいからコーチングの部分さえ向上すればスタメン狙える気もするのだが。とにかく本人も言うように明鏡止水の心で準備を続けてほしい。出場した暁には明鏡止水にかけてGガンダムネタで応援したいと思います。

22番 山本 海人 19試合出場 24失点
今シーズンは主将に就任。何度も言うけど元日本代表の実力は伊達じゃない。38歳の大ベテランなのだがまだまだ成長し続けてるから凄いなと。足下がどんどん上手くなっててプレスかけられてもショートで繋いで見せたり、高いポジションを取り始めたWBに浮き球を通すとか普通にこなせるんだから凄い。毎試合きわどいシュートを止めてるしこれ以上山本海人に何とかしてくれというのは酷でしょう。ピッチ外でも練習が終わってからとかオフの日に運動教室や講演会活動をして地域貢献を体現してるし、勝っても負けてもSNSで想いを発信して矢面に立ち続ける姿には頭が下がる思いです。本当にこういう存在は得難いし感謝しかない。まずは健康体で後半戦も頼みます。

DF

3番 河西 真 2試合出場
なんか今年はびっくりするほど試合に絡めずベンチにも入れない。3バックのポジション争いに割って入れず、まともに出場したのは7節鳥取戦のみ。そこでのパフォーマンスは普通に良かったと思うんだけどね。相手に自由を与えないハードマークは健在だしボールの持ち出し方とかも去年より良くなってた気がしたんだけども。古株の部類には入ってきたがまだ27歳。後半戦の巻き返しに期待したい。

4番 堂鼻 起暉 10試合出場 1アシスト
3バックの右で野末と激しいポジション争いを展開。右だと左で使われるよりビルドアップがスムーズだよね。対人の強さに加えて今年はボールを持ったまま前進したり持ち上がってコース作ったり縦パスでチャレンジしたりとポジティブなボールの進め方が印象的。ガッツのあふれる粘り強い守備や強烈なロングシュートなど今までの強みにプラスしてビルドアップがこなれてきたので後半戦はガッチリとポジションを掴みそうな予感がするけど北九州戦で怪我しちゃったからな。軽傷だといいのだが。

7番 田中 康介 18試合出場 2アシスト
序盤はベンチに座らされたりボランチで使われたりしたが8節以降は不動の左WBに。左利きかと錯覚するほどにトラップ、パス、クロスを左足でプレーできるので強い。ドリブル突破や中で受けてのシュートなど恐さを発揮できるだけでなく90分尽きない運動量も素晴らしかった。守備でもう少し相手を止められるとなおいいが、闘志みなぎるコンタクトプレーも好印象。しかし普通に左足でアーリークロスもスルーパスも狙えるくらいになったんだから成長著しいよね。全体的に熱くて福島の7番に恥じない納得のプレー内容だったかと。停滞感を感じた昨シーズンから飛躍を感じさせる活躍ぶりなので後半戦もアシストを積み上げてチームを引っ張る活躍に期待したい。

11番 雪江 悠人 8試合出場 3ゴール 1アシスト
今年最大のサプライズを提供してくれているのではなかろうか。序盤戦こそ3バックの右で出場機会を得たものの、昨年の不調を引きずるかのような攻守へのぼんやりっぷりでもはやこれまでかに思われたが、16節奈良戦でトップで途中出場すると17節鹿児島戦からは3戦連続のスタメンで3戦連続ゴールという別人のような活躍ぶり。元から前線でよく走る、よく体を張る、いい具合に裏に抜けるというFWだったが、今年は別人のようなゴール前での落ち着きを発揮。不用意なトラップミスや明後日の方向に飛んでいくシュートが無くなり、絶えず相手を追ったり競ったりしながらフィニッシュに絡んでいくなど明確に相手に脅威を与える存在へと成長した。高い身体能力を活かした空中戦の強さも魅力でセットプレーを頭で折り返してのアシストも記録。瞬く間に攻撃の中心になってしまった。ホント別人すぎるだろ。キャリア4年で3点だった男だぞ。100試合以上出て3点だったんだぞ。いよいよ覚醒の時、後半戦もさらにゴール量産を期待します。

24番 宝納 拓斗 出場なし
かわいい高卒ルーキーかと思ったらめっちゃデカいんですよね宝納って。実際183㎝なのでDF陣では大武に次ぐ長身である。まあ高卒ルーキーだし3バック左は鈴が良すぎるしCBの層自体が厚いので全然試合に絡めないのは仕方ないかと。とはいえ明確に左利きでフィードが強みというタイプなので宝納の成長は鈴の競争とイコールなので底上げという面では頑張ってほしいところ。特にチームスタイルとして左から鈴を外せなさそうなので、なおさらに強烈な突き上げを期待したい。焦らずがんばりましょう。

27番 野末 学 11試合出場
シーズンも始まった3月末に加入の大卒ルーキー。8節長野戦から3バック右のポジションをがっちり掴んだが、鈴の代役で左で起用された16節奈良戦でまともに失点に絡みまくって以降スタメンを外れている。そんなに大きくないけどボールの扱いが上手いしキック精度もいいのでビルドアップで重宝してるのがポジションを掴めた理由かと。軽い振りのキックモーションからとんでもない飛距離のフィードを蹴ったり弾丸シュートを打ったりするのでボール保持型のチームで使われるのはよくわかる。持ち上がりとかボールを前進させる部分ももっと自信もって回数こなしてくれるとなお良いかと。ただやっぱり守備対応が迂闊な場面が多々あっり寄せきれずに失点という場面があったりするのは印象が悪いので要改善。守備強度の部分と強烈なフィードといった武器をどうチャンスメイクに組み込むかが後半戦の鍵なんじゃないでしょうか。

28番 鈴 直樹 18試合出場
大卒ルーキーながら3バック左のレギュラーに。ビルドアップにストロングがあるCBだけど守備も簡単には当たり負けなくてタフ。なんせ左利きでキック精度が高いもんだから左サイドで縦にボールを走らせられるし、対角フィード送る時も持ち替えなくていいし、攻め上がった時そのままクロスを入れられるので強い。ビルドアップの局面では去年に比べると革新的な進歩を福島にもたらしたのではないだろうか。失点に絡んじゃう場面もまあまああるけどそこは勉強である。ただ天皇杯も含めて開幕からフル稼働状態なのでだいぶ疲れの色が見えるプレーを最近はしてるので心配ではある。後半戦も欠かせない選手になると思うので怪我だけはせずに、守備面鍛え上げながら頑張ってください。

44番 大武 峻 19試合出場 1アシスト
やっぱ単体のCBとしてはJ3最強なんすよね大武は。圧倒的な空中戦の強さに加えて、前に出ても潰せるし間合いとタイミングをコントロールしてミスを誘発させる地上戦の強さも圧巻。そんでピッチの中央からグラウンダーでトップに楔をビシバシ通せるCBがどれだけいるだろうか。単騎の能力はリーグ最強クラスなのだが、フットボールは11人でやるもんなので大武だけでは福島を救えなかった。なんか去年は猛威を振るったセットプレーからのダイナマイトヘッドが今年は不発続きで残念。3バックの中央でひたすらフル稼働状態だし山本海人との分業制でゲームキャプテンを務めているわけだが、ベテランとして、キャプテンとしてはもっとチームをゲーム中にまとめ上げて闘う集団へと導いてほしかったところ。苦しいところだが経験と実績がある選手だからこそ今のポジションを任されているのだと思うので後半戦さらなる奮闘に期待します。

55番 柴田 徹 4試合出場
須賀川の男が湘南から帰ってきた。6月下旬に湘南からレンタルで加入するとあっという間に古林将太から右WBのポジションを奪取。大卒ルーキーながらこれだけやれて湘南で全くポジション争いに絡めないのかというくらいにはエネルギッシュな上下動と単独でCKをもぎ取ってくるドリブルと多彩なクロスを見せてくれている。なんか対人守備はそんなに強くなさそうなのは課題なんだけど、古林を押し切るだけの若さと勢いと熱さは本物。仕掛けてくる相手を止められるようになればもういう事なしです。地元福島にいるうちにどんどん成長していってほしい。

MF

5番 大森 博 8試合出場
徳島から引き続きレンタル。去年、散々僕が「面白すぎる」と言った男がこんなパッとしないプレーに終始してとても悲しい。まずこれは僕個人の感想なんですけど、福島の5番を背負ってるわけなんですよ。福島で5と7は特別な背番号じゃないですか。クラブが「そういうのもういいから」ってんならまあしょうがないかとなるしかないんですけど。背番号へのこだわり特に無しというレンタルの選手が5番をつけて試合にやっとやっと出るかどうかとい現状に納得いかんし、その現状に甘んじる大森にも納得いってないんですよ僕は。こんなもんじゃないだろと。去年見せたポテンシャルは。3バック右や右WBでの出場が多かったけども、去年以上に当たり負ける、競り負ける、振り切られるという致命的なミスが増えてしんどいし、足元があるからそういうポジションで起用してるのに崩しのプロセスへの関与が少なすぎてお前の持ち味はなんなんだと。だけどやっぱボランチで器用されたときは面白いプレーしてくれて、やたら長い脚でありえない位置からボールをかっさらったり、188㎝の巨体で猛然と長い距離走って攻め上がってきたり、上手いタッチで捌いたりするわけですよ。このサイズの選手がボランチやっててしかも運動量があってボールの扱いが上手いことに面白さがあるので今後もボランチで使ってもらいたい。守備の強度であるとかポジショニングであるとか前への積極性であるとか課題はいくつもあるけど、17節鹿児島戦みたいな運動量を発揮しながら奪って捌いて持ち上がってを繰りすボランチという方向性が一番輝けるのではないかと僕は思います。後半戦大きな飛躍を期待します。このままじゃ終われねえし終わっちゃいけない。

8番 吉永 大志 16試合出場
なんだかんだとレギュラーっぽくなった古参。序盤戦は左WBだったが4月以降はほぼほぼボランチに固定された。スーパー水を運ぶ人といった感じでひたすらボールサイドに顔を出してビルドアップを補助するというタスクを遂行していたのだが決定的なチャンスメイクというものが無かったのが残念。フィニッシュにはたまに飛び込んで惜しい場面も作ったりしてたけど。なんか吉永自体はボールタッチやパスが上手いし上畑との連携もいいので見映えとしては滅茶苦茶ボール回せるんだけどそれが点に繋がるかと言えばそうでもないというのが悲しいところだし課題でもある。依田監督体制ではヤバいほど走り回って相手を追いまわし続けてたけど、やっぱりパスの上手いファイターという吉永のスタイルはかっこいい。あとやたら肩回りがマッチョなのもかっこいい。後半戦はフィニッシュ精度の向上と前への意識、チャンスメイクの意識を強く持ってほしいところ。決定的な仕事を期待したい。

10番 森 晃太 14試合出場 2アシスト
今年もスーパーサブみたいな扱いだったが16節奈良戦からシャドーでスタメンの座を確保。以前より守備をサボらなくなったししっかり帰陣するようになったのが一番の要因かと。フラフラとボールサイドに寄る悪癖も改善傾向だし、ドリブルで突破を図る場面と預けて裏抜けを選択する場面との使い分けも出来るようになってきたので去年より攻撃で”効く”選手になってきた。スタメンで出るようになってからはタフな運動量とスピードと突破力を活かしたプレーが攻撃の活性化に一役買っている。未だノーゴールなのは残念なのだが、チャンスメイクについては質の良い丁寧なボールを送っているのも好印象。相変わらずドリブル突破からカットインしてのシュートが決まりそうで決まらないのがしんどいところだが、今の好調を維持できれば結果が付いてくるはず。後半戦反転攻勢の核となることに期待したい。

13番 宮崎 智彦 13試合出場 1アシスト
もう37歳の大ベテランなのでフィジカル的な要素を色々求めるのは酷なのだが、実績からするともう少しチームを上向かせてほしかったというのが正直なところ。左WBやボランチで起用されたが、WBだと裏を取られると全然間に合わなかったり、ボランチだと瞬発力勝負が厳しかったりとフィジカル的にはしんどい局面が多かった。とはいえプレービジョンやキックの精度と判断の早さは段違いというか、さすが歴戦のJリーガーという感じではあったので悪く見えた部分は戦術でカバーできない服部監督のせいです。たぶん。ただやっぱりフィジカル面を考えるとピンポイントな起用をせざるを得ないのではという気もする。たぶんボランチを争う上畑や吉永に対してゲームを落ち着かせたり方向性を示すといったベテランだから見える、出来る事をチームに還元するのが求められているのではなかろうか。老け込んで終わるような選手じゃないと思うので、後半戦はチームを勝利に導く仕事を多くこなしてほしい。

14番 向井 颯 4試合出場 
プロ初出場も含めて途中出場4試合。シャドーや2トップでの出場だったけど、短い時間ながら持ち味であるスピードに乗ったドリブル突破はある程度通用するのは見せられたんじゃないかと。それでも突破した後のプレーの選択と精度やコンタクトの脆さは改善していかないと出場機会を得るのは簡単じゃなさそうだなといった感じなので、そういうのは伸びしろなんじゃないでしょうか。まずはピッチに立つところまで行き着いたので、ここからもう一段ギアを上げよう。練習なんかでは鋭い突破からシュートを突き刺す場面がそこそこあったので実戦でそれをやれるように磨いていってほしい。

30番 清田 奈央弥 5試合出場
昨年から引き続きレンタルなわけだが結構厳しい。WBで途中出場してるのだが要所でのフィジカル負けが多すぎてなかなかしんどい感じだった。左足のキックはいいもの持ってるけど、それを披露する機会も少ないのでとにかく頑張れとしか。左利きなんだけど右WBで使われたりもしてたのでクロスよりカットインシュートを期待されてるのかもしれん。なんせまずは簡単に当たり負けないこと、ここからチャンスを掴むなら左足のパワーを攻撃でどう活かせるかだけだと思うので後半戦本当に頑張ってほしい。

35番 柴 圭汰 5試合出場
高卒3年目だがやっぱりポジション争いには苦しんでいる。試合に出たのが3-5-2をやってる時のインサイドなんだけど、要はまともにボランチをやるにはまだまだ強度と展開力不足なんですよね。柴はかなり賢い選手なので与えられたタスクの遂行能力は高いし、攻守に勤勉に走るし、体格の不利を補うためのボールを受ける際の相手の寄せをいなすファーストタッチについては相当考えて工夫して練習してきたんだなというのが伝わるんだけど、崩しの局面で決定的なことができるわけではないのでもう一つ何かが欲しいというのが正直なところ。160㎝台前半のJリーガーってまあまあいるけど、基本的にはみんなクイックネスを活かしたアタッカーなんすよね。その中で純然たるボランチやインサイドでやってる柴のことは応援したいけど、現状何かもう一つ武器が欲しいといった感じ。もっと展開できるようになるでもミドルがあるでもスルーパスがあるでも飛び出しがあるでもいいけど、殻を破るためにはそれが欲しい。まだまだ若いしまだまだやれるぞ。

38番 粟野 健翔 3試合出場 1アシスト
大卒ルーキーのボランチなのだが、体格的には柴とあんま変わらないので課題は似てる。4節琉球戦でのゴール前まで進出しつつ横幅60mを単騎でカバーした驚異的な運動量は目を見張るものがあったけど、何かもう一つ武器が欲しい。体格の不利を補うために球際に全力で食らいつく姿勢は好印象だし、しっかりゴール前まで走りきる運動量は素晴らしいけど、柴と同じく崩しの局面で出来る事が限られるのがポジション争いで苦戦している要因かと。ガッツとスピードはあるので守備面を伸ばしていった方が大成しそうな気がしてるけど、現状のチーム的には攻撃に一芸がある選手が欲しいと思うのでそっちを磨く方が試合に絡めるとのかも。

41番 上畑 佑平士 17試合出場 2ゴール 1アシスト
去年から最も成長した選手なんじゃないでしょうか。今年はボランチやアンカーでレギュラーを獲得。攻守への効き方が去年とは雲泥の差なんだけど、とにかく前への意識が劇的に変わった。しっかり受けたボールを前を向いて前線につなぐというプレーを劣勢の状況でも激しいプレスに晒されながらも完遂した。凄すぎたのが中盤でのボールタッチ。トラップのタイミングとボールを置く方向、目線、体の向き、そのトラップによるマーカーの動きの誘導と予測、そのスキルを組み合わせて総動員することでコース上に相手が2人いようが3人に囲まれていようが存在しないところからスペースを捻り出して前進するという超人的なプレーを何度も披露。この文面で凄さが伝わりますかね?ピッチど真ん中で一瞬で2枚も3枚も無力化するとどうなるかというと確実にチャンスになるんですよね。まあそこから点にはなってないんですけどそれは前線の責任。果敢な攻め上がりからの2ゴール1アシストも素晴らしいが、ボックス付近まで攻め上がってのチャンスメイクやフィニッシュへの関与だけでなく守備でも運動量を絶やさず、カバーリングやタックルで危機的状況を回収する場面も多々あったのも好印象。ホントに消極的なパスを全然しないし、攻守にしっかりと顔を出しつつ自分のスキルを存分に発揮しているのは素晴らしいと思うし、個人的には前半戦のMVPに推したい選手。後半戦はもっとゴールに絡む部分を増やせればさらに輝くかと。

 FW

17番 延 祐太 17試合出場 1アシスト
シャドーだったり2トップで出場機会を得てるんだけどノーゴールなのはちょっと。プレーヤーとしてはレベルアップしてて鋭いラインブレイクはかなり効いてたし、田中康介との立命館ホットラインでの抜け出しはかなり可能性を感じた。守備面も向上してて、最近は勝てる勝てないは別にして体を当てにいく、競りに行くという姿勢が徹底されてるあたりは好印象。サイズがないしコンタクトにもそんなに強くないのでスピードと抜け出しで勝負するしかないんだけど点を取るためにももう少しフィニッシュパターンは増やしていきたいし、シュート精度を磨いていきたいところ。抜け出しは相手にとっても厄介だろうけど現状点を取れてないのでそこは強く求めていきたい。抜け出してアシストする選手で満足しちゃいけない。もっとやれるはずなので後半戦ゴールの量産を期待推します。

18番 堤 聖司 1試合出場
FW陣では一番苦戦してるんだけど、まあやっぱり強烈な武器がないと苦しいのかもしれない。体格も小さいわけじゃないし、遅いわけでも下手なわけでもないけど突出したものも無いといった印象。フィニッシャーになるのか、チャンスメイカーになるのか、運動量でかく乱するのか、タフに前線で勝負し続ける選手になるのか、そろそろプレーヤーとしての軸足を決めないことにはなかなか出場機会が巡ってこないのではないか。シンプルにフィニッシュに絡めるFWになるのが一番だけども、このままベンチ入りもできないままならレンタルで経験を積んでくるの方が成長できるかもしれん。中途半端はよくないってそれ一番言われてるから。奮起に期待します。

19番 三木 直土 7試合出場
レンタルで磐田から来てる清田の同期なんだけど、序盤に試合に絡んだくらいでめっきりベンチにも入らなくなってしまった。172㎝の割には普通にCFとして振舞えるというか前線で身体張りまくってたまにチャンスに飛び込むレフティって個人的には好物なんですが、まあ延と同じくノーゴールだしアシストもないのでね。正直FW陣では一番謎というか、別にそんなに悪い気もしなかったんだけどもなんで試合に絡めんのやろか。実際そこまでテクニカルな選手じゃないので仕掛けたりパス出したりしてどうのってタイプでもないし、前線で頑張るマンとはいえフリックなりポストが上手いわけでもないし、このタイプはフィニッシュで如何に脅威になれるかがキモなので結果が付いてこないことにはなかなか試合に絡めんのかもしれん。まずはシュートを沈めること、話はそれからだ。

20番 城定 幹大 11試合出場
その血の運命ジョジョ。まあ僕ジョジョ全然知らんくてファントムブラッドと実写版の岸部露伴は動かないしか知らんのよマジで。そんな話は置いといて大卒ルーキーのジョジョは序盤こそ先発したもののなんかパッとしないうちにポジションを失ってしまった。2トップやシャドーで試合に出て、崩しの局面での閃きと引き出しは見所があるし、フィニッシュにもそれなりに絡めるんだけど全然結果が付いてこない。初見では衝撃的に上手くて、中でも外でも仕事ができるし点を取るのは時間の問題みたいに見えたのだが実戦を重ねるほどに迷走していったというか。まず70分稼働できるかどうかみたいなスタミナ面とか体格がある割にコンタクトにそんなに強くないのも苦しんでる要因かと。タイプ的にはトップにボールを供給しつつ自分も進出してフィニッシュに絡むというところだと思うのでシャドーで出場機会を得られるようになれば理想的だが。やっぱりチャンスが来たら前への積極性を出してチャンスを掴むしかない。塩浜のようなタフさや森のようなスピードやドリブルが無いならチャンスメイクでそれ以上にやれなきゃゲームに絡んでいけないと思う。後半戦一層奮起して点とってピッチで練習したジョジョ立ち見せてくれ。

25番 長野 星輝 19試合出場 1ゴール
がっかりしたというのが本音である。前半戦全試合出てわずか1ゴール、それも3-0のゲームの3点目というのはエースとしていかがなものか。本人が一番苦しんでるのはわかるけども。まあまず高卒3年目のFWをエースに据えてチームの浮沈を託すというのが正しい大人の姿だったのかというのも論点だとは思うが、それにしても長野自身もチャンスはそれなりに貰った上で1ゴールなのがしんどいところ。ドリブルでの推進力はあるし、腕で抑えていなすのは上手いからターンもそこそこ通用するんですよ。しかし全然競り合いは強くないし守備強度も高いとは言えないし、精度の高かったシュートも枠外ばかりで不調を感じる。そもそもスタミナがそんなにあるわけでもないみたいなので、ドリブルで2人も捌いてからのシュートではもうパワーが残ってないみたいな感じもしてる。そこはチーム設計の問題ではあるが。ここまで見た感じでは183㎝あるけどヘディングもそこまで上手くないし踏ん張れるパワーのある選手でもないのでポストワーカーとして育てるより大型ウインガー的な方向性で育てるべきなのではとも思うが、その体格と技術とメンタリティをウイングにするのももったいないなと。なんせ点を取らんことには始まらん。ドリブルで持ち上がってのシュートがダメならクロスを頭で叩くなり抜け出して流し込むなり、フィニッシュパターンを増やしていくしかない。過去2年は順調な成長曲線を描いてきたが初めて壁にぶち当たっている。その壁を超える選手だと思ってるし、過去2年見せてきた輝きはこんなところで終わるものじゃなかったはず。後半戦、皆の期待に応えてください。

39番 塩浜 遼 18試合出場 2ゴール
大卒ルーキーでシャドーのレギュラーを獲得して2ゴールはまずまず良いのではないかと。もっと取れたろとは思うが。なんかひたすら「おしい」みたいな感じで、いいとこに飛び込んでシュートを打つけど決まらない、いいボール送ったけど点にならない、いいエリアに運んだけど相手をかわしきれないみたいな。ドリブルで相手をはがせるし、攻守にコンタクトを苦にしないタフさがあるし、170㎝しかない割に競り合いにも強いので攻守両面に隙は無いのだが、なんでかわからんが結果があんまりついてこない。ただやっぱりフィニッシュパターンが豊富だし自力で打開もできるという事でファーストチョイスになるのはわかるし、積極果敢なプレーを続けてるのも好印象。とにかく今のおしい部分をどう結果に結び付けていくかが鍵である。数㎝の差かもしれないしあと1回あと1歩の差かもしれないけど、そこをこじ開けられるかが後半戦の宿題かと。頼むぞ。

40番 樋口 寛規 11試合出場 3ゴール
在籍8年目の最古参。8年も福島にいた選手って石堂とかと同じ期間ですからね。凄いね。序盤こそボランチでの出場だったものの、8節長野戦以降はトップやシャドーに固定。勤勉なプレスやキープに加えていぶし銀のフィニッシュが光った。ゴールの内訳も決勝弾2つに同点弾1つという勝負強さを発揮。ホームでもそれをやってくれよ。ゴールがどれもザ・ストライカーといった感じでやっぱりFWで使いたい選手だよなという印象。プレースキックも蹴らされたりするけど、14節八戸戦みたいなゴール見せられるとセットプレーのキッカーじゃなくて中で競る方にいてほしいって思っちゃうね。昔ほど運動量は発揮できないけど、相手背負ってキープしたりサイドに流れて起点作ったり色々な事が出来る選手なので重宝するし、一瞬でゴールを陥れる老練さは他のFWには無いもの。スタミナ的にフル稼働は厳しそうだけど後半戦もその老練さで得点を重ねる姿をみせてほしい。バンディエラとしてまだまだ活躍することを期待します。

50番 古林 将太 18試合出場 2ゴール 1アシスト
なんでFW登録されてんのかはわからんけど右WBでポジションを確保。最近は柴田に押されてベンチに。服部監督もかなりコンディション調整しながら起用してたけどあんまり調子よくないのだろうか。しっかりファーから詰めて2ゴールを挙げたものの、自慢のクロスからのチャンスメイクが少なく、守備面も力強さが見られず簡単に突破を許す場面も見られ、ベテランとして期待された分、もう少しやれて欲しかったというのが正直なところ。そもそもが単騎でどうのこうのというタイプではないくてチームの設計に問題があったのかもしれんし、前線はクロスを決めてくれなかったが。上下動だけにならずゲームやビルドアップに変化を加えるボールの持ち出しやパスには引き出しの多さを感じさせるもののもっとシンプルに攻撃的にふるまってもよかったのかと思うし、なんかしょっちゅう股抜きされてるのも改善点なので、後半戦はベテランの意地を見せてくれることを期待します。

監督 

服部 年宏 17試合 4勝 3分 10敗
2年目で17戦やってリーグ最速の10敗到達、入れ替え戦圏内19位と勝ち点1差の18位、ホームゲーム8戦無得点では退任も仕方ないとしか言いようがない。保持にこだわったものの勝てたゲームはシンプルなカウンターばかり、この戦力でどうしろとといった感じなんだろうが去年からひたすら下降線をたどっていた状況なので仕方ないという言葉しか出てこない。個人攻撃になっちゃうし後出しじゃんけんなんですけど、服部監督は積極的に擁護する理由がないというか、擁護する気にならんのですよ。就任当初から農業部にそんなのもあるらしいですね程度の知識だったり静岡ダービーに対して福島のダービーの温度差がわからないとか言い出すのもどうなんだと。僕は負けたくねえよ。ダービー負けた次の日に「てめえら何考えてんだ燃やすぞ!!」とか叫んで練習場殴り込めばいいんですかそれじゃ。そういう明らかなリサーチ不足からしてJクラブの監督の仕事がある~みたいな程度で来たのがわかるし、事あるごとに静岡では~って話を持ち出すのもどうかと思うし、ここ福島だぞと。1000人も入らないシケた街って思ってんのかもしれんけどあんたが率いてんのはその街福島のクラブなんだぞと。ビジネスで来ましたって人が馴染む努力もしないでビジネスで結果でないんだから擁護する理由がないよねと。人間感情の生き物なので。ただこれはクラブ側も結構悪くて、監督のイメージアップみたいなのとか、監督の心境みたいなのを発信して味方づくりをするという事を一切しなかったのも問題じゃないかと。クラブとして監督を守る行動があっても良かったと思うんですが、依田さんが農業部の活動に参加してるあたりやっぱ服部さんはそういうの断ってたのかしらね。ともかく1年半ありがとうございました。スラっとした立ち姿はかっこよかったです。愛する故郷静岡で楽しく暮らしてください。

依田 光正 2試合 1勝 1分
ヘッドコーチから昇格。まだ2試合だけだし、ベースも選手起用も服部監督のものを引き継いでるので未知数ではあるけど、今のところ負けなし。服部監督のときに足りなかった球際での激しさととにかく前、裏を狙うという意識づけが功を奏し結果が出ている。前監督のベースを引き継ぎながら悪かった部分に修正を加えつつ、選手たちに強烈に前への意識を求めることで得点力不足の解消を図るということで、後任監督としてはここまで満点なんじゃないだろうか。コメントや行動からにじみ出る熱さもいい。クラブも熱く正義感のある男と言ってるしな。試合中テクニカルゾーン最前線で「横じゃなく前!!」って叫んでるのもいい。いちいち頼もしい。後半戦頼みますよ。

レンタル中の皆さん

GK 安西 駿
会津出身の大卒ルーキーなのだが北信越リーグの福井ユナイテッドFCへレンタル。2番手のポジションを争ってる状態みたいなのだが試合には全然出られてないみたいなのでちょっとそのレンタル意味あるのみたいな感じがしてる。とりあえずは今の環境で試合に出ること、そこで出られなきゃ山本海人の牙城は崩せない。貴重な福島県出身選手なのでホームで見たいのだが。

DF 八木 大翔
高卒2年目の今年も武者修行という事で北信越リーグ福井ユナイテッドFCへレンタル。ベンチにすら入れていないのだが大丈夫なんだろうか。ウチの清田や三木もそうだけど、試合に出て実戦経験を積むためにカテゴリを落としてるのでそこでベンチにも絡めないのは結構まずい。福島のレンタル方針は地域CL出れるレベルのクラブで通用するという事を求めてる気配があるので八木は早くも正念場である。がんばれ。


おわりに

29日からJ3後半戦スタートです。今年の暮れには降格しちゃいましたねなんて書かなくて済むように、まずは目の前の一戦一戦を勝ち切っていってほしいところ。エース不在のシーズンですが我こそはという者が出てくることに期待します。雪江ちゃんそのまま二桁得点まで行ってくれ。
余談なんですが僕はSuchmosが好きなんですよ。SuchmosのTHE ANYMALというアルバムに「HERE COMES THE SIX-POINTER」という楽曲があるんですけど、歌詞に「チャンスメイクしようぜ 毎日がシックス・ポインターだ」という一節があります。意味合いとしては毎日が大事な局面というニュアンスで解釈してるんですけど、福島ユナイテッドも後半戦上を目指すならまさにこれだなと。毎試合シックスポインターなんすよこの位置から上に行こうとするなら。上だけ見て、勝利あるのみ。福島にとって福島ユナイテッドが誇りであることを示そう。まず讃岐戦勝ち切って反転攻勢の口火を切りましょう!

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