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4回刺された話

4回刺された。

何を物騒なことを、と思うだろうか。

なんてことはない。

採血を失敗されて、4回針を刺されただけの話である。

痛かった。

本当に痛かった。

かつて刺される瞬間を凝視してしまったことがあった。

その時気づいた。

針太ぉっ!

斜めにカットされた針。

穴が空いた縁がはっきりと目に焼き付いてしまった。

以来、注射は恐怖である。

そんな苦手な採血に挑んだ結果がこれだ。

嫌だ嫌だと思いつつも、看護師の顔をみてふと思い至った。

「自分が採血する側だったら、多分吐く」。

注射器を何度も刺されてストレスを溜めた相手にまた針を刺さなければならないストレスたるや。

怒り出すかも。

舌打ちされたらどうしよう。

また失敗したら申し訳ない。

手が震えてくるかもしれない。

ああ、看護師って大変だなあ……。

針が痛くて、看護師の心を勝手に想像して、顔面蒼白になりながら採血を終えた。

家に帰り、いろんなストレスから解放されると、腕に貼られた四枚の絆創膏が滑稽だった。

ありがとう、看護師さん。

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