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「凄いよ!月野はん」


確か2010年頃、都内のどこかのライブハウスに行った時、月野はん(私はそう読んでた)という音楽活動をしてる人と知り合った。


知り合ったといってもライブハウスの1階ラウンジみたいなとこで、私が一人でまったりしてたら泥酔した月野はんに絡まれた。その後は某SNSでしばらくやりとりした程度。

「君の苗字をよこせ。アタシはもうアカガミやるのが嫌なんだよーぅ」
「君は幸せに生きてきたっぽくて、なんかイヤだ」

確かそんなような事をのたまっていらっしゃったと記憶している。その時は初対面だから意味のある台詞とは思えなかったけど。


この月野はんという方が何かと面白い人で、黒いゴミ袋ドレス着てたり、工事現場のコーン被ってたり、殴られたアザのメイクしてたり・・・わりといつも泥酔状態でステージ上がってたり。
心の葛藤とか生きるの死ぬのがテーマなせいか、ステージを転げ周りながら絶叫するように唄ったり、泣いたり、叫んだり・・・・・・(ラジバ・・・って頭によぎった君、あとで職員室まで来るように)


ガワの部分はそんな感じなので、一見するとわりとよく見る痛々しいヤツ。


だがしかし、本人が作詞作曲している曲はやさしいメロディーにストレートな言葉というガワの痛々しさと真逆のど直球!

ガワと中身が極端なくらい正反対なせいか、始めて見た時もの凄ーーく印象に残った。(その日見た出演者で唯一記憶に残っている)
けど、その時はなぜか「お?面白いやつ居るなー」くらいにしか思ってなくて名前すら何故か知ろうとしなかった。

それからちょっと経って、バンドのボーカルしてる友人が月野はん(元々その友人がそう呼んでた)のCDを褒め称えていて「ああ、あの人が月野はんか!」と知ったところから本格的に興味を持つようになった。


それでライブとか曲とか、何気なく言い放つ言葉とか見聞きしていたら、あの世間が白眼視しそうな自己演出と泥酔状態でライブする意味が分った。
その時に素直に「凄いわ~この人」と思った。

結構壮絶なメンタリティの持ち主なせいか(酷い時は何週間も固形物食えなかったり、何ヶ月も入院してたりするらしい)



ものっっっっ凄く怖くて怖くて仕方が無い!らしい。ステージに出るのが。


なのでライブ前に泥酔してから出陣するんだそうだ。(本人談)


それは誰しも似たような事あるから分るとして、あの世間が煙たがるようなパフォーマンスは一体何なのか。
わざと人から「うわぁ・・・」と思われる事しといたほうが気が楽なんだろか?自分からそう仕向けてると思えれば。(こっちに関しては、そう簡単に自分騙せるタイプとも思えないが・・・)


そんな性格で表現を生業にしてるのも凄いが、それでもホントに表現したい事は曲げずに真っ直ぐ伝える事とか、そういう風に自分をどうにか奮い立たせてる事が、凄いとしか言えない。


更に凄いと思うのは、こんなに叫んでも伝わらないかも知れない・・・伝わらないのは自分のせいかも知れない・・・
そんな風に思ってボロボロになっても、また同じ事やろうとする生命力のエグさが凄い。まあそのせいでダウンしてるのかも知れないが・・・



なのでそれだけに、見ててこう思う・・・



唄っても叫んでも、誰にも伝わってない気がする時、世界に「おまえなど死んでしまえ」と言われている気がするのだとしたら、そこから逃げない意志が不憫でならない。



オギャー!と叫んでも聞いてくれなかった相手(この世界とか)への憤りを自分に向けてしまうのだとしたら、誰かを自分から突き放すのだとしたら、そうやって誰かを守ろうとしているなら、その優しさが不憫で・・・



いや・・・ちょっと待て。



あの叫びを放っておけない人達は沢山居るみたいだし、そういう人らが既に周りに集まって支えてくれてる事は本人も知っていると思うので、やっぱり別に不憫って事は無いのかも笑



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※現在の活動状況が不明だったので名前を伏せてましたが、思うところあってそのまま書く事としました。
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