子育ての夏も楽しい思い出となる。
8月のはじめ。
息子の年長お泊まり保育の日がやってきた。
親元を離れて二泊三日。
息子にとっては、はじめてのお泊まりだ。
親としても不安が入り交じる。
周りの子とうまくやっていけるのか、夜は泣かずに寝られるのか。
その一方で、親元を離れて生活できるほど成長したなという感慨もある。
そして当日、息子は笑顔で出発した。
屈託のない笑顔で。
今晩は友人と飲みに行く約束をしている。
今までの子育ての労を労ってくれる友人と。
息子の宿泊先から何か連絡あれば
パパが対応することになっている。
準備万端だ。
* * *
夜に出掛けるのは何年ぶりか。
忘れかけていた夜の街は、新鮮でまぶしかった。
子育てを始めてから着なくなったスカートを引っ張り出し、イヤリングも身につけた。
少しおしゃれをして軽やかに街に繰り出す。
約束のお店に入ると、友人が待っていた。
「はじめは何飲む?」
「もちろんビールでしょ!」
程なくして、いい具合に注がれたビールグラスがやってきた。
ライトに照らされて泡がキラキラ輝いている。
「かんぱ~い!」
ここまで来るのに長くて大変だった。
暑い夏の日に息子が寝付かなくてイライラしたな。
(翌朝、隣のおばあちゃんに心配がられた)
ミルクをなかなか飲まなくて1時間かけて飲ませたこともあったな。
(自分のおしりが暑さで蒸れて、皮膚科に駆け込んだ)
保育園の下見にベビーカーで行ってみたけど、上り坂がきつく、あまりの暑さに断念したな。
(結局違う保育園に入園した)
・・・
だけど、子育ての数々の苦労と失敗も今なら昇華出来そうな気がする。
あの夏に乾杯!