書評:人類はなぜ肉食をやめられないのか?
どもっ!かにへーです
魚食主義の僕でさえ、豚肉におぼれた
僕はときどきこの世が「魚食主義社会」になれば、魚の相場もあがり漁師さんやお寿司屋さんがヒーローになって、資本が魚食業界にこれでもかと投資され、みんな本気で持続的に魚食をするためPDCA回しまくって、結果魚の源泉である水環境は大気とも密接に関わりがあることに気づき、大気含めた地球環境全体にも気を遣う結果、僕らの宇宙船地球号はいつまでも安全航海をし続けるだろう…とか思ってしまう変人なんですが、ふとこう思うときもあるんです。
「なぜ僕は魚を食べるのか?」
そう、魚食哲学ですね。
「そもそも、なんでみんな魚より肉を食ってしまうのか?」
僕も若いときはぶっちゃけお肉(いわゆる畜肉)好きでした。
特に豚肉。大学時代は同じ寮に住む人たちでKFCを作ったりしてました。
そう、K(かつ丼)F(ファン)C(クラブ)ですね
ソースカツ丼は認めない!
ラーメン屋のカツ丼は胡椒が効いてる確率が有意に高い
なか卯のカツ丼、意外とうまいな
学生食堂のカツ丼のカツは何故あんな合成肉みたいな食感なのに許してリピートしまうのか
どんどんどん!かつどんどん!力がみなぎるかつどんどん!
など、カツ丼の優劣、議論に興じていたときもありました。
魚食の深みにはまった今でも、妻がミートイーターなので一緒の食事をとる僕も普通にお肉食べてます。
みんなは、どのタンパク質食べてる?
数字を見ると、本当に人間はむっちゃお肉食べるなぁ~とびっくりします。
以下、かにへー調べの世界のタンパク質生産量比較です。
牛 1億6000万トン
豚 1億8000万トン
鶏 2億トン。骨付き換算。丸からの歩留り62%
鶏卵 6100万トン
羊 150万トン(うちラム85万トン、マトン65万トン)
サーモン 350万トン(天然100万トン、養殖250万トン)
マグロ 224万トン(天然220万トン?、養殖ホンマグロ4万トン)
マダイ 7-8万トン(天然1.5万トン、養殖6万トン)
ブリ類 25万トン(天然10万トン、養殖15万トン)
ブリ養殖 10万トン
カンパチ養殖 3.5万トン
その他ブリ類(ヒラマサ) 1.5万トン
海面漁業 8500万トン
内水面漁業 1200万トン
海面養殖 6300万トン
内水面養殖 5100万トン
大豆 3億3000万トン
※全て元の動物重量、丸魚重量換算。2017~2019年の数値にて作成。
(畜肉は丸魚の重量に合わせるため、枝肉の歩留りから元の重量に戻してます)
単一の養殖魚(特に日本の主要魚種)のボリュームって全然小さいな~というのを見るために分けたんですが、ギュっとまとめると、こんな感じ!
畜肉全体(牛、豚、鶏):5億4000万トン
漁業全体(海、内水面、養殖):2億1200万トン
穀物(大豆のみ):3億3000万トン
※人のタンパク源としての穀物は、もっといろんなものあるとは思います
魚介の2倍以上、これだけのお肉を、我々霊長目ヒト科ヒトは育てては食べてるんですね
人類はなぜ肉食をやめられないのか?
ということで、本題のこの話です
ヴィーガンでもあるサイエンス・ジャーナリストの著者が、その奥さんもヴィーガンになろうとしてくれたらしいんですが、何度も挫折して肉を食べてるのを見て、
「逆に、なんでそんな肉を食いたくなるんだよぉっ!」
というパトスを動力に人類の肉食に関わる情報を集めまくって、一冊に仕立て上げたって感じの本です。
なので、肉食vs魚食のタンパク質比較は無く、畜肉vs菜食についての本です。特に、アメリカの人なので畜肉の中でも憧れのお肉となりやすい牛肉食についての視点です。
味覚、栄養、生物、歴史、文化、宗教などいろんな方向に話が転がっていて、ちょっと読みづらい長い本なんですが、以下「なぜ肉を食べるか?」の理由を抜粋しておきます
・スーパーテイスター(味覚がめっちゃ良い人)は、一部の野菜に多く含まれる苦味のある成分が苦手なので肉を食べる。
・焼いたらメイラード反応でめっちゃ良い芳香するし、グルタミン酸(うまみ)と脂肪が混じりあってたまらないよね。
・アウストラロピテクスはめっちゃ草食べることを選んだけど、ヒト属は肉を食べて生き残ったから(生物として埋め込まれてる説)
・大きな生き物をとることで、捕食、共食が生じ、効率的な栄養の摂取により社交への時間が生まれ、ヒトは社会性が強まった。(社会性を高めるために肉を食ってたという逆説)
・アメリカでは牛肉&豚肉のチェックオフ制度(生産者や輸入車が、牛1頭売れたら1ドルをプロモーションを行う協議会に支払う仕組み)により集まった資金で「夕食はビーフ(Beef. It's What's for Dinner)」というフレーズを宣伝したり、めっちゃプロモしてるから
・欧米諸国が食べてるからって、アジア人は憧れてるんだろ?
・肉を食べたら屈強な欧米戦士になれるって、憧れてるんだろ?
などなど…
一方で、肉を食べない宗教が存在している理由の考察も書かれており、
・中東は穀物と水が不足しているから、ユダヤ人とイスラム教徒は仮に豚食が広まり育ててしまうと、人と資源をとりあってしまうので豚肉を禁じた
・インド、ヒンドゥー教での牛食の禁止は爆発的な人口増加に対する経済政策。森を伐採して牛を食べると不毛の地にもなり、牛は農作業の助けにもなるため宗教で禁じた
逆に宗教による規制が無かったら、中東やインドに住む人らも自然と肉食に傾倒していったのか?と思うような記述でした
肉食を中心に、いろんな知識が展開されるのは面白かったのですが、散らばっていたので書評を書くにしろ、頭の中に入れるにしろ、少し疲れる本でした
キャッチーなタイトルにそそられて、読んでみたらボリュームが多くて、完読したはいいけど後から苦しくなる…
なるほど、ヴィーガンの著者は分厚いステーキのような本を書くことによって、肉食が増える世の中に警鐘を鳴らしているのかもしれません
最後に(反省)
今回はとてもとりとめのない記事になってしまいました
実は毎月noteに1本はコンテンツを投稿しようと思ってるんですが、今月は魚のラップを小学生向けに作っていたり、それなりにちゃんと働いていたり、自由な思考の時間が余り無かったんですよね
ということで、先月から読み始めたこの本を半ば意地になって読破してまとめてみました
本は食と同じで、意地になって食べちゃダメですね~
みんな、好きなものを食べよう!
サポート頂けたら勿論ありがたいのですが、出来たらそのお金でご自身で魚を買って捌いてみたり、居酒屋でプロが作る魚料理を食べてください~~!!