カニと猫

我が家にちゃまるという猫がきた。

子なしの中年夫婦のところに
猫がやってくるとこんなになってしまうのかと
自分でも笑えるくらいに
心がちゃまるでいっぱいになっている。

眠っていた母性本能が
堰を切ったように溢れ出し
だだ漏れしている。

朝起きたらちゃまる
珈琲のんだらちゃまる
歯を磨いたらちゃまる
仕事から帰ったらまずちゃまる
ネットみたらちゃまる
皿洗いをしてはちゃまる
なにをやってもちゃまるになってしまう。

過保護すぎるぞ！おい！

という声が頭の中で聞こえる。

ちゃまるが人間だったら
思春期になったらグレてしまうかもしれない。
そうなった時の
どうしようもなく淋しい気持ちも
ありありと想像してしまう。

なんですかこの状況は！
カニへの愛はどこいった！

またもや
頭の中で
声が聞こえる。

ごめんなさいごめんなさい
大丈夫です。
カニは別格です。

でも
たしかにこのところ
ちゃまるにうつつを抜かしてました。
これは仕方ないんです。
最初ですから。

恋もそうでしょう。
最初はぷわーっとのぼせあがってしまうけど
少しずつ落ち着いて
深い愛に変わっていくでしょう。

これからすこしずつ
落ち着いていきますよ。
大丈夫です。

カニさまはいつもそばに。

あおきさとみ