見出し画像

エネルギーは低いところから高いところに流れるもの

久しぶりに酔っ払った。

気がついたら
朝の4時。

昨日着ていた服のまま
コンタクトもつけたまま
逆さまにベッドに入っていた。

昨日の記憶が全くない。

夫に聞くと
「記憶ないだろう」
と不敵な笑みを浮かべている。
嫌な予感だ。

夫によると、
宴を終えて
片付けを始めても

わたしは
片付けもせぬまま
ひとり机で飲みつづけていたらしい。

「ちょっとそのお皿とって」
と洗い物をしている夫に言われて

わたしは
「それはエネルギー的にどういうこと?」
と答えたそうである。

夫からすると
お皿をとってくれと頼んだのに
まさかそんな返答をされるとは
さぞわけがわからなかったことだろう。

さらに
「エネルギーは低いところから高いところに流れるものだから」
といいだし
「わたし、エネルギーの高い方に行っていい?」
と言うやいなや
匍匐前進をしながら寝室に向かい
寝室の床で眠りはじめたそうな。

わたしが
寝室の床で寝ている間に
夫は台所を片付け
お風呂に入り

わたしにも
お風呂を促したが

わたしは
「お風呂には、はいらない!!」
と断固とした口調で宣言して
逆さまにベッドに入りこんだそうである。

「だからほっといた」

そりゃそうだろう。

片付けまでしてくれて
ほっといてくれて
ありがとう。

わたしは
酔いを覚ますために
お風呂に行った。

我が家は
薪で焚く五右衛門風呂なので
外に風呂場があるのである。
風呂の湯はすっかり冷めている。

寒くはあるが
水よりはマシだと
自分に言い聞かせ
身体を流す。

ふと足元をみると
大ぶりのカニがいた。

カニがうろつく季節ももう終わり。
今年最後のカニが
挨拶に来てくれたのか。

カニも
酔いが覚めたようで
真っ赤ではなく
茶色い落ち着いた色で
ゆっくりと歩いている。

エネルギーは低いところから高いところへ
流れていくものだそうである。

それならよかった。
高い方にしか行かないなら
安心だね。

カニはそろりそろりと
風呂場から裏の森へ
帰っていった。

あおきさとみ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?