告っとけばよかった

中3の思い出。好きな人ができた。席替えで席が近くなったのがきっかけだったと思う。そこから好きになるのは早かった。当時モテなかった私は、女子と話せるだけでほとんど恋に落ちたも同然だった。
あと、顔が好みだった。どれくらい好みだったかというと、彼女そっくりのキャラクターが表紙に描いてあるライトノベルをジャケ買いするくらいには好みだった。めちゃめちゃかわいい訳ではなくクラスで5番目くらいのかわいさだったと思うのだが、私には絶妙に刺さる顔だった。

彼女と仲良くなりたくて隙を見ては話しかけた。彼女は英語教師になるのが夢だった。私は英語はあまり好きではなかったが、彼女に近づきたい一心で勉強に励んだ。結果的に彼女より点を取れるようになり、少し気まずかった。昼休みは彼女と勉強し、帰りには彼女の姿を探した。私は彼女に夢中だった。しかし、あまり仲は進展しないまま卒業までのカウントダウンだけが進んでいった。

彼女は家庭の事情で県外の高校に進学する予定だった。そして受験の都合で卒業式に出られないとのことだった。私は焦った。卒業したら会えなくなってしまう。付き合いたいと思った。けれど告白するなんてそんな勇気はなかったし、メアドを聞くことさえできなかった。
卒業が近づくにつれ、彼女とは疎遠になっていった。きっと私の片思いで、彼女は私のことを好いてはいなかったのだと思う。精神的な距離をものすごく感じた。

彼女の最終登校日、少しだけ話をした。内容はあまり覚えていないが、元気でね、みたいな当たり障りのないことを言ったと思う。彼女が全然笑ってなくて彼女の態度が冷たく感じてショックだったことは覚えている。それ以来彼女とは一度も会っていないし、今どこで何をしているかも分からない。

告っとけばよかった。10年経ってもこんなふうに思うんだったら告っとけばよかった。十中八九断られていたし、彼女にも不快な思いをさせていたかもしれないけれど、それでも告っとけばよかった。どうせ彼女は県外の高校に行くし私は隣の市の高校に行くのだから、フラれたとしてリスクはほとんどなかった。もし当時に戻ることができたら、私は間違いなく告白する。やらぬ後悔よりやる後悔。これはほんとだなといつも思う。結局、チャレンジしなかったことを後悔するのだ。チャレンジすらしなかった自分を恥じるのだ。大抵のことは失敗してもすぐに笑い話にできる。チャレンジしなければ、一生自分の心のなかで抱えることしかできない。だから、迷ったらやったほうがいい。やらないよりずっとましだ。
ちなみに、当時考えていた告白の台詞は、I miss you。
やっぱり告らなくてよかった、かもしれない。

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