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『ボクたちはみんな大人になれなかった』を読んだ。

兼近推薦図書 読書感想文 第二弾

著:燃え殻
『ボクたちはみんな大人になれなかった』


まさかこんな短いスパンで私が小説を2冊も読むなんて。信じられない。信じられないにも程がある。今が人生で一番本を読んでいる。今日なんてもうテレビも見ずに、アベプラも見ずに、兼近がおすすめしていた小説を8時間かけて読んでいた。昼はソイラテ、夜はクリアアサヒをお供に。とてもいい休日だった。

どうやら私は、兼近がおすすめしてくれる本ならいくらでも読めるらしい。そして、私にとってそれは、EXIT出演のテレビ番組を見るのよりも楽しいらしい。まことにもうしわけない。

兼近のおすすめしてくれる小説は全て、内容も総じて私のツボにどハマりしている。彼の好きだという本は総じてしんどい。読んでる最中から読み終わって寝るまでずっと胸が苦しい。刺さりに刺さる。もうこれは兼近関係なく、小説自体が、私個人に馬鹿みたいに刺さっている。

そして、兼近推薦図書を2冊読破し、
ひとつ気づいたことがある。

私が今まで本を読めないと思っていたのは『私にとってつまらない本』を無理に読もうとしていたからなのだということだ。

今話題の〇〇賞作家!とか〇〇も大絶賛!とか、どこの誰かも分からない、自分とは人生観、恋愛観、趣味趣向、その他諸々の全てがかけ離れている人からの“何処の馬の骨かもわからないオススメ本”をなんとなく手に取っていたのだ。当然、途中で飽きる。
だって、何一つ共感できないのだ。


実は私は某ミュージシャン兼文筆家のエッセイも持っている。自分で買った訳では無い。前にお付き合いしていた方に半ば押し付けられる形で、最終的に借りパクしたものだ。某ミュージシャン兼文筆家の曲は暗めのやつなら好きだったので、(これなら読めるかな?)と期待をしたものの(やっぱなんか違うな)と思って結局1/3くらいしか読めていないまま本棚にある。ちなみにその方とも(やっぱなんか違うな)と思ってお別れしている。

『オードリー若林のエッセイは何回も読めたのに』の謎は解けた。私は、所謂“そういう人が書いたやつ”しか読めないタチなのだろう。

そして兼近もきっと“そういう人が書いたやつ”が好きで、だからそれをオススメしてくれる。だから楽しく読めるのだ。単純に“兼近が好きだから読めている”というわけではないということに、ついさっき気づいた。
世界、不思議、発見。


今回読んだ『ボクたちはみんな大人になれなかった』を書いた燃え殻さん、という方も“そういう人”なのだろうと感じた。

なんとなく現実に絶望していて、自分があるようで無いような気がしていて、でもそんな自分が嫌いじゃなくて、どこか冷めた目で周りの人間を見ている。そして、孤独が好きなくせに、どうしようもなく誰かを求めてもいる。

そんな人が書いた本、だと私は思う。


誰かと付き合って、誰かと別れたり
誰かを好きになって、報われなかったり
誰かを好きになって、好きじゃなくなったり


そんな苦い経験や、切ない思い出が鮮明にフラッシュバックするような作品。驚くほど面白くて、嘘みたいに読みやすい。そして、馬鹿みたいに苦しい。リアルな現代を背景にしているだけあって余計に苦しいのだ。




『好きって何?』


この問いについて、本作ではこのように答えている。全くその通りだと思う。兼近も同居人にカプヌゥチャーハンを振舞った時に同じようなことを言っていた。あれはこの本の受け売りなのかもしれないと、少しだけ思った。

それと同時に、どうして『好き』は報われない状態でしか鮮度を保てないんだろう、とも思った。どれだけ高い地点からスタートしたとしても、間にどれだけの刺激や楽しみを挟んだとしても、報われてしまった直後から『好き』の鮮度は右肩下がりだ。相手が原因の場合もあれば、自分自身の心の問題が原因の場合もあるだろう。いずれにせよ、幸せという常温であたためられている『報われた好き』は日に日に傷んでいってしまう。逆に言うと『報われなかった好き』は苦しさという氷点下でずっと冷凍保存されてしまうのだ。げに、恋愛というものは、いくつになってもままならない。

どうしてそうなんだろう、どうにかして『報われた好き』でも腐らせない方法は無いものか。お酢でシメてもダメですか。



どうやらダメらしいです。つら。
と、そんな気持ちになる、とっても切なく苦しいお話でした。いや、話の内容自体はそんなに苦しくは無いんですけど、私は勝手に切なくなって、勝手に苦しくなってしまいました。

しかしどこか軽快で、スルスル読むことが出来たので、とても楽しかったです。

比較的短くライトな小説でしたので、読書感想文も比較的ライトに終わりたいと思います。毎回あんな論文みたいな感想文書いてたらさすがに頭がおかしくなる。

ちなみに実は既に、又吉パイセンの『まさかジープで来るとは』と『カキフライが無いなら来なかった』もAmazonで発注済みなのだ。
多分、明日には届く。

しばらく兼近推薦図書 読書週間はつづきそうです。


おやすみなさい。
🦀


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