これ以上わかりやすく書けないオプション取引を始める時に知っておかないといけないこと(用語/概念)(2)
(1)はこちらから。まだの人は先にこちらをどうぞ。
日経と権利価格帯との関係(を表現する用語)
日経平均が今いる価格帯または、権利行使価格が日経平均ちょうどにいる場合をATM (at the money)
日経平均が権利行使価格よりコールなら上、プットなら下にいる場合をITM (in the money) (金額が無限大で買いなら利益、売りなら損失の方向) 距離がある場合をdeep ITM (どのぐらいかの定義はありません)相当距離がある場合をファー (どのぐらいかの定義はありません)と呼んだりします
日経平均が権利行使価格よりコールなら下、プットなら上にいる場合をOTM (out of the money) (金額限定で買いなら損失、売りなら利益の側)距離がある場合をdeep OTM (どのぐらいかの定義はありません)相当距離がある場合をファー (どのぐらいかの定義はありません)と呼んだりします
利益との関係を図にまとめると以下のとおりです。(損益が無限大と限定の方向がコールとプットで逆になっていることに注目)
合成損益図で示すと下記のとおりです。(厳密には単独のポジションなので合成ではない)
コールとプットで権利行使価格に対して損益が限定されている方向(コールは権利行使価格より下、プットはその逆)と損益が無限大の方向(コールは権利行使価格より上、プットはその逆)が左右の鏡像の関係、
買いと売りで利益と損失の限定度が逆(買いはコール/プットとも損失限定、利益無限大、売りはその逆)と上下の鏡像の関係になっていること
に着目してください。
余談ですが、利益無限大の向きがどうしても覚えられない方はカタカナのコールのル、プットのトで覚えると良いです。
出典:https://rmc-oden.com/blog/archives/1415
ITM, OTMの使い方としては、
日経平均が27500円の時に C28000 を買い(@75)で購入、「まだOTMだから損失」、日経が上がってきて28000になったら「やっとATM近辺に来た」、さらに上がって28500円まで上がったら「やっとITM(インザマネー)で利が乗ってきた。ひと安心だ」というふうに表現します。
もしくは持っている権利行使価格を言いたくない場合は「今は買いで持っているプットがOTMなので含み損」とか「コールを売りで持っているのでOTMだから利益。これがITMになったら損害が底無しだから早く逃げないと」
みたいに言えるとかっこいいです。
プレミアムの値動きの仕組みとヴォラティリティ (VI)
オプション取引でもう一つ厄介なのがプレミアムの値動きの仕組みです。
普通の先物であれば日経が100円上がれば先物も100円上がる(ただし先物miniは100倍なので、100円動けば1万円、先物(ラージ)は1000倍なので100円動けば10万円)、逆も同じ、で値動きが1:1の関係なのですが、オプションのプレミアムは後述の4つの要素をブラック=ショールズモデルに基づくややこしい方程式に投入し計算されて決定されています。
気になる方はこちら、ただし知らなくても全然問題ないので数式が苦手な方はスルーを
計算式は知らなくても以下の4つの要素(リスク・パラメータと呼びます)によってオプションのプレミアムが決まるということは知っておいた方が良いです。
<オプション価格の変化の要素>
①原資産の株価変動の方向
②時の経過
③原資産の株価変動量
④株価変動率予想(IV)の変化
これもざっくりで良いです。
具体的には
①原資産の株価変動の方向 → 原資産=日経が上がればコールのプレミアムは上がる。プットのプレミアムは下がる 逆はその逆
②時の経過 → SQ日が近づくにつれてプレミアムは原則下がる方向、最終的にすべてのオプションのプレミアムはSQ日にゼロになる
③原資産の株価変動量 → 日経の変化のスピード急騰/急落だとプレミアムは上がる方向へ、ゆっくりした変化、もしくは変動せずならプレミアムへの影響は少ない
④株価変動率予想(IV)の変化 → ③と似ていますが、1ヶ月先に株価が何%変動しうるかを表したものを株価変動率予想(IV)(implied volatility インプライド ヴォラティリティ)と呼び米国では恐怖指数(VIX)、日本では日経VIで知ることができます。(当然日本のオプションは日経VIの影響を受けます)
例えば以下のリンクで日経VIを見ることができます(他でもみられます)
具体的には下記のサイトで上記4つの要素を動かすことでプレミアムがどのように変化するかわかりやすくグラフで知ることができます。
もう一つ大事なプレミアムの変動率に影響を与える要因
もう一つ大事なプレミアムの変動率に影響を与える要因として権利行使価格とその時の日経平均(ATM)との距離があります。(デルタ)
deep/far OTM(日経平均が権利行使価格より、損失/利益限定の方向に相当離れている場合)の場合 変動率は0.1 (つまり日経が100円上がればコールは10円上がり、プットは10円下がる)(正確には離れるほど0に近づく)
ほぼATM(日経平均と権利行使価格がほぼ同じ)の場合 変動率は0.5 (つまり日経が100円上がればコールは50円上がり、プットは50円下がる)
deep/far ITM(日経平均が権利行使価格より、損失/利益無限大の方向に相当離れている場合)の場合 離れるにつれて変動率は1に近づく(つまり日経が100円上がればコールは100円上がり、プットは100円下がる)
言い換えると1枚のポジションがdeep/far OTMの時は日経先物miniと同じような振る舞いなのが、だんだんATMに近づくにつれて変動幅が大きくなりdeep/far ITMになると日経先物(ラージ)(つまり日経先物mini10枚分)を持っているのと同じ変動率になるという直線ではなく「指数関数的に」動くということがイメージできますでしょうか?
ここでオプションは1000倍のレバレッジがかかっていることを思い出して下さい。たかが280円のプレミアムが400円になる(差額120円)と思うかもしれませんが、買いの場合は12万円の含み益、売りの場合は12万円の含み損です。
売りで持っているオプションがATMに近付いて行き、ITMになり、deep ITMになることの恐ろしさは体験したものにしかわかりません(体験済み。200円のプレミアムを先に手に入れようと3枚売って(つまり60万円)、逆方向にATMまで近付いて行って400円まで行った時の恐ろしさ。ITMにはなりませんでしたが)が、体験せずに済むに越したことはないので、「売り建てのATM近辺(場合によってはATMから500円の距離)が見えてきたら逃げる準備を」は大事なルールと思います。
結局自分の持っているポジションや建てようとしているポジションのプレミアムがどのように変化するのかを把握するために何を見ているのか
自分が持っているポジション、または新たに検討しているポジションのプレミアムがどう変化するかを予測する上で見ていることは、同じことの繰り返しですが、
現在の日経平均の価格と、方向性(上げているか下げているか)
保有/検討中のオプションの権利行使価格との関係 (ITM vs OTM、そしてATMとの距離)
その行使価格のプレミアム
SQ日までの日数
ヴォラティリティ(日経VI)
です1〜3は意識しなくても見ているものですが、4はオプションの価格表などには書かれていません。しかし、プットの買いや売りを入れるタイミングは日経VIを参考にしていることも多いので、相場が始まって1時間ぐらいしたら必ず見るようにしています(そのぐらい経たないとVI値が出ない)
今回はここまでとします
証拠金、ポジション/ポジション組み、損益分布図/合成損益図については次回。
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