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坪内祐三さんがどうしても書きたかった『玉電松原物語』(No. 886)

考える人 メールマガジン
2020年10月22日号(No. 886)

祝・ペンローズ氏ノーベル物理学賞受賞!
竹内薫さんによる《超天才を読み解く10冊》&
茂木健一郎さんによるインタビュー復刻掲載!

ロジャー・ペンローズ氏がノーベル物理学賞を受賞したのを受けて、『宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか』など、ペンローズの研究を日本に紹介してきた竹内薫さんに《超天才ペンローズを読み解く10冊》を緊急寄稿していただきました。ブラックホールから人間の心まで、超天才の思想に迫ります。

さらに、以前発行していた雑誌の「考える人」では、2005年に茂木健一郎さんによるペンローズ氏へのロングインタビューを掲載していました。今回の受賞を記念して、この貴重なインタビューを再掲。人の心や脳、意識といった永遠のテーマに物理学はどう迫るのか。記事が掲載された15年前よりも「人工知能」の概念が浸透した今、改めて読んでいただきたい記事です。


坪内祐三さん『玉電松原物語』試し読み、
担当編集者による追悼エッセイ掲載


今年1月に急逝した文芸評論家の坪内祐三さん。雑誌「考える人」では、創刊時からその名も「考える人」という連載をしていただきました。

坪内さんの最後の著書となった『玉電松原物語』の試し読みと、長年の担当編集者である新潮社・江木裕計による追悼エッセイ「坪内さんがどうしても書きたかった物語」を掲載いたします。

じつは坪内さんは、かつて「玉電松原物語」と題する七十枚の短篇小説を仕上げて、新潮新人賞に応募したとか。その後、文筆家として活躍されてからも〈いずれ必ず『玉電松原物語』を書く〉と周囲には予告していたそうです。

そうして小説新潮で連載「玉電松原物語」が始まりましたが、突然の最終回を迎えました。まとめられた本は未完ながら、昭和カルチャーの申し子たる坪内さんの、私小説のような昭和文化論となりました。ぜひご一読を。


道草晴子さん『よりみち日記』試し読み!

新連載「よりみち日記2」が好評の道草晴子さんの新刊『よりみち日記』が10月29日に発売されます。発売に先駆けて、「考える人」では第1~3回を公開します!

長い人生、たまには“よりみち”したって大丈夫。道はどこまでも続いてる。13歳でちばてつや賞を受賞した翌年、精神科にもデビュー!? 波瀾万丈過ぎる人生を送る著者が、もう一度漫画の道を歩き出す。下北沢の人々とのふれあいに励まされながら、懸命に前に進もうとする著者の日々を綴る、泣き笑いエッセイ漫画。

アクセスランキング

■第1位 竹内薫「たいせつな本」
超天才ペンローズを読み解く10冊

■第2位 安田菜津紀の写真日記
「名前を変えればいい」という声に

「福島という名前を変えたら」という声を聞いたときに安田さんが思い出したのは、先日観劇したという青年劇場の公演「星をかすめる風」。「名前」の価値、そこに込められた想いを見つめなおします。

■第3位 加藤ジャンプ「ロビンソン酒場漂流記」
第1夜 やっぱり、そこは胸のエンジンに火をつける店だった

コの字酒場でおなじみ加藤さんが「ロビンソン酒場」を訪ねる新連載がランクイン! どの駅から歩いても遠く、「なぜこんな不便な場所に?」という立地に忽然と現われる「ロビンソン酒場」、酒と料理はもちろん、そこで繰り広げられるエピソードまで絶品です。

最新記事一覧

■道草晴子「よりみち日記2」(10/16)
2.なんだかおかしな時代だな

自粛期間中の下北沢で道草さんがふと感じた〈なんだかおかしな時代だな〉という想い。街の空気やそのときの雰囲気など、忘れるはずがないと思っていても日々薄れていってしまうものを記録するこの大切さをユーモアとともに教えてくれます。

■村井理子「村井さんちの生活」(10/19)
段位審査会にて

次男くんの剣道の段位審査会に付いていった日のこと。慣れない場でウロウロしてしまう自分の不甲斐なさや、真剣勝負を控えた子どもたちの表情。今回も村井さんのスケッチが冴えています。

■吉川トリコ「おんなのじかん」(10/21)
24. 夢にみるほど

そろそろ、海外旅行したいですよね……! バックパッカー、ブランド品爆買い旅など、かつての旅の想い出を振り返りながら、いつかまた自由に世界を回れる日に想いを馳せます。

編集長のお気に入り

◎劇場版「鬼滅の刃」無限列車編


話題のアニメーション映画を楽しんできました。

久々に人でいっぱいな映画館を見ました。小学生から高校生、大人の女性ファンまで、幅広い客層でした。グッズ売り場は特に賑やかで、私も浮かれた気分で思わず3000円の豪華版パンフレットを買ったのですが、「豪華版パンフレット、これでラストです」というスタッフの声に、後ろに並んでいた客から溜め息が漏れていました。こんなに盛り上がるとは、今年最初で最後の大規模なイベントかもしれないですね。

ufotableというアニメーション製作会社による映像は、テレビシリーズ以上に美しく、3Dを巧みに入れ込むことで、アクションシーンの構図や流れがスムーズに目に入ってきます。キャラクターデザインや配色もとても可愛くて、残酷な展開も飲み込みやすく感じます。

今回のストーリーの中心人物で、鬼滅隊最強剣士<柱>のひとり、煉獄杏寿郎というキャラクターは、今まで娘に「一番人気の<柱>だ」といくら説明されても、興味を持てずにいたのですが、映画では人物造形に説得力があって、最後の方では、私も煉獄杏寿郎のファンになってしまいました(私も、「考える人」編集部における煉獄さんのような存在になりたいものです)。

今回の映画を見ていて改めて感じたのは、この作品の魅力の一つは、トリッキーでチャーミングなキャラクターの豊富さ。もう一つは、その魅力的な主人公たち人間側=鬼滅隊のキャラクターが、みな重い使命を背負い、それに耐えながら成長し、それなのにいとも簡単に鬼たちに命を奪われてしまうその運命の残酷さ。このビターでダークなストーリー展開に、この世の中の生きづらさや不透明感を重ね合わせて、大人の女性も夢中になっているのではないかと思います。

妻の友人は、金曜日の上映初日に舞台挨拶付きの上演含めて、3回も見たそうです。1日で同じ映画3回はさすがにおかしくないか、と思いますが、そのくらい高揚感がある作品であることもまた確かです。

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