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無職転生2回目の私がやり始めたこと

 今年の春辺りから無職で、一昨年も無職をしていた。
 そして今現在も無職である。いい加減働けという話である。

 ここまで無職を繰り返すと、国民保険への加入手続きも秒で行えるし(誇張あり)、住民税と国保の納税通知書がいつ来るのかも把握しているため、無職による動揺が少なくなってくる。

 私が唯一読んだことのある夏目漱石先生の『こころ』で(と言っても教科書)、「向上心のない奴は馬鹿だ」という言葉があるが、そうは言われても「馬鹿でいいです、先生……」と膝と手をつきたくなってしまう。
 
 つまり私には向上心がないし、踏ん張りがきかないし、辞めたいと決めたら辞めてしまう。

 そうは言っても、この無職転生二度目の生活は、すでに昨年働き始めて二カ月ほどですぐに「ああ辞めたい……せめて更新期限まで」(契約社員)と思っていたため、その後何度か更新を繰り返したため、私としては一年過ぎるまで踏ん張ったほうである。何の自慢にもならないが。

 そして、この無職転生二度目の間に不惑に突入してしまったため、さすがに次は長く働ける会社に勤めたいと思っている。

 ところで、アンケートによると「いくつまで働きたいか」という問いに対して、「働ける間は働く」という回答が世の中の半数ほどらしいが、それは働きたいから働くというより、「死ぬまで働かないと生活できないから」であろう。私自身も死ぬまで働かないと生活できないと思っているため、その覚悟(覚悟と書いて諦めと読む)はある。
 そのため、『どうせ死ぬまで働かないといけないのだから、ちょくちょく仕事を辞めて休んでまた働けば良いのではないか』という気持ちがある。
 さすがに無職で、人様に迷惑をかけていたら問題だが、私はちゃんと納税の義務は果たしているし、生活費も自分で出している。そして住んでもいない実家に、無職になってからもお金を入れ続けている……

 話が逸れた。
「やり始めたこと」の話をしようと思っていたのに、一体ここまでで何回「辞」の文字を打ったことか……
 労働による絶望の前置きが長くなってしまったが、さすがにここ数年で無職になりすぎなため、『今までやっていなかったことにチャレンジ』をしている。

 そして実はこのnoteも、今までにやっていなかったことのチャレンジの一つだったりする。今までの私がタグを付けて、noteの賞に応募しようなんて思わなかっただろう。
 全く売れてはいないけれど、有料記事の配信を行ってみたのも、その試みの一つだったりする。

 ということでnoteを始めた。それが一つ目の「やり始めたこと」である。

 そして二つ目は、これはもう一旦終止符を打ったのだけれど、「実家の私物断捨離」である。
 本当は私物のみならず、実家全体の断捨離にまで踏み切ったほうがいいのかもしれないが、実家住みでないから面倒なのと、最悪自分が突然死したときに困る恥ずかしい創作物なんやかやは捨てたので、一旦終了とした。あとは住んでいる人間に頑張っていただきたい所存。

 三つ目は、「爪にちょっとだけ気を遣い始めた」ということである。
 いわゆるネイルというやつですが、外出するたびにやっている訳ではないことと、100円ショップに売っているネイルシールを使い始めたというだけなので、「ネイル始めました!」と大声で言えることではない。
 そしてこのちょっとだけ気を遣い始めたのは、無職で己の手元が目に入る時間が長いことにより、「手に加齢を感じたから」である。
 何もしなくても瑞々しい十代や二十代とは比べるのもおこがましいけれど、爪がガサガサしている。爪がガサガサしているだけではなく、血色も悪い。
 そのため手の加齢を誤魔化すために、爪を100円のやすりで削ったり、ネイルシールを貼ってみることにした訳である。
 
 恐らく、というか確実にこの「無職転生2回目の私がやり始めたこと」は、有職者でもできることである。そのため、実際には大したことをやっていない、つまりただの無職なのだが、それでも私のような向上心のない奴は、無職にでもならなければ実家の片付けはしなかっただろうし、noteにタグ付けて応募とかもせず、ましてや爪の手入れなどもしなかったはずなのだ。

 そう思うと『向上心のない奴の中にも、ちょっとだけ向上心があった』ということになる。夏目漱石先生、ご勘弁いただけないだろうか。


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