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誰だって

誰だってプリキュアになれるし、誰だってヒーローになれるって言うじゃない。

憧れて努力すれば、なりたい自分になれる。

でも。

特に憧れもしないし、別に努力とかしてないけど、無意識のうちになれてしまうものもあるわけで。

それは……。


ストーカーだ。


私には高校生の時大好きな人がいた。
でも、付き合って4ヶ月くらいで離れ離れになった。なぜならその人は3年生の先輩だったから、卒業してしまったのだ。

勿論、卒業してもOBとして部活に遊びにきてくれたりはしたけど、向こうは東京の大学生で、こっちは田舎の高校生だから、自然と疎遠にもなろう。

今と違って携帯もポケベルもインターネットもないので、連絡手段は手紙かもしくは家への電話のみ。先輩は実家住まいだったから、電話すると家人がたいてい出る。長電話すれば怒られるしな、親に。それも、次第に生活時間帯の差からか、いつかけても留守、ということになっていった。

頻繁にかけるわけにもいかないし、手紙はなしのつぶて(返事がない)だし、私が我慢できる限界までこちらからは連絡を控えることにしたらあっという間に3ヶ月や半年が過ぎることになった。

そうこうするうちに4年くらい経つの、すごいよね。ほぼ妄想彼氏かもしれない。驚くほど何も進展がないし、何もほんとになかった。

そして私は運転免許を取得した。
19歳の秋も終わり……冬が始まる頃に。20歳になって車も親ローンで買った(バイト代で完済した)。

てれれてってれー♪

車を手に入れた20歳の小娘は「車の運転の練習」という口実で出かけて、気づくと車で小一時間走って先輩の家までドライブ……というのを、1ヶ月に一度とか、もう少し粘って3ヶ月に一度……とかの割合いでやっていた。

別に先輩のお宅をピンポンとかはしない。ただ家の周りをぐるっと走って少し離れた場所に止めて、しばらくしたらまた小一時間かけて帰ってくるだけ(完全に不審者)。

というのを、当時の知人に話したら、

「準ストーカーの称号を贈るよ」

と言われてハッとした。

そうか。

私のやっていることはストーカーなんだ。

知らなかった。
気づかなかった。
でもつきあってるんだけどな。

まぁ、でも。
頭おかしいか。
気持ち悪いか。
そらそうだよね。

というわけで、頑張って無理やり先輩を呼び出して30分だけ時間を作ってもらって、ファミレスに来てもらって、今までもらった手紙とか、交換日記とか、そういうのを全部お返しした。

先輩は「そうか……。うん、分かった」と言って素直に受け取ってくれた(多分嫌だったと思うけど、そういうのはあまり表に出さなかった)。

私にはそういう気持ち悪いところがあるんだと自覚を持ったほうがいい。

と何度も自分に言い聞かせた。

だから、というわけではないが、そういう行動をとっている人をテレビなどで見かけると、「うわ〜キモい!」などと即座には非難できない自分もいる。

誰だって自覚なくそっち側になってしまう事がある。

なろうとしてなるわけではなく、なってしまうのだ。

それは、頭では理解できるけれども、心が納得できていない状態なのだ。


もう、それは本当にしょうがない。

静かに距離と時間を置くしかない。

詩を書いたり歌を詠んだり、絵を描き散らしたり、歌を歌ったり、本を読んだりして待つしかない。

時を経て、やっと成仏した想い。


そんなわけで漫画を描いている。

#エッセイ
#誰だって
#初恋

ありがとうございますサポートくださると喜んで次の作品を頑張ります!多分。