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映画「ガタカ」に登場するのは,シトロエンDSデカポタブルだけでなく通好みなクルマばかり

 昨日の投稿にスキしてくれたmiumichimiaさんの投稿で、映画「ガタカ」(1997年)が取り上げられていました。

 僕も「ガタカ」は大好きな作品で、公開時に恵比寿ガーデンシネマで観ています。その後にDVDも入手して自宅でも繰り返し鑑賞していますが、今ではAmazonプライムの配信で観ることができますね。

 遺伝子操作が可能となり、頻繁に火星にロケットを飛ばせるほど進化した未来を描いたSF映画なのですが、クルマは空を飛ばないし、登場人物は派手な色のジャンプスーツを着ていません。

 登場人物たちはオフィスでスーツを着用し、シャツにタイを結んでいます。そのうちの何人もがカフリンクスを装着しているほどクラシックな装いです。

 オフィスもフランク・ロイド・ライトが設計したカリフォルニア州マリン郡のシビックセンターが使われるなど、いわゆるSF映画っぽい“未来感”が徹底して避けられています。

 それはクルマにも徹底されていて、1950年代から60年代のものしか登場しません。ユマ・サーマンが乗るのはシトロエンDS。円形ヘッドライトの前半期型で、それも布屋根の「DSデカポタブル」(DSカブリオレ)なのです。コーチビルダーが、その2+2ボディを独自に製造して架装していた珍しいものです。

 刑事たちが乗る警察車両がローバー2000。

 イーサン・ホークが乗るのが、スチュードベーカー・アヴァンティ。日本でも名が知られていた工業デザイナーのレイモンド・ロウイによる個性的な造形が特徴です。

 ビュイック・リヴィエラは1970年代製ですが、これも大胆で個性的なカタチをしており、それを伝えようとするアングルからのショットがあります。

 DSデカポタブル、アヴァンティ、ローバー2000、リヴィエラなど、どれも通好みのするクルマです。4台はほぼ必ず「ガタカ」の紹介記事などに取り上げられますが、これだけではありません。

 アンドリュー・ニコルズ監督なのか美術担当のヤン・ロルフスなのか、あるいは両名なのか製作陣には確信的なクルマ好きがいて、他にもジャガー・マーク2やシトロエンDSサファリ(ステーションワゴン)などを登場させています。

 リンカーン・コンチネンタルマーク2もパーキングに駐められていました。他にも明らかに1950年代製もしくは60年代製のクルマもありましたが判別できませんでした。

 そして、それらは服装や建築などと併せて作品をクラシック風に仕立て上げるためだけでなく、アッと驚く演出が施されていることが早目に明らかにされます。その演出には、“未来は単純に未来的な姿として実現しない。科学が進歩しても幸せとは限らず、ディストピアを伴ってしまうかもしれない”というメッセージが込められているように僕には思えるのです。

 この映画が作られた1997年から27年が経ち、クルマに関しては様相がだいぶ変わってきました。一部で現実となっていることもありますね。とは言っても、映画としての魅力は変わらないのでお勧めする次第です。

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