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三菱自動車「4WD登坂キット体験イベント」20万人突破の意味

 三菱自動車は、1996年から実施してきた「4WD登坂キット体験イベント」の参加者が2024年9月6日~8日の「スターキャンプin朝霧高原」で累計20万人を突破したと発表しました。

 4WD登坂キットというのは、画像のように大型トラックの上面に設えた急傾斜の登坂路をクルマが乗り上げて、登ったり降ったりする台となる装置です。全国のディーラーやイベント会場、キャンプ場などを移動しながら、アウトランダーやデリカD:5などの登坂能力の大きさを一般の顧客やイベント参加者などに体験してもらってアピールするのが目的です。

 運転するのは三菱自動車のスタッフで、参加者は助手席や後席に同乗します。大勢の参加希望者がいても、一度にたくさん同乗させることはできませんから、実に地道な活動です。

 今様の「SNSでバズらせる」といったようなPR活動とは対極にあります。しかし、参加者たちは三菱車の能力の一端を知るだけでなく、クルマがもたらす貴重な非日常体験を通して自動車の可能性を改めて知ることになるでしょう。そして、その思い出は各自の胸に深く刻まれるはずです。宣伝でもあり啓蒙活動と言って構わないと思います。

 これからのクルマは電動化と自動化によって大きく二つに分かれていきます。大多数のクルマはコモディティ、日用品となり、ごく少数のクラシックカーやスポーツカーなどは趣味や楽しみの対象として珍重されます。今はまだその二つが重複していますが、二極分化してきます。

中国BYDの高級ブランド「仰望」の北京市内のディーラーに設けられたキットを登り降りするSUV「U8」

 立って歩けないほどの悪路でも走破できるようなSUVを運転することも、同じように後者に分類されるようになるでしょう。クルマで岩山を登り、川を渡り、雪原を走り抜けます。自然の中のオフロードドライビングすることが、特別な体験コンテンツのひとつにもなっていきます。

 スポーツカーでサーキットを走って楽しむのと同じように、SUVで悪路に挑むのもまたクルマの楽しみ方のひとつとなるのです。

 今回の三菱自動車の「4WD登坂キット」体験者が20万人を超えたという話は、その萌芽のひとつではないかと考えた次第です。

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