見出し画像

第4回 経営指標はどう使うのか?


読者の皆さま、こんにちは!管理人のおとです。
カネ系が苦手なビジネスマンもカネ系を楽しく学んでもらうことを目的に始めたカネ系相談所は、今回で4回目を迎えました。
今回のテーマは、「経営指標はどう使うのか?」です。では、一緒に勉強していきましょう。よろしくお願いします。
 

バックナンバー

第1回 カネ系なんでも相談所、はじめました。
https://note.mu/kane_kei/n/n171f53f0749f第2回 アカウンティング基礎の基礎
https://note.mu/kane_kei/n/nd2472a18ee35第3回 分析は比較
https://note.mu/kane_kei/n/n55adbc6ef021 


経営指標ってなに?

まず、経営指標について説明します。
経営指標とは、損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)に記載されている数字から算出する様々な数値であり、経営状態や財務状況を多面的に分析する指標です。経営指標は、別名で財務指標ともいいますが、どちらも同じ意味です。


企業の成績表

この経営指標をもっと簡単にいうと、企業の成績表です。皆さんも子供の時に学校で成績表をもらったと思います。5段階評価の場合、そこには「国語の成績は良かったので"5"だけど、算数がだめなので"2"」などの自分の成績が数値で書かれています。この成績表の数値にあたる部分が、経営指標です。


経営指標の目的

この経営指標の目的ってなんでしょう?一言でいうと、「その企業の経営状態を多面的に見ること」です。多面的というのは、「収益性・効率性・安全性・総合力」に分解することができます。これらの細かい点については、後ほど説明しますので、今の時点では経営指標の目的は、「その企業の経営状態を多面的に見ること」だけ覚えておいてください。

 

具体例

経営指標の細かい説明に入る前に、以下のしまむらとユニクロのニュースをみて皆さまはどう思いますか?これらのニュースは、2015年、2016年、2017年のそれぞれの年のニュースです。

 しまむらとユニクロの比較のニュース
 2015年3月15日
 ユニクロとしまむら、なぜ明暗が分かれたか
 http://toyokeizai.net/articles/-/63229
 
 2016年11月25日
 失速ユニクロと最高益しまむら、両雄に訪れた転機
 http://diamond.jp/articles/-/109211
 
 2017年10月11日
 明暗分かれる「ユニクロ」と「しまむら」の業績 なぜ?
 https://zuuonline.com/archives/176638
 


ニュースの見出し

また、これらのニュースの見出しには次のように書かれています、

 ユニクロとしまむら、なぜ明暗が分かれたか
 http://toyokeizai.net/articles/-/63229
  2期連続の営業減益となれば上場来で初
  しまむらは「あか抜けない」
 
 失速ユニクロと最高益しまむら、両雄に訪れた転機
 http://diamond.jp/articles/-/109211
  一転大幅な減益となったファストリの16年8月期
  しまむらの17年2月期は去最高益を見込む
  
 明暗分かれる「ユニクロ」と「しまむら」の業績 なぜ?
 https://zuuonline.com/archives/176638
  しまむら既存店売上高は3ヶ月ぶり前年割れ
  ファストリの既存店売上高は6.3%増と好調

2015年の記事は、ユニクロが良くて、2016年の年はしまむらが良いと書いています。また、2017年は、ユニクロが好調ってあります。結局のところ、どっちの会社がどうなってんだかよくわかりません。 


企業の業績ニュースをどうよむのか?

このように毎年、企業の業績が好調・不調するのは仕方がないことです。とはいえ、私はこのような企業の業績の記事は、書く人のバイアスがあるといつも思っています。マーケティングでいう、別の第三者が収集した二次情報です。つまり、「ユニクロ好調」という記事を読んで、「あぁユニクロって好調なんだなぁ。」と思うのは、自らの分析を放棄していることとなります。



一次情報をみること

カネ系なんでも相談所の皆さまには、ニュース(二次情報)を読んで企業を判断するのではなく、かならず、その企業の財務諸表(一次情報)を見ることを強くおすすめします。


**

財務諸表(一次情報)を収集する。**

さて、その企業の財務諸表(一次情報)を見るといっても、一体どこのあるのでしょうか?上場企業の場合は、業績の公開義務があるので、その会社のサイトには必ず業績が公開されています。

https://www.shimamura.gr.jp/finance/


http://www.fastretailing.com/jp/ir/


Yahoo!などのサイトから収集

もちろん、これらの企業のサイトから情報を収集するのが一番良いのですが、代表的な数値だけでよいのであれば、Yahoo!などのサイトから収集することもできます。

https://profile.yahoo.co.jp/consolidate/8227

https://profile.yahoo.co.jp/consolidate/9983




収集してまとめる

Yahoo!のサイトから、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の抜きだすと、以下のようになりました。

(※)ユニクロ(ファーストリテイリング)は2016年8月期、しまむらは2017年2月期の決算

 

経営指標はどう使うのか?

さて、ここからが今回のテーマの本題です。これらの財務諸表(一次情報)を分析するとどうなるでしょうか?結果は以下の通りです。

良否の○×は、しまむらから見たユニクロ(ファーストリテイリング)との比較です。○ということは、しまむらのほうがいいということです。


分析結果

分析結果をみると、しまむらは、ユニクロ(ファーストリテイリング)と比較して、非常によい経営状態であるといえます。細かく解説してきます。

【収益性】企業の規模にあたる売上高は、ユニクロの3分の1程度ですが、収益性が高いため、売上当期純利益率は、ユニクロが3%、しまむらが6%と2倍の収益性があります。

【効率性】有形固定資産回転率以外は、しまむらのほうが効率の良い経営をしているといえます。しまむらの売掛債権回転期間が短いのは、しまむらの顧客が主婦層なのでユニクロとくらべて、クレジットカードではなく現金払いが多いからなんでしょうか?そんな仮説を立てることも、財務分析したおかげです。

【安全性】しまむらの自己資本比率が際立っています。87%ってすごいですね。短期借入金が少しだけあるものの、現金残高より少ないので実質的な無借金経営です。

【総合力】これらの収益性、効率性、安全性を考慮した、総合力でもしまむらのほうが上です。


分析結果のまとめ

これらの分析結果のように、経営指標からみると、しまむらのほうが圧倒的にユニクロより経営状態がよいといえます。ニュースに書かれている印象とは、違った結果になっていませんか?



経営指標はどう使うのか?

このコラムの冒頭に経営指標の目的は「その企業の経営状態を多面的に見ること」であり、多面的とは「収益性・効率性・安全性・総合力」であると言いました。事例にあげたニュース(2次情報)は、書いた人の主観もあり、一方向からしか見ていません。でも、自分で収集した財務諸表から計算した経営指標は1次情報であり、それを分析することで、その企業を一方向からだけではなく、多面的に見ることができます。

 

まとめ

◆ニュースなどの情報は書いた人の意図やバイアスがある二次情報であり、その企業を一方向からしか見ていない。
◆多面的にその企業を分析するためには、財務諸表から計算した経営指標(一次情報)を使うことが重要。
◆経営指標は「収益性・効率性・安全性・総合力」に分解できる。


次回以降のテーマ

「アカウンティング基礎の基礎」を理解してもらうために、次の3つテーマで書きます。

◆分析は比較 ←前回はここ 
◆経営指標はどう使うのか? ←今回のテーマ 
◆財務諸表はどこから見ればいいのか? ←次回のテーマ

引き続きよろしくお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?