気候変動対策とは何なのか

気候変動に関する枠組みといえば、パリ協定。
そこで掲げられてきた産業革命以前の平均気温から+1.5度以内に、
という目標を今年超えたとのこと。
https://www.cnn.co.jp/fringe/35225878.html
SDGsが始まった頃は、2030年頃と言われていたが。

そして、これは風邪による熱と同じで、平熱が1.5度一時的に上がったところで、
それが突然体調不良を引き起こすものではないが、
慢性的に1.5度上がってしまったら、何かしらの体調不良を実感することができる。
といったように、今年到達したからといって、すぐに何かが起きるわけではないようだ。

その上で、SDGs開始当初の想定より早まっている理由をいくつか考察していく。

JAXA開発のGOSATと呼ばれる人工衛星が、世界中の温室効果ガスを可視化できるようにした。そして、そのデータを他国に無償で開示している。
これは素晴らしいと思う。

そして、そのデータから分かったことは大きく2つ。
1つ目は、インドやロシア、ブラジルなど、温室効果対策を頑張っている(と世界に報告している)国が開示しているデータと、人工衛星とのデータでは大きな乖離があり、開示データの何倍もの量の温室効果ガスを排出しているということ。
2つ目は、CO2削減をうたっている中で、多くの先進国が、メタン(C02の28倍の温室効果)を大量に無断で排出しており、それらが規制されていない(できていない)。

2つからわかることは、環境問題をビジネスチャンスにするだけで、目の前の経済活動(欲望)を優先する人間の残念な部分の表れな気がする。

また、カーボンニュートラルの枠組みの中で数年前から注目をされていたのが、カーボンクレジット制度。
ある企業が温室効果ガスを出したとしても、森林保護プロジェクトを運営するNGOやNPOに資金を提供することで、対価として排出した温室効果ガスが差し引かれるという制度である。
大企業が短期間でお金のみでCO2を削減できるという制度の為、非常に有効性が高いとされてきたが、近年疑惑を持たれている。
なぜなら、第三者機関が森林保護を行う団体30社を調査した結果(開示データと衛星データと現地調査の結果)、27社、つまり9割がCO2の吸収量の試算に関して水増しをしていたことが分かった。言い換えるならば、そこまでCO2吸収量が多くない活動なのにも関わらず、数字上大きく盛って資金を得ていた。

そして、そのような活動の多くがブラジル、アマゾンで行われているが、アマゾンには多くの少数民族とその少数民族だからこそ守れてきた植物が多く存在している。
森林保護プロジェクトで、カーボンクレジットによる潤沢な資金を背景に、伝統的に守られてきた森林が伐採され、新たな単一な木々が植樹されるようになっている。
そして、企業は自分たちは、森林を作り、植樹していることをアピールする。

CO2を吸収することだけが森林の役目なのだろうか。

一部の企業のサスティナブル担当者のミッションは、環境セミナーに参加して、カーボンクレジットを購入して、SDGsに取り組んでいると主張できる条件を手にいれ、自社サイトに掲載する。
これらの過程に違和感なく、本当に良いことをしていると思っている人が多くいるんだろう。

決して、カーボンクレジット制度や森林保護プロジェクトの意図が悪いわけではない。企業の担当者も悪い人ではないんだろう。
きっとこれらを運用する構造に問題があるのだろう。

その構造を変えるためには、そこに関わる者たちの意識、姿勢を変え、現場に足を運び、自然の中での暮らし、環境に目を向けられる企業担当者、経営者を増やしていくしかないと思うし、きっと富裕層であるその大人達の子どもたちの感性、意識を変えていく必要もあるのだろう。

おそらくそのような教育は、森林と同様、数年で変わるものではなく、数十年、数百年で形が見えてくるのではないかと感じる。

きっと未来はイメージ通りにはならないだろう。
でも、イメージできないものは認識もできない。
未来の世界は意識の幅によって決まる。

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