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『ヴィンチェンツォ』〜面白さの基準を変えられたサスペンス&コメディ〜

韓ドラを観始めて12本目。
『梨泰院クラス』『秘密の森』『ボイス』『シグナル』・・・と、観る作品全てが面白かったけど、あまり良作ばかり選んでると、そのうち弾切れになるんじゃ?という懸念も出てきた頃。
「いや・・・これは無尽蔵かもしれんぞ」
と視界が一気に広がったのが『ヴィンチェンツォ』でした。

それだけではありません。シナリオ、キャラクター、カメラワークまで、これまで観たことのない新鮮な要素に満ち溢れていました。
主人公は、手段を選ばないイタリアマフィアの弁護士ヴィンチェンツォ。韓国に帰国し、とある古びたビルの地下に隠された巨額の金塊を取り出しに来たのだが、凶悪製薬会社バベルの魔の手が伸びて…というお話。

この作品、ジャンルを問われたら、何と答えればいいのか? ヴィンチェンツォVSバベルの攻防戦は容赦なくエスカレートしていくし、バイオレンスもまあまああります。サスペンスの振り切り度も韓ドラ水準。でもこれ、ひと言で言うならコメディなんですよね。

コメディと言っても、『ビバリーヒルズ・コップ』とかのハリウッド製アクション&コメディとはかなりテイストが違います。
何と言うか、その、あらゆる場面が笑えると言えば笑えるんです。
ベタなギャグっぽい場面もあるにはあるんですが、『ヴィンチェンツォ』の場合は、ガチのサスペンスの場面でも、常に笑いと紙一重なんですよ。
「こいつヤベーなw」とか、
「よく死なないなw」とか、
「それはやりすぎだろw」とか。
なんと言っても主人公がそもそも百戦錬磨の凶悪マフィア弁護士ですから、「ヒーロー対悪者」というよりは「悪者対悪者のボコり合いデットヒート」みたいなストーリーなんです。

そしてそれを盛り上げるのが、ほぼ変なヤツしか出て来ない登場人物たちのキャラクター設定です。「人をイライラさせるのが得意」という、チョン・ヨビン演じる弁護士を筆頭に、ゴールドが埋蔵するビルのテナントには、ほぼ変な連中しか住んでいません。しまいには変な鳩まで舞い込んで来ますから(笑)
バベルはバベルで、ちゃらちゃらした若造になりすました裏の会長ってのがいて、これが希代のサイコパス。ヤバい成分が入った薬品を、政治家らに金や不動産をばら撒いて発売しようとする、とんでもない青年会長です(笑)
つまり、世界線がそもそもズレてるわけで、そいいう意味ではマクチャンドラマの側面もあるかもしれませんね。

とにかく、いろんな意味で、これまでの娯楽ドラマの常識や水準を軽々と超えていて、「新世代ドラマを観てるんだな」という感覚に没入しまくりました。もう4回は観てますからね。
そして『ヴィンチェンツォ』を観て以降、面白さを判定する基準みたいなものが、自分の中で何となく鮮明になったような気がします。それゆえに、逆に「ヴィンチェンツォを観ちゃったら、他のドラマを楽しめるんだろうか」と不安にもなりました。
でも、それは詰まらない杞憂でした。
韓国ドラマの世界は、半年や一年で底に行き着くような、生半可な沼ではなかったのです。
それらのお話は、引き続きこのnoteにいろいろ書いて参ります。

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