【 #球春到来 】【堺シュライクス】若き逸材たちで勝負!
体制が変わっても変わらず
9時からの練習開始に先駆けて全員がしっかりそろって準備。球団ができて6年目だがどんなにメンバーが変わってもその点は変わらない。
脇屋紀之、藤村翔といった年長メンバーが声を出して練習を引っ張っていく。
「練習開始から2週間経ってようやくみんな声が出るようになってきた」とは大西宏明監督。
アップが終わったころには「これ上着いらんな。Tシャツで全然練習出来たな」と大西監督が言うような2月にしては暖かすぎる陽気に。
練習が進むにつれて選手たちの声が大きくなっていく。ノックが始まったころにはいつも通りの堺シュライクスになっていた。
全体練習はあっという間に終わっていった。余った時間を各自の課題をもって練習に使っていくのも例年通り。今季も高い意識をもって行動している。
パワフルな新コーチ
今季から新たに元阪神タイガースの山本翔也コーチが就任した。
この山本コーチ、よくしゃべりよく動く。ひときわ大きな声で選手たちとコミュニケーションをとっていた。
野球のことになると選手の細かい動きまでしっかり見て、アドバイスを送っていく。
「こうやって投げるの違和感ない?」「こういう風にやってみたらもっと球が走るよ」とほぼ1球ごとに気になる点をしっかり伝えていく。
昨年は怪我でほぼ投げられなかったという高橋蓮投手は、ブルペンで投げ始めて数十分で140キロ近くまで球速が上がっていった。
「早く実戦でやっているところを見たいですね」と山本コーチは間近に迫ってきたオープン戦を楽しみにしていた。
若い逸材たち
この時期、まだまだ様子見の時期ではあるが大西監督が絶賛していた選手がいた。
一人は中圭佑。酒田南高校出身の外野手だ。
「この選手がなぜドラフトにかからなかったのかがわからない」と大西監督。守備では強肩を見せ、打撃練習では柵越えを何本も記録した。
「センターバックスクリーンを越える力がある。肩も足も守備もいい。何とか試合に出すこともできれば」と大西監督。
内野では車谷仁が光っていた。
「ノックでもミスをしない。多少変な打球を打ってもちゃんと処理できる。ここ数年でちゃんと守れるショートはリーグでもいなかった」と評した。
全体練習が終わった後にはブルペンにも入った。
「投手に挑戦するのは中学以来」というが、曲がりの大きなスライダーと立ち投げながら142キロを記録。
打率3割とベストナインを目指したいという車谷。ノックからいつまでも見ていられる守備、ぜひとも注目してほしい。
3度目の正直に向かって
昨年、NPBの球団から調査書が届いた。しかしドラフト会議で名前が呼ばれることはなかった。
松本龍之介。まもなく19歳になる捕手だ。
苦しみも味わった。「盗塁王と出塁率4割を目指したい」と掲げたが、12盗塁こそ記録したが、打率は2割に届かず、出塁率も3割1分にとどまった。
「(高校生の時から)2年連続指名されなくて悔しかった」と素直に話した。その上でオフには課題に向き合った。
「打撃が悪すぎたんで、バットをひたすら振り込みました」
成果は出始めている。前年は低い弾道の打球を飛ばしていた松本だったが、今季は練習の時点で柵越えを連発。
大西監督は「今は体を使って飛ばす段階の練習」というが狙ってバットをしっかり振れている。フリー打撃、ロングティーとこなしてキャッチャーとしてブルペンに入っていった。
「今年はカッコ悪いと思ってたことをしっかりやっていきたいと思います。例えば一人でトレーニングしたりとか、練習したりとか…どう思われてもいいから泥臭くやっていきたいです」と今季への、NPBへの思いを語った。
「自分もNPBに行きたいですが、後輩と3人…いや4人でNPBに行きたいです」
高校の後輩である高橋楓真、地元が近く顔なじみの中、そして同じく地元が近く兄のように慕う宇佐美真太。仲間たちとレベルアップを誓う。
会えなかった人
実は今回の取材で会いたかった人がいた。宮本祐気投手。
今季が3年目。昨年は先発も経験。ノーアウト満塁だろうがどんなピンチだろうが「投げられるだけ幸せ」とマウンドに向かい颯爽と抑えていく。
毎年少しずつよくなっていく宮本投手に会いたかったのだが、不在。阪神タイガースの打撃投手として沖縄に向かっていた。
「秋季キャンプに行ったところ、絶賛されたので今回も行くことになった」と大西監督。おそらく今頃沖縄の空の下でボールを投げ込む日々を送っていることだろう。
キャンプに参加している姿の写真を見ると、体格が大きくなったように見えた。ニックネームが「エース」の宮本。チーム内では﨑山颯人、亀井翔太と並び最長在籍選手。今季堺は投手登録が7名と少ない。宮本には名実ともにエースとしての働きが期待される。
そんな「エース」がNPBから何を持ち帰ってくるのか、楽しみにしたい。
(文・写真 SAZZY 取材日 2月15日)