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ファンが広島東洋カープをガチで考察する


まえがき

プロ野球の2022年シーズンが終了した。

巷では"日本シリーズ"という催しが行われているようだが、カープファンには関係のない話である。

我らが広島東洋カープは栄光の3連覇から早4年が経過し、しかもその間4年連続Bクラスという見るに堪えない成績を残しており、かつて味わった暗黒時代への突入を予感せずにはいられない。

ファンとして、この事態を黙って見過ごすわけにはいかない。
とは言っても普通のファンに出来ることといえば、グッズやチケットにお金を落とし、あとはチームが強くなることを祈ることだけである。

しかし、ファンとして黙って見過ごすわけにはいかない。(2回目)
私個人のカープにかける"想い"を発散するため、考え得る限りでチームの強み弱みを洗い出し、ここにnoteとして記録することにした。

コアなプロ野球ファンじゃないと読んでも面白くないと思うが、頑張って書いたので、興味があれば暇なときにでも読んでください。

2022年 10月


データで振り返る2022シーズン

まずは5位に終わった昨シーズンのデータを振り返る.

チーム成績

143試合 66勝 74敗 3分 勝率.471

得点:552 (2) 失点:544 (3) 本塁打:91 (4) 盗塁:26 (6) 
打率:.257 (1) 防御率:3.54 (5) 失策:73 (3)

※ ()内はセリーグ順位


昨シーズン、佐々岡政権3年目を迎えたカープは借金8の5位と大きく負け越すという結果になってしまった。

しかしカープの交流戦成績を見てみると、18試合で5勝13敗の借金8(最下位)となっており、ポジティブに考えればセリーグ相手には勝率5割と善戦していたともいえる。(ポジティブに考えればセリーグ相手の対戦成績ではカープは3位である。)

カープは交流戦にめっぽう弱く、毎年のように最下位争いをしているので、どうにか対策する必要がある。それについては後ほど詳しく考察する。

その他の成績を見てみると、打撃成績に関しては打率1位、得点2位と非常に良い成績を残している。しかも得失点差は謎にプラスしている。本塁打4位も球場の広さを考えると妥当な順位と言えるだろう。失策3位もマツダスタジアムが天然芝と土のグラウンドであることを考えれば、十分健闘している。

やはり目立つのは盗塁の少なさだ。NPBワースト記録こそ回避したものの、球団最小記録を更新する26個。カープの個人最多は野間の7。(ちなみにセリーグ最多は阪神・近本の30である。村上選手と中日選手のホームラン王争いがネタにされていたが、実は近本選手と広島選手の盗塁王争いも影で白熱していたのである。)
この盗塁が少なすぎる問題についても後ほど触れる。

チーム防御率の低さに関しては、内訳を参照してみると、先発防御率・救援防御率ともにリーグ5位であった。どちらも改善が必要そうだ。



次は、投打別に主力選手の成績を振り返る。

打者成績

坂倉将吾(左) .288 16本 68打点 OPS.773 2盗塁
マクブルーム(右) .272 17本 74打点 OPS.794 0盗塁
小園海斗(左) .266 7本 38打点 OPS.662 2盗塁
菊池涼介(右) .262 6本 45打点 OPS.659 2盗塁
-----------(規定打席)------------
西川龍馬(左) .315 10本 53打点 OPS.822 2盗塁
野間峻祥(左) .312 0本 16打点 OPS.745 7盗塁
會澤翼(右) .207 3本 33打点 OPS.548 0盗塁
上本崇司(右) .307 2本 18打点 OPS.748 2盗塁
堂林翔太(右) .243 8本 28打点 OPS.679 1盗塁
秋山翔吾(左) .265 5本 26打点 OPS.746 0盗塁


主力野手の打撃成績がこちら。規定打席に到達したのは坂倉・マクブルーム・小園・菊池の4選手であり、その中で唯一坂倉のみが全試合出場を果たした。

ケガで出遅れたが、主に1番で出場していた野間は打率.312で出塁率も.347と高く、先頭打者として十分な働きだったと言えるだろう。ただ俊足の割に盗塁7は少し寂しいので、来年はもっと盗塁数を増やしてほしい。
野間はもともと強肩強打の外野手という感じだったのだが、いつの間にか本塁打を打たず単打が多い、いわゆる"アヘ単"になってしまった。それでも3割打ってくれているので文句はない。

主にクリーンナップを担った西川・マクブルーム・坂倉は、打率・本塁打・打点ともに好成績を残している。

途中加入し主に3番を務めることが多かった秋山は、最初は出遅れたものの終盤はしっかりアジャストした打撃が見られた。野間の調子次第では来季は1番を務めることもあるかもしれない。何にせよ来季は更に良い成績が期待できるだろう。

気になるのは捕手の會澤の不振だ。安定感のある守備力と経験値から佐々岡監督に信頼され、捕手としてチーム最多の78試合に先発出場したが、打率.207と低迷した。

本塁打と盗塁が少ないのは前述の通りである。今のカープには、足でかき回す選手やスラッガーというタイプの選手が少なく、本塁打と打率がそこそこの"中距離打者"という雰囲気の選手が多いことが分かる。



投手成績

● 先発投手

森下暢仁 (右) 27試合 3.17 10勝8敗 178.2回
九里亜蓮 (右) 24試合 3.33 6勝9敗 140.1回
大瀬良大地 (右) 23試合 4.72 8勝9敗 135.1回
床田寛樹 (左) 17試合 2.84 8勝6敗 114.0回
遠藤淳志 (右) 17試合 3.59 4勝7敗 105.1回
アンダーソン (右) 13試合 3.60 3勝4敗 70.0回

● 救援投手

森浦大輔 (左) 51試合 3.30 3勝6敗 24ホールド
松本竜也 (右) 50試合 3.56 4勝2敗 4ホールド
栗林良吏 (右) 48試合 1.49 0勝2敗 6ホールド 31セーブ
矢崎拓也 (右) 47試合 1.82 2勝0敗 17ホールド 1セーブ
ターリー (左) 45試合 3.11 2勝4敗 14ホールド
ケムナ誠 (右) 43試合 3.20 4勝0敗 14ホールド


カープの今季の先発運用は基本的に上記の6人で回し、途中で床田とアンダーソンが離脱した際は野村・玉村・大道などがローテに入った。

先発投手の成績で、やはり目を引くのは大瀬良の成績だ。開幕投手も務めた今季は3,4月こそ4勝1敗と好スタートを切ったが、5,6,7月は合わせて3勝に終わるなど、不調なシーズンだった。

21年最多勝の九里も大瀬良と同様、序盤こそ良かったものの途中からパッとしない成績が続いた。森下は終盤まで粘り強く投げ切ったが、イニング数の多さが気になる。
大瀬良や九里の失速が疲労によるものだとすると、来季は球数制限など先発運用の見直しが必要になるかもしれない。佐々岡監督は先発を引っ張る采配が多かったため、新井監督がどういう采配を行うか注目だ。

床田は途中離脱してしまったが、"和製クリスジョンソン"と呼ばれるほどの安定感のある投球で前半戦のカープを支えた。調子が良ければタイトルを獲ってもおかしくないような投球を見せてくれたので、来季はシーズン通した活躍に期待したい。(床田は連敗ストッパーとして今季は躍動した。5~6月にかけての交流戦時期のカープは1か月で5勝14敗というグロい成績だったのだが、そのうち3勝が床田であった。床田がいなければ、今季途中をもってカープファンは絶滅していたかもしれない。)


リリーフに関しては、絶対的守護神の栗林が今季も安定感のある働きを見せた。今すぐ広島駅前に栗林の銅像を建てるべきである

シーズン前半は栗林に繋ぐ勝ちパターンが確立できず多くの逆転負けを喫したが、去年までは眠っていた矢崎拓也が突如覚醒し、"8回の男"として定着した。(#学歴でねじ伏せろ矢崎拓也 という謎のハッシュタグまで流行した。)

他には、2年目の森浦がワンポイントを中心にチーム最多の51試合に登板した。弱そうな見た目だがメンタルが強く、小柄な割に速球を投げる。チェンジアップが持ち味で右打者に強い。あとは新外国人のターリーや、日本人のケムナも大事な場面で多く登板した。

ルーキーの松本は勝ちパターンでの登板はほとんど無かったが、ビハインドの場面を中心に50試合登板と存在感を見せた。(詳しいことは分からないが、松本のストレートの回転数はとんでもなく多いらしい。)

カープの3連覇時がそうであったように、強いチームには確立された勝ちパターンがある場合が多い。8回矢崎、9回栗林が防御率1点台と安定しているだけに、もう一人7回を任せられる投手が出てくれば安心して見ていられるようになるだろう。



チーム編成の課題

次は、今年のドラフトや戦力外選手の内訳から、現役ドラフトや外国人選手の補強ポイントを探っていく。
また、新井監督の就任をきっかけに新たなコーチ人事が続々と発表されているので、コーチ陣についても見てみよう。



ドラフトの結果

1位 斉藤優汰(投)右左 苫小牧中央高校
2位 内田湘大(内)右右 利根商業高校
3位 益田武尚(投)右右 東京ガス
4位 清水叶人(捕)右左 健大高崎高校
5位 河野佳 (投)右右 大阪ガス
6位 長谷部銀次(投)左左 トヨタ自動車
7位 久保修 (外)右右 大阪観光大学

今季のカープのドラフトをざっくり総括すると、上位で将来性豊かな高校生を獲得し、3位以下で即戦力の選手を獲得するという結果になった。

1位の斉藤は189cmの長身で151km/hの直球を投げる本格派。2位の内田は強打の内野手だが投手としてもMAX149km/hの"二刀流"で、打撃能力は鈴木誠也に匹敵するとの評価もある。球団は将来の"4番サード"として育てたいそうだ。

益田はドラ1候補でもあった選手なので、3位で獲れたことがラッキーだった。栗林のように完成度の高い右投手だ。5位の河野、6位の長谷部も社会人の即戦力で、ブルペン強化が期待される。

ちなみに4位の健大高崎・清水は強打の捕手で、調べたところによると高校3年間の公式戦でわずか1三振らしい。それでいてホームランバッターなので、カープは捕手が飽和しているが、打力を活かして活躍してほしい。ちなみにちなみに2位の内田と4位の清水はどちらも群馬の高校出身であり、インスタでDMのやり取りをするほどの友達らしい。



次にドラフトの結果を踏まえ、投打別にチーム編成を確認する。
外国人選手の去就は定かではないが、全員残留を基本線に交渉するとの報道が出ているため、残留するものとして考える。

投手

● 先発
一軍:大瀬良・九里・森下・*床田・遠藤・アンダーソン
控え:野村・*玉村・大道・中村祐・*森・岡田・*高橋昂
● 中継ぎ
一軍:矢崎・*森浦・ケムナ・*ターリー・松本・島内
控え:*塹江・*黒原・中崎・一岡・*フランスア・*長谷部
● 抑え
圧倒的守護神:栗林
● 起用法不明
益田河野・薮田・コルニエル・アドゥワ

(*は左投手、太字は新戦力)


すぐに一軍の戦力としては数えられない若い選手は除いた。

今オフは中田・菊池保・高橋樹・山口・田中法と5人の投手が戦力外通告を受け、4人の投手を獲得するという大幅な投手の入れ替えが行われた。

今季の問題としては、まず先発においては大瀬良の不調や床田・アンダーソンの離脱の際にローテーションを埋める選手の層が薄かったことだ。代役としては主に野村・玉村・大道が登板したが、皆目立った成績を残せなかった。
ルーキーの益田・河野の起用法は不明だが、少なくともどちらかは先発として起用して層を厚くしてほしい。
個人的に期待しているのは社会人卒2年目の森だ。今季の登板は少なかったが、シーズン最終盤に先発としてプロ初勝利を挙げ、オフのフェニックスリーグでも格の違いを見せつけている。来年は先発ローテに入り込んで頑張ってほしい。

中継ぎ投手に関しては、前述の通り矢崎が8回のセットアッパーとして覚醒したが、もう一人の勝ちパターンが確立できていないことが課題だ。森浦をワンポイントで起用するとなると、ターリー・ケムナ・松本・島内あたりがその候補になる。誰かが覚醒してくれれば、今季多かった逆転負けが減り、安定した戦いができるようになるだろう。

先発・中継ぎともに層が薄いように感じるので、即戦力投手3人の獲得は心強い。ちなみにドラ6の長谷部はトヨタ自動車出身の救援左腕であり、栗林とのトヨタ継投が見られるかもしれない。

ここ2年の抑えは栗林が即戦力で獅子奮迅の活躍をしているが、現在のリリーフ不足な状況を考えると、「もし栗林がいなかったら・・・」と想像して吐きそうになるカープファンは多いだろう。先発も見てみたい気もするが、チーム事情的にしばらく抑えを務めてもらうことになりそうだ。

ちなみに実績組の岡田(トミージョンからリハビリ中)・薮田・中崎・一岡はここ数年目立った成績を残しておらず、来オフ戦力外候補である。



次に野手も同様に見ていく。

野手

● 捕手
一軍:*坂倉・會澤・磯村
二軍:石原・中村奨・*持丸
● 内野手
一軍:マクブルーム・菊池・*小園・上本・堂林・*羽月
二軍:*矢野・*林・*韮澤・三好
● 外野手
一軍:*西川・*秋山・*野間・中村健
二軍:末包・*宇草・*大盛・正随

● 代打要員
*松山・長野
● 代走要員
*曽根

(*は左打ち)


野手の戦力外は安部・白濱・中神で、チームの若返りを意識した結果になった。投手と違って野手はドラフトで即戦力の選手を獲得せず、(現役ドラフトで獲得する可能性はあるが)来季も現状の戦力に近い状態で戦う可能性が高い。

まず捕手だが、今季は主にサードを務めた坂倉が、新井監督と本人の意向で来季から捕手に専念することが発表された。元々カープは捕手が充実しており、チーム状況から坂倉がサードに回されたのだが、また捕手が激戦区に戻ってしまった。

特に磯村は捕手不足の他球団ならレギュラーになってもおかしくないレベルの守備力と打力で、現状カープでは出場機会に恵まれていないため(里崎チャンネルでも散々言われているが)トレードや現役ドラフトの対象となる可能性も十分考えられる。

内野手は問題だらけで、坂倉を捕手に戻したはいいもののサードを守る選手がおらず、菊池・小園以外の二遊間の選手もパっとしない。
サード候補としては、今季突然覚醒し3割近い打率を残した上本、代打で勝負強さを見せた堂林、一昨年高卒3年目で2桁本塁打とブレークした林などが挙げられる。

林は今季一軍に上がれず二軍でも目立った成績を残していなかったが、どうやら不調の原因がようやく分かったらしく、フェニックスリーグでは結構打っている。今のカープに少ない長距離砲なので、サードのレギュラーとしてとりあえず.250 20本くらい打ってくれればだいぶ夢が広がる。

あと内野で注目なのは来季で大卒3年目の矢野だ。今季は中盤から一軍に合流し、打率は.194だったものの、少ない打席で本塁打2本、ショートの守備でもとんでもない守備範囲と強肩を見せた。送球が少し不安定だが、守備力は12球団でもトップクラスだろう。
もし小園がサード候補の上本・堂林・林よりも打って、矢野が.250くらい打つならば、ショート矢野・サード小園の三遊間もあり得るかもしれない。
菊池の後継者問題もあるが、今のところは羽月が最有力候補だろう。

外野手はメンツが揃っており、あまり不安要素はない。西川・秋山・野間の外野陣は12球団でも屈指だろう。全員3割打ちそうだし守備も堅い。

ちなみに中村健は他球団ファンの人はあまりご存知ないと思うが、今季は社会人卒のルーキーとしてほとんど一軍に帯同し、パンチ力のある打撃・超上手い外野守備・やたらデカい声でチームを支えた。(プロ初ホームランの際には"ケンティーサンキュー"とプリントしてあるTシャツが球団から販売された。)
同じくルーキーだった末包(すえかね)は、開幕一軍でそこそこ打ったが簡単に抑えられることも多く、途中からは二軍調整になった。188cm110kgのロマン砲で、二軍では格の違いを見せつけているので、来季はぜひ一軍で見たい。

あと個人的に期待しているのは、来季で高卒2年目になる田村だ。一軍未出場のため上記のリストにはいないが、体が大きく、フェニックスリーグでは2試合連続ホームランを放つなど大器の片鱗を見せている。まだ若いが、来季一軍でブレークする可能性もある。

ベテラン勢の松山・長野は少し心配で、主に代打として大事な場面での活躍はあったが、実績と年俸を踏まえるとだいぶ不満な成績に終わってしまった。2人には晩年の新井さんのようにチームを盛り上げ、左右の代打の切り札としての活躍を期待したい。



コーチ陣

まず知っての通り、今季まで3年間監督を務めた佐々岡真司監督が辞任し、来季からは新井貴浩新監督が指揮を執ることが発表された。

佐々岡政権下ではコーチ陣も大きな入れ替えは無かったのだが、今回の監督交代をきっかけに新たなコーチ人事がたくさん発表されている。
これからまだ追加で発表される可能性もあるが、現状の発表されている段階で一軍コーチ陣がどう変わったかを見ていく。(役職は正式に発表されていないため、あくまで予想である。)

ヘッド:藤井彰人
バッテリー:石原慶幸
投手:高橋建
投手:横山竜士
打撃:東出輝裕
打撃:朝山東洋
打撃:迎祐一郎
内野守備走塁:小窪哲也
外野守備走塁:福地寿樹

(太字は新加入)

上記のほかに、監督の実弟である新井良太氏が二軍打撃コーチとして入団することが発表されている。

一軍では、阪神のバッテリーコーチを務めていた藤井彰人氏、ヤクルトで外野守備走塁コーチを務めておりカープOBでもある福地寿樹氏、カープ一筋で2020年に引退した石原慶幸氏のコーチ就任が発表された。

今季のカープの一番の課題は盗塁だ。盗塁が12球団で最小なことも問題だが、守る方でもチーム盗塁阻止率が12球団最低の.204と地獄のような結果になった。(実は盗塁数が少ない・阻止率が低いに加えて盗塁成功率.473も12球団最下位で"盗塁逆三冠"という不名誉な屈辱を喫した。NPBに盗塁禁止ルールの導入を提案したい。)
その課題を解消するためか、バッテリーコーチに石原氏、外野守備走塁コーチに盗塁王を2度獲得した福地氏を招へいした。これで問題が解決されるかは分からないが、現状を打破するための良い入れ替えになったのではないだろうか。

また、カープは交流戦で毎年弱いことも問題である。他球団のコーチが加入したことで、そのあたりのノウハウも手に入ればいくらかマシな戦いができるようになるかもしれない。

ヘッドコーチとして入閣すると発表されている藤井氏は新井監督と仲が良く、野球観も近いようだ。今季は盗塁や投手交代などの采配で後手を踏むことが多かったので、来季はカープの参謀として腕を振るってほしい。

あとファンの間では、黒田博樹氏が投手コーチとして入団するかもしれないと噂されている。黒田・新井はともにカープ暗黒時代を支え、2016年にはともにカープに戻り25年ぶりのリーグ優勝を達成するなど関係が深い。黒田氏は過去に「新井が監督やるなら投手コーチやる」などと軽率な発言をしたこともあり、今回の噂が発生したようだ。
しかし過去のことを思い返すと、黒田氏がカープからMLBに移籍した2008年から、シーズンオフになると毎年カープファンの間では「黒田は来年カープに戻ってくるらしい」という噂がささやかれていた。(”黒田復帰”はカープファンの秋の風物詩として知られている。)したがって黒田がカープに戻ってくるかもしれないというのはあくまでカープファンの根拠のない願望であり、おおよそ実現しない可能性が高い。



カープが抱える問題

ここまでチームの成績や編成の問題点を洗い出してきた。それも踏まえて、カープが解決すべきである3つの問題を提起する。


① 交流戦弱すぎ問題

カープファン以外ではあまり知られていないかもしれないが、カープの交流戦成績はかなり酷く、過去4年間で10位・12位・12位・12位である。3年連続最下位という非常事態だ。競走馬ならとっくに引退に追い込まれている成績である。

春先は大体調子が良くて「この勢いで今年は交流戦も勝てるぞ!」とカープファンは躍起になるのだが、見事に粉砕されるのが毎年の流れである。

なぜそこまで負けるのかと言われると、原因ははっきりしていないが、とにかく投手は打たれ、打者は打てないということに尽きる。

カープが交流戦で弱いことについて、里崎チャンネルでは「研究不足」との指摘があり、たしかにここまで弱いとそうとしか思えない。日ハム戦で簡単にダブルスチールを決められたりしていたので、特にパリーグ対策が甘すぎる可能性が高い。

対策としては、交流戦のためにパリーグのスコアラーを手厚くしたり、あるいは外部のコーチを招き入れたりすればいくらかマシになるだろう。一応来季からはカープOB以外のコーチも入閣するということで、そろそろ最下位脱出してくれることを願っている。



② 若手育ってない問題

カープは育成に定評があるとか言われているが、実は近年ではレギュラー争いをするような高卒選手が坂倉と小園くらいしか出てきていない。投手に関してはほとんどいない。

したがってチーム全体で高齢化が進んでいる。下からの突き上げが無く、微妙な成績のベテラン(大瀬良・會澤・堂林・松山・長野など)が一軍に居なければいけない状態になっており、あまりいい状態とは言えない。

打者で言うと羽月・矢野・大盛など守備走塁が良い選手はいるのだが、打力がなかなか成長しないため代走守備固め要員にしかなれないのがもったいないところだ。投手では玉村・大道・高橋昂・小林樹などは良い球を投げるが、安定感がない。

コーチの育成手腕などに問題がある可能性もあるが、個人的に一番の問題は一軍での起用数が少ないことだと思う。
確かな記憶ではないが、たしか今季のカープは一軍での起用選手数が12球団最少と言われていた気がする。実際、二軍でちょっと調子が良い選手でもなかなか一軍には上がれず、実績組の起用が重視される傾向があった。

一軍起用は若手のモチベーションや成長にも繋がると思うので、来季からは新井監督のもと積極的な若手の起用に期待したい。



③ 現役ドラフトどうする問題

今季から現役ドラフトが導入されることが発表された。

現役ドラフトは出場機会に恵まれない選手の移籍を活発にすることが目的で、ルールを簡単に説明すると、

  • 各球団2名を対象リストに選出する

  • 最低1名を獲得し、1名は流出する

  • 入札の多かった球団から指名権を得る

という内容だ。

いわば"強制トレード"みたいなものだが、人気のある選手をリストアップするほど指名順が早くなるため、そのあたりの駆け引きが重要になりそうだ。

それではカープはこの現役ドラフトでどういう戦略を取るべきか考えてみよう。

対象リストに加える選手は、カープに在籍していても出場機会に恵まれていない、つまり他球団に移籍すれば活躍できる可能性がある選手を選ぶべきだ。
その観点だと、真っ先に思い浮かぶのは捕手の磯村だ。捕手不足の球団は多く、その点カープは坂倉の捕手転向もあり出場機会が得られなくなる。リストに加えれば獲得したい球団は多いのではないだろうか。
投手はカープでも不足しているが、しいて挙げるとするならば、リリーフ左腕が欲しい球団が多そうなことも考えると、塹江も良いのではないだろうか。今季はイマイチな成績で二軍が長かったが、150km/hを超える速球が持ち味で、他球団なら出場機会に恵まれる可能性もある。
あとは外野手の大盛。カープは外野のレギュラーがほぼ決まっているため出場機会が少なく代走守備固めに徹しているが、意外と打撃も良い。流出するとカープの外野の後継者がいなくなってしまう恐れはあるが、出場機会に恵まれないという意味では候補の一人だ。

逆に獲得すべき選手は、放出する選手や他球団のリストにもよるが、投手がいいだろう。先発中継ぎ問わず、もう少し投手層を厚くした方がいいような気がする。



あとがき

いろいろ考えていると熱くなってしまい、10000字を超える超大作になってしまった。ちなみに学部時代の卒業論文がおよそ13000字だったので、それに匹敵する分量である。

書いて発信したところで何かが変わるわけではないが、現状をきちんと整理して見直すことで、これからの応援がもっと楽しくなるのではないかと期待している。

来季は優勝してこの振り返りnoteを書けることを願う。




長くなりましたが読んでくれた人ありがとうございました!



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