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有馬温泉炭酸泉、シュワ~とできる

 日本最古の湯の一つといわれる有馬温泉は神戸市にある。

 有馬温泉は、神話の時代から知られており、「摂津国風土記」には、有馬温泉は「塩の湯」と書かれている。塩分を含んだ湯として知られていた。
 近世になると、豊臣秀吉が愛したことで知られている。秀吉は、山奥の有馬に9回も訪問しているそうだ。

 有馬温泉の名物として、炭酸せんべいがある。炭酸せんべいは、いろいろな店で作られている。ほとんどが丸いカンに入っている。

 作り方は、小麦粉などのせんべいの原料を、水ではなく、炭酸泉でまぜると、パリッとしたせんべいになる。パリパリサクサクのせんべいが炭酸せんべいなのだ。
 有馬温泉の湯には炭酸泉があるからできたもの。

 有馬温泉は、金泉銀泉きんせんぎんせんといって、泥のように色のついた鉄分と塩分を含む金泉と、透明な銀泉の二種類がある。銀泉は場所により成分が異なるが、その中に炭酸泉もある。
 有馬温泉は、金泉銀泉両方の湯に入れることで知られている。

 また、有馬は日本のサイダー発祥の地ともいわれる。
 炭酸泉を使った有馬サイダー、当時は「てっぽう水」と呼ばれたものは、1901年からミネラルウォーターとして販売し、糖分を加えた飲み物としては1908年より販売された。
 その後、有馬のてっぽう水はすたれ、サイダーの流れは、三ツ矢サイダーとリボンシトロンとなった。最近は、「有馬てっぽう水」を復刻して販売もしている。
 歴史を知れば、新しいものが生まれることもある。

 有馬温泉から少し離れるが、現在の西宮市生瀬なまぜで、イギリス人、ジョン・クリフォード・ウィルキンソン(1852?~1923)が、明治時代にたまたま炭酸泉を発見し、これは売れると、てっぽう水より早く1890年から事業を始め、ウィルキンソン・タンサンとして販売した。
 今はキリン飲料から販売されている「ウィルキンソン」の歴史だ。
 発見場所は西宮市ではあるが、西宮といえば、大阪人の自慢する阪神甲子園球場は兵庫県西宮市にある。大阪ではない。兵庫県だ。
 西宮は海の近くというイメージがあるが、もっと山の方にも続いており、生瀬なまぜなんてほぼ宝塚であり、昔は「有馬郡生瀬」だった。つまりウィルキンソン発見当時は有馬温泉のなわばりだったので、ウィルキンソンは有馬生まれの有馬の炭酸だった。

 ウィルキンソンの歴史を知ると、有馬の歴史と温泉の秘密もわかる。


 ウィルキンソンは日本に住んでいたが、現代の日本に興味を持つ外国の人は、日本人の知らないようなことを知っていたりもする。ネットで調べたりするのだ。
 日本のことをとても詳しく知っている外国人がテレビで紹介されたりする。
 日本人が知らないのに外国人が知っているなんて、ちょっとなさけない気がする。いくら英語の勉強をして、ペラペラしゃべられるようになったとしても、その英語であいさつと道案内しかできないなんて情けない。
 英語を使って日本の歴史や文化を伝えられてこそ本当の国際人だろう。
 英語の勉強だけして、日本の歴史や文化を学ばない。普通の来日外国人より知らない。いや、日本語自体を学ばないから、まともな日本語も話せず書けない人に、どんな英語が使えるのだろう。
 自国の文化も言葉も知らない人間に、外国人と対等に向き合うことなんてできない。

 我々は、まず身近な日本の歴史や文化を知ろうではないか。知れば新しい発見もある。
 もっと日本に、自分自身に興味を持っていろいろ調べてみよう。


 


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