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二度目の金木犀(キンモクセイ)、狂い咲き~その2 木犀、桂花とクローンと

 9月にキンモクセイが咲き、咲いた花だけでなく、地面に散った花びらの写真も撮影した。

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 それが今、11月の初旬にキンモクセイが咲いている。一部の木だけでなく、いたるところで黄色い花が、強い香りを漂わせている。1本2本の狂い咲きではなく、いたるところの花が咲いている。


 日本にあるキンモクセイは、種で増えたのではなく、全てクローンだと知って納得。
 日本にあるキンモクセイは雌株がなく雄株だけだそうだ。だからクローンを作って増やしていった。みんな同じ性質をしているから、同じ環境にあれば、みんな同じ行動をする。花が咲くときには、みんな一緒に咲く。茎の色は濃かったり薄かったり、太かったり細かったり様々だが、みんな同じDNAを持ったクローン。


 桜のソメイヨシノも種を実らせないので、クローンで育てている。元はたった1本の木から全国的に広がった。ソメイヨシノはクローンだから、同じ条件ではみんな同じ行動をする。だから「桜の開花情報」が出せる。「桜の開花情報」はソメイヨシノだけ。ヤマザクラなど他の種類の桜では「開花情報」は出せない。クローンではなく、差が大きいから。花が咲くときもバラバラだ。

 クローンを作るのは人間。挿し木などで数を増やす。それを人間が植えていく。ソメイヨシノは公園や川べりなど、人が植えた場所にしかない。山の木々の間にぽつんと咲いている桜の木は、ソメイヨシノではなく、ヤマザクラなど他の種類の桜の木。

 キンモクセイも同じだ。自分で種をまき散らすのではなく、人の手を借りて仲間を増やす。人が植えなければ増えない。黄金の花を咲かせ、香りを漂わせるキンモクセイをさがすと、えっ、こんなところにも植えてある。そんな木もある。本当に人が植えたのだろうか。

 この世に一人だけ存在していたアダムのあばら骨を培養して、神はイブを作った。
 アダムと、アダムから生まれたイブとのたった二人で、この世に人を満ちあふれさせた。

 ソメイヨシノもキンモクセイも、日本の国土にあふれている。

 日本の国を作り出したイザナギとイザナミは、初めて覚えたセックスによって多くの命を生み出した。
 イザナミが亡くなっても、イザナギは自己の細胞分裂によって多くの命を生み出した。
 日本には、たくさんの命が生み出された。


 こうして日本に増えていったキンモクセイ。テレビのローカルニュースでも二度咲きの話をしていた。ところがヤフーニュースを見ても、あんまりニュースがない。遅く咲いたというニュースもある。




 いやいや、遅く咲いたのじゃない。確かに二度咲き。私はちゃんと見た。二度目。遅咲きのニュースの木とは別の咲き方をしていたのだろうか。クローンのはずなのに、よほど環境が違っていたのだろうか。そうして見ていると、キンモクセイの「実」のニュースもあった。雄株しかないはずなのに。いったいどうなっているのだろう。



 中国原産のキンモクセイは、「金木犀」と書く。その雄株だけが日本に伝わったといわれるが、それも確かではないらしい。中国は隣の国なのだ。雄株だけで雌株がなければ、雌株を取り寄せればいいが、そんな話も聞かない。中国には日本のキンモクセイはない。キンモクセイは日本で変異したから、日本にしかない、ともいわれる。

 中国では、木犀のうち、「桂花(けいか)」と呼ばれるもの。桂花がたくさん生えているという意味の地名、「桂林」は中国の観光地。桂花のお茶は「桂花茶」で、桂花のお酒は「桂花陳酒」。ネットを見ると、キンモクセイを使って、お茶やお酒ができるとの記事もあるが、根本的に、日本のキンモクセイと中国の桂花が同じものかどうかもわからない。

 日本のキンモクセイとどう違うかはDNA分析ですぐわかるだろうが、そういう記事を見つけられなかった。日本のギンモクセイとの雑種ではないかともいわれるし、突然変異かもともいわれる。DNAを調べればわかるのだろうが、誰も興味がないのだろうか。キンモクセイとギンモクセイ、ヒイラギモクセイというのもある。日本と中国の違い、モクセイの仲間の違いも、DNA分析でわかるはずなのに、誰も調べないのだろうか。調べられていても、誰も興味がないので事実が広がらないのだろうか。


 こんなに身近にある花なのに、知らないことが多すぎる。人が増やした木なのに、知らないことが多すぎる。

 キンモクセイにも、誰も知らない長い長い物語がある。


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