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鬼も十八~不適切にもほどがある

 「鬼も十八番茶ばんちゃ出花でばな」ということわざがある。
 鬼のような女性も、十八歳の頃はかわいい。品質の悪い番茶も、はじめの一杯はおいしい。という意味だ。なに。「鬼のような女性」ってなんだ。十八歳しかかわいくないのか。セクハラだ。不適切だ。
 それで今は、「鬼も十八」を抹殺して、「番茶も出花」だけでことわざにしているようだ。


 ことわざについては、いろいろ書いてきた。


 番茶にしても、緑茶より劣るとはなんだ。不適切だといわれそうだ。
 番茶は、地域によって違うようで、緑茶より劣る葉っぱで作ったお茶を番茶といったり、自家製のお茶を番茶という地域もあるそうだ。ほうじ茶のことを番茶という地域もある。私の家では、自家製の、葉っぱと一緒に茎も煎ったほうじ茶を番茶といっていた。
 なにはともあれ、番茶は番茶でおいしいのに、それを下級品だというのは不適切だ。


 不適切といえば、「不適切にもほどがある!」というドラマが評判になっている。
 タバコをスパスパ吸って、野球部員にケツバットをする1986年の中学教員が、2024年にタイムスリップする話だ。昭和の時代には当たり前だったことが、令和の今では不適切になる。

 なんかおもしろそうだとTVerで見た。
 現代のコンプライアンス過剰に笑い、阪神淡路大震災の思い出にほろっとさせられる。おもしろい、金曜ドラマだから、金曜10時に見ようと思いつつ忘れてしまい、またTVerで見ることをくり返していた。先週やっとリアルタイムのドラマを見ることができた。
 今週はどうなるんだろう。

 本当に今は、何なら何まで不適切だといわれてしまう。


 「鬼も十八」というように、やはり十八~九の娘は、どんな娘でもかわいく見えてしまう。これは事実だ(と思っている)。男はついクラクラとなってしまう。
 もっと年齢が上の、幼稚園の子どもを連れたお母さんが子どもを連れて幼稚園に向かう。そのお母さんたちを見ると、「えっ、この人、どんな人と結婚しているのだろう。相手の男性はどんな人だろう」という、本来、結婚できそうにもない女性もいる。
 うわあ、これは不適切な発言だ。完全なる女性蔑視だ。
 とはいうものの、どんな人がこの人と結婚するのだろうという人は、男でも女でも(私から見て)いることはいる(不適切な本音)。
 でも、その人が魅力的に見えるときがあったので、相手の人も結婚を決めたのだろう。

 十八歳とは限らないけれど、人には魅力的に見える時期がある。女性に限らない。男性も、魅力的に見える時期がある。
 そもそも「鬼も十八」という言葉は、もともと男女ともに使っていたそうだ。年頃には魅力的になる時期があるという意味で使われていた。年頃の男女は、フェロモンのような「魅力」という物質を発散しているのではないか。それが、生物としての繁殖のための方法でもある。

 昆虫はフェロモンを遠くまで飛ばし異性をさがす。
 イノシシの子どものウリボウは、親と違って横じま模様がある。シカの子どもは、親と違って水玉模様がある。これは、「私は子どもだから、かわいがってね」というサインだ。
 鳥のヒナは、親と違って黄色いくちばしをしている。これは、「私はヒナだから、エサをちょうだいね」というサイン。生き物は、その年齢に合わせてサインを出す。
 婚姻色といって「結婚できるよ」という色を出す魚や動物はたくさんいる。ニホンザルも、結婚適齢期のサルは、顔もおしりも赤くなり、メスザルの中には、おしりが赤く大きくなるものもいる。

 生物には、結婚適齢期というものがある。そのときに体に変化が起きる。

 長生きをする人間の場合は、適齢期が長くなってきている。そして人間が結婚するにはお金も必要だが、お金があるから結婚を決めるわけでもない。お金が全てではないのに、お金があれば結婚するだろうと、少子化対策だと、お金だけを選挙目当てで配ったって、婚姻率が上がるものでもない。
 お金が全てではない。
 ちまたでは、資産運用をすすめるコマーシャルがあふれている。体を動かして働かなくても、お金を動かすだけでお金が増えます増えますと言っている。
 パチンコ、ケイリン、ケイバにカジノ。政府公認のギャンブルが増えていく。ギャンブルなんて、隠れてするから楽しいのに(不適切な発言)。資産運用も、リスクがあるギャンブルだろう。
 「ニンベン」の「人」に「動く」で「働く」。人が動くから働くのに、人ではなく指先だけがネット上を動いてお金が動く。
 何か変だ。
 こんなことばかりしていたら、生物である人間はどうなっていくのだろう。生物には生物の生き方がある。

 お金が全てではない。
 心の豊かさを求めなければ、人間が人間でなくなっていくようだ。 
 適齢期の人間には、本来の魅力があるはずだ。目には見えにくい自分の魅力を大切にしてほしい。

 適齢期なんてとっくに過ぎたじじいのひとりごと。


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