働き続ける高年齢者

私は還暦を過ぎて働いているが、まもなく早期退職をする予定である。そのまま完全引退という訳にもいかないので、再就職を探そうと考えている。
そんな折に、改正高年齢者雇用安定法が3月31日の参院本会議で賛成多数で可決・成立された。
従業員の70歳までの就業確保に努めることを企業に義務付ける、というものであり、まずは努力義務という話しである。すぐに直接的インパクトがあるとは思えないが、私達の世代にはこれからどんな影響があるのだろうか考えてみた。
・従業員の70歳までの就業確保に努めること
同級生の話を聞くと、60歳で退職後に給料が大きく下がりながら再雇用で働いている者が多い。その年齢が5年ずつシフトする事になるのだろうか。
・高年齢者雇用に積極的な企業は定年を延長したり、再雇用制度などを整備して高齢者を留保する。一般的には5歳分は体力的にきついだろうが、働き甲斐があればハッピーである。企業側はワークシェアが課題となろう。
・65歳を超えたところからの賃金の問題もあるだろう。現行の年金制度では老齢厚生年金を受給しながら働く場合は在職老齢年金といって、厚生年金の基本月額と働いた標準報酬月額の合計が、60~65歳未満は28万円、65歳以降は46万円を超えると支給年金が減額される仕組みになっている。これも改正高年齢者雇用安定法と合わせてみれば、65歳以降の収入と年金の支給停止条件も見直されることになるだろう。

・改正高年齢者雇用安定法についての記事を引用
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1008436

もうひとつの見方としては、高齢者と若者の雇用がある。高齢者がずっと働いていると、従業員の頭数が減らない分だけ若者の雇用が伸びないのではという事は漠然と思っていた。〇〇家の爺ちゃんは働き続ける一方で、子や孫の仕事がないみたいな事が社会全体で起こるのではなかろうか?と。それでも何とか会社にいて働き続けたいと考えてしまうのも当然で、普通に定年していては死ぬまでに二千万円足らないと言うのだから仕方ない。

会社の特定の業務を考えたら、誰かが退いて後任にその業務を譲るという事はある。それは組織を活性化できる利点もあり、潔い勇退はその点では評価されて良いと思う。

定年、就職というキーワードで検索をしていると以下の日刊工業新聞のニューススイッチの記事にヒットした。過去に、実際に定年延長と就職氷河期がリンクした時期のデータがあり興味深い。
記事より引用:ただ、確実なことが一つある。それはリタイア年齢の引き上げは「少退職期間」を起こすということだ。例えば、企業が定年を60歳から61歳に引き上げた場合、この1年は、定年退職がゼロになる。この現象が社会全体で起こると、数十万人規模の話となるため、労働市場にさまざまな歪みを生むのだ。引用おわり

「定年延長が招く就職“再”氷河期の恐怖」
日刊工業新聞ニューススイッチより
https://newswitch.jp/p/21112



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