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Vintage Guitarはなぜ高いのか?

Vintage Guitarの値上がりが止まりませんね。
「一日一万円づつ値上がりしている」という都市伝説すらあります。(あくまで感覚的な発言であり、裏付けはありません。)

Vintage Guitarはなぜ高く評価され、高値で取引されているのでしょうか?

ここではJapan Vintage(ジャパビン)と言われる国内ブランドも含め、Vintage Guitarが評価され、高値で取引される理由について解説致します。


・一般的には中古より新品の方が高い

一般的に工業製品の場合、新品の方が値段は高く、中古のほうが値段は安くなります。
そもそも住宅でもクルマでも電化製品でも洋服でも、何でも中古よりも新品のほうが高いのが一般的です。
中古の購入は「本当は新品が欲しいが、予算的に安いので中古を選ぶ」といった「経済的な理由」であることが多いと思います。
中古品36%対新品64%で、新品を好む人のほうが多いというアンケート結果もあります。

・Vintage=中古?

Vintage Guitarというと聞こえが良いですが、要は中古ギターです。
Vintage Guitarが中古ギターの仲間であることは間違いないです。
でもVintage Guitarは評価も値段も高い。
中古の方が値段が高いというのは一般的な考えでは違和感があります。
一般的に「古いものは安い」という常識からは外れています。

ではなぜVintage(要は中古)の方が新品よりも評価され、値段が高いのでしょうか?


・熟成が進み良い音を奏でるように

ギターは楽器ですので、見た目よりも音に拘る人が多いです。
見た目がどんなにきれいでも音がイマイチな楽器と、見た目は傷んでいても音が素晴らしい楽器。
あなたはどちらを選びますか?
バイオリンなどにも当てはまるのですが、ギターの場合、長年弾き込まれたことにより、熟成が進み良い音を奏でるようになることが多いです。
見た目が傷んでいても奏でる音が素晴らしい楽器の方が評価されるのが音楽の世界の美学であるという訳です。
もちろん新品で素晴らしい音を奏でる楽器も沢山あります。
必ず古いものはいい音がして、新しいものは古いものに劣るというわけではありませんので誤解の無いようにお願い致します。


・古いギターは良材が使われている

ギターは一部の例外を除き、一般的に材料は木材が使われております。
良材は時代とともにどんどん入手が困難となり、過去に作られた楽器のほうが良材が使われていることが多いです。
ギターは部位によって様々な異なる材料が使われておりますが、ギターの材料として評価が高いにもかかわらず、1973年に制定されたワシントン条約により、絶滅危惧種と認定され、伐採が禁止されてしまった木材があります。
代表的な例は、かつて指板やボディなどに好んで使われてきたブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)で、代替材への置き換えが進みました。
その後、2017年には多くのギターが指板などに使用しているローズウッドまでが追加でワシントン条約の対象となり、材料費が高騰。
将来的に使用出来なくなりました。

このように、Vintageと呼ばれるギターの中には現在では入手が困難、または材料が高騰してしまい、今では気軽に使用出来ない材料を用いて作られたものも多いです。
その希少性が流通価格を押し上げているという面もあります。
ビンテージ家具と同じことが言えるかもしれませんね。


・人気ブランドのギターは評価も高い

やはりなんだかんだ言いながらも、同じくらいの年式、材料を使っていても無名なブランドよりもGibsonやFenderといった有名ブランドのギターは評価が高いです。
国産ブランドであってもGrecoやTokaiなどの有名ブランドを冠したVintageギターは同年代の無名メーカーのものよりも評価(=価格)は高くなります。
のれんに裏付けされた信頼と実績と言えるでしょう。

・工作精度は現在の方が上?

Vintageギターは現在よりも良材が使われていることが多いですが、作られたギターの工作精度は現代よりも職人さんの能力の差によるバラツキが多い傾向にあります。
現行の新品ギターはコンピューター制御の工作機械を使って製作されておりますので、圧倒的に工作精度は向上しており、バラツキは少ないはずです。

・結論

結局のところ、我々は
・Vintage Guitar=材のグレードが高く、弾き込まれた数十年前に作られた工作精度の低い可能性のある古いギター
と、
・新品のGuitar=材のグレードは過去よりは多少下がったかもしれないが、傷一つ無くきれいで工作精度の高いギター
とを比べている訳ですが、
現代まで弾き込まれ、適正な保管とメンテナンスが施され、現代でも楽器として通用しているVintageのギターは工作精度も高い「アタリ」の楽器と言ええるのでしょう。
つまり、高値で取引されているVintage Guitarは

①良材が使われており
②工作精度に問題がなく
③適正にメンテナンスが施されてきたもので
④程よく弾き込まれ良い音を奏でる
楽器

ということになります。

見た目は傷んでいるように見えてもしっかりメンテナンスがされていて、素晴らしい音を奏でる楽器。それがVintage Guitarです。

価値ある楽器なので価格が高いのは仕方がないですね。


・購入は信頼出来るお店で

Vintageギターは明確な定義はないものの、おおよそ1940年代~1970年代に製造されたギターを指します。
基本高価で古いものですから、購入される際はなるべく信頼のおけるショップで購入するようにしましょう。

個人売買のノークレーム・ノーリターン条件で購入する場合は大きなリスクを伴うことになります。

神田ギターベイスで販売しているVintage Guitarは全てプロのリペアマンによるコンディションのチェックとメンテナンスを施したものですので安心してお買い求めいただけます。

是非お問い合わせください。


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