見出し画像

「ときどき雲と話をしよう」-KANさん追悼-

2023年11月17日、ミュージシャンのKANさんが、お亡くなりになったことが明らかになりました。

「愛は勝つ」が大ヒットした1990年。

当時私は中学生。
色んな音楽を聴き始める年ごろ。

テレビの音楽番組はもちろん、ラジオは「電リク」と呼んでいた電話リクエスト番組全盛だった時代。

「愛は勝つ」を聴かない日はありませんでした。

当時あまりお金を持っていなかった私は、FMラジオの音楽番組で流れた「愛は勝つ」をラジカセでカセットテープに録音し、自分のマイベストの一曲として、それこそ擦り切れるくらい聴いていたことを思い出します。

KANさんはラジオパーソナリティもされていたので、その面白いトークにも影響されました。


ただ、当時KANさんの曲でどうしてもピンとこなかったものがありました。

1991年のアルバム「ゆっくり風呂につかりたい」に収録されていた「ときどき雲と話をしよう」です。

(著作権の関係から歌詞の引用は避けます。ご了承ください。)


大切な人を失ったこと。
そして頑張りすぎた自分に対し「少し休もう」。


若かった私は、

「休む」

ということに抵抗を感じていました。

それゆえに、テンポの良いピアノで背中を押してくれる「愛は勝つ」は大好きでしたが、「ときどき雲と話をしよう」はのんびりしたフレーズと、しっくりこない歌詞で、あまり好みではありませんでした。


その後、

がむしゃらに学校の部活に取り組み、

猛烈に高校・大学受験に挑み、

就職活動では超氷河期の壁にぶつかり、

会社では残業・休日出勤当たり前。

人の2倍3倍努力しろ。

人がやらない時にやらねば勝てない。


休みたいと弱音を吐くことは「負け」を意味すると本気で思ってました。


確かに頑張った事で得られた成果もありました。

でも同時に、報われず、打ちひしがれ、心身ともに疲弊することも経験しました。


年を重ね、

「休む」こと

が、いかに大事であるかを知りました。


ただ、今もちゃんと休めているかどうかわかりません。

日々の生活に追われているような気がします。


「ときどき雲と話をしよう」

今は、「すっ」と私の中に入ってきます。


中学生・高校生の私を「愛は勝つ」とラジオでのトークで笑わせ、そして勇気づけてくれ、


年を重ねた私には「ときどき雲と話をしよう」で和ませてくれました。


ありがとう、KANさん。


でもやっぱり早すぎます。


安らかに。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?