Colabo「会計に不正はなかった」はそうかもしれないけどさ
はじめに、私は「若年被害女性への支援」は必要だと考えており、女性自体も批判する考えは一切ありません。1ミリもありません。そのうえで、エントリを書いていることをご理解いただければ幸いです。
Colaboや、団体を好意的に語る方々が口を揃えて言う「会計に不正なかったのに非難するのはおかしい」的な話ですが、Colabo本体が言うのは論外としても、会計・経理を知らない人が言うのは「まあ、仕方ないかな」とも思います。
前回のエントリでも書いたように、Colaboは「理解できない人」をターゲットにしているわけで、会計についても同様です。活動家や陰謀論者と同じ手法と言えます。ある意味「理解できない人」は被害者かもしれません。
流石に国会議員や地方議員が「会計に不正が無いから問題ない」って言っていると「この人に(政党に)投票したらヤバいな」と思いますが……。
そもそも会計に不正なんてあったらマジでヤバイ
会計の不正って、架空の経費を計上しているとか、金額を水増ししているとか、そういう性質のものを「意図的に」やっていることであって、そんなのあったら、Colaboだけじゃなく、その状態で何年も契約していた都も、監督省庁も大問題案件です。
監査時点でも「桁が1桁まちがえていた」なんてことがあったことは指摘されているので、こういうことが「意図的」であれば「水増し不正」となるわけです。
「それが意図的であるか証明できないうえに、全体の金額が不当部分を除いても2600万円を超えていて、まあ、見ため是正出来たからお咎めなし」としたのかと思います。都としても「不正」という事実は避けたかったのでしょう。
要は、そういう忖度も発動するくらい不正は「なくて当たり前」なわけです。当たり前なんですから、「不正が無い」とドヤ顔する意味がわかりませんし、恥ずかしい行為であるとすら思います。
不適切会計はままあるが……
そして、「不正」とは言えないまでも「不当・不適切」という判断は下されています。最初に言ってしまうと、会計の「不当・不適切」は、そこまで珍しいことではありません。経理・会計って複雑で、間違えることはままあります。また、こうして指摘されても真摯に受け止めて是正すれば良いとも思います。
そう「真摯に受け止めて是正」するものなのです。
「よくあることでしょ」と開き直って良いものではありません。間違っているのは事実なのですから。
特に公金が出ているわけですから、「指摘された内容を真摯に受け止め是正する」はマストです。是正しなければ全却下(全額返金 or 支給停止)なんてことも全然あるので当たり前のことです。「不正はなかった」とふんぞり返っている場合ではないのです。
普通の中小企業相手では絶対にないであろう「お咎めなし」という都の対応。対応が甘いために「不正はなかった」とcolaboに主張させてしまっている気がします。
この主張に「理解できずに乗っかってしまった人」は「可哀想」とも言えます。対して、会計について知って然るべき政治家や地位のあるにも関わらず乗っかている方は端的に「ヤバイやつ」に私からは見えます。
事業按分ってわかりますか?
実際に経営や会計の経験がないと理解されない部分が「事業按分」だと思います。(この辺りは、以前のエントリでも触れています)
厚労省はもちろんその辺りのことはちゃんとわかっていて、国会でこのように述べたと話題になっています。
どういうことなのか?身近なもので「スマホ」を例にしましょう。
1台のスマホを仕事と私用両方で使っていたとします。もちろん仕事で使った分の通話料は「経費」となります。逆に当たり前ですが、私用利用の通話料は経費にはなりません。
ここまでは誰でもなんとなく理解できるかと思います。
要は、どう使ったかで経費か否かを区分しなきゃだめだよねって話です。
ただ、面倒くさいのは、colaboの場合、「仕事と私用」という分かりやすいものではなく「自主事業と委託事業」の区分け(按分)をするということです。どちらも経費には違いないのでややこしい。
例えばですが、colaboが元々、若年被害女性に食料を配っていたとします。これは委託される前なら「自主事業」です。
後に、晴れて女性支援事業を委託されることになって公金を得たとき、同じように食料を配るときの食料の調達費用は「自主事業」と「委託事業」どちらの経費になるのか?
恐らく委託事業の経費として計上するでしょう。
もちろんOKです。委託事業は「若年被害女性支援」を目的としたものですから、その経費として計上できるでしょう。
一方で、歌舞伎町を徘徊する「若年被害女性ではない人」に食料を配っていたらどうでしょうか?たとえば、特に生活的にも精神的にも困窮していない水商売の女性が休憩所のように使っていて、そこに食料を出していたとすれば、それは「若年被害女性への支援」のための食料とは言えません。
colaboが若年被害女性以外も支援すること自体は問題ありませんが、それは「自主事業」となります。
「自主事業」と「委託事業」、経費の区分について「どっちの経費?」という判断は非常に難しいです。「本当にこれって若年被害女性支援のために使われたお金ですか?委託目的とは別の、あなた達の活動のために使われていないですか?」って話が常につきまといます。
厚労省や東京都は「若年被害女性支援」のために支出しているのですが、colaboは支援している女性が被害女性かどうかをあまり重要視していない様で(若い女性であれば誰でもwelcomeという印象)その活動自体は全く以て非難するものではありませんが、厚労省や都が推進している「若年被害女性支援」の目的とは異なるため、そこに委託金(公金)は使えないと言えるでしょう。引用した内容を観る限り、厚労省もこの辺ちゃんと出来ているのか疑問視しているということです。
そういう意味では、今回経費と認められなかった192万円は明確に委託事業の目的を逸脱した経費、あるいは目的に沿っていることが明らかに確認できなかった経費であり、「colaboの自主事業の経費である」とされたものです。ただ、支援した女性の属性が分かっていない(特に困窮していない女性も支援対象に紛れていて、そこに委託事業の経費が使われた可能性が高い)ため、もっと潜んでいる可能性も非常に高いです。
余談ですが、colaboや擁護する方々はこの192万円に対して「自腹」という表現をしますが、これは「自主事業」の経費であって、言ってしまえば「自分で食べたラーメンのお金を払う」みたいなものです。それを「自腹」と言ってしまっています。
自分にかかる経費を自分で払うって当たり前ですよね……。
「自腹」は「本来自分で払う必要のないものを払う」という意味合いが強いかと思いますので、使い方が間違っていますし、これでドヤ顔するのは「私は自分の食費を192万も自腹で払っているのに!」って言っているようなものです。かなり滑稽に見えるのは私だけでしょうか?
話を戻して……故に、例えば食料にしても、若年被害女性に渡したならその購入費用は委託事業の経費、それ以外の女性(被害の実情が把握できない女性)に食料を渡したなら、その購入費用は自主事業の経費(=自分で食べたラーメン代)といったように按分する必要も出てきます。細かい事を言えば、その割合によってバスカフェに代表される支援事業全ての経費を自主事業(若年被害女性支援以外への支援)と委託事業(若年被害女性支援)で按分する必要だってあると思います。
例えば、バスカフェの開催1回につき諸々で経費が70万くらいかかるとします。(計算するとそのくらい……高い……)その日バスカフェを利用した人が50人居たとして、その内、若年被害女性と分かる利用者が25人、若年被害女性とは言えない(確認できない)利用者が25人だったら、ザックリ委託事業の経費としては1/2である35万程度じゃないですか?って話です。100%委託事業の趣旨に沿った用途での経費であると言うなら、通年で2600万円(2021年)なり4600万円(2022年)なり「若年被害女性支援に使いました」という証明をしなければなりませんし、委託側も確認しなければなりません。
colaboは「利用者の個人情報出せない」なんて言っている場合じゃなくて、適正な按分のためには、少なくとも委託元(東京都)には利用者の情報は提示して、委託事業にかかる経費を明確にする必要があると思います。
領収書の拒否はここに関わってくる話で、領収書には女性の個人情報が書かれていることもあるでしょう。個人情報を公に示す必要はありませんが、会計にて委託事業にかかる経費と自主事業の経費で按分する際には必要ですし、監査が入ったなら監査人に提示しない理由はありません。192万円のどのくらいが「見せられなかった領収書」なのか知りませんが、そこが出せないなら、そもそも実態が不透明であり「委託事業を振ってはいけない団体」ということになります。
むしろ、事業の実態を示すためには、領収書どころか、支援した女性全ての情報をちゃんと都や国に示すべきだと思います。都や国を信じられず、情報が出せない(信頼関係が無い)というのであれば、そもそも受託しない方がいいですし、前述したように都や国としても委託をしてはいけない団体です。
ぶっちゃけ言うと、colaboの活動内容(自主事業)と、委託事業の本旨を考えると、そもそも区分が同一(基本やることが同じ)であり、前述したように適切な按分のためには個人情報もちゃんととらなきゃダメなわけで、相当難しいとも思います。それは都や国も分かっていて、多少は目をつむるつもりでいたんじゃないか?と思います。それで若年被害女性が少しでも救われるのであれば、多少その目的から逸れた方への支援があっても止む無しというところでしょう。
そういう考えがあったうえでそれでも、「不適切な会計処理」とかなり踏み込んだ指摘を厚労省からされてしまうということは、厚労省も相当「こいつらヤバイ」という感覚があるのでしょう。
colaboを擁護している方々は、colaboを批判している人たちに対して「印象操作だ」とか「自腹切ってる」とか簡単に言いますが、印象操作で乗り切ろうとしているのは他ならぬcolaboです。
「不正じゃないからOK」ではなく「不正ではないとされましたが、会計に不当なもの、ミスが散見されました。公金で運営している手前、あってはならないことでした。申し訳ありませんでした」という真摯な物言いと受け止めが少なくとも必要で、自主事業の経費を「自腹」表現するのも不適切……そういう判断ができていないことが批判されていると認識すべきかと思います。
colaboに対する数々の批判は「女性を支援する事業だから批判されている」というわけではなく、まして「女性自体への批判」でもないという現実を見て欲しいと思います。
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