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約束

今朝の未明に祖母が亡くなった。数日前にごはんを食べなくなったと聞いていた。もう95歳で、延命措置は望んでいないということだったので、食べなくなったらもうすぐなのだろうと思って覚悟していた。

覚悟していたのに、動揺して、仕事が手につかなくて、夫が起きてきてから、うまく話せなくて、元気を出して言わないと言えないような気がして全然違う話題を振って、そうしたら切り出しにくくなって、そういうぐるぐるをつづけたあげくに、明日お葬式、とだけ言えて、ようやく涙が出た。

この日が遠からず来るのはわかっていたのに、生きている間にはなかなか会いに行かず、新型コロナウイルスが流行りだしてからは施設にウイルスをもちこんではいけないから面会も制限されていて、それを理由に何もしなかったから、泣く資格がないような気すらする。

ひとつだけ、わたしができることで、おばあちゃんが喜んでくれることを思いついた。おばあちゃんの娘、つまり、わたしの母を幸せにすること。生きている間に直接伝えないと意味がないのだけれど、自己満足のために勝手にもういないおばあちゃんと約束をする。

ある程度、年を取った誰もが近しい人との永遠の別れを経験している。みんな仕事はどうしているのだろうか。

たぶん、誰かが決めてくれた作業をこなすことならできると思うのだけど、今、わたしが抱えているのは、ゼロから物語を生み出す仕事の締切で、心がぐらぐらして難しい。悲しみをやり過ごすことくらいはできるのだけども。

ローズマリーは何だか下の方の葉が茶色くなったり、上の方がへにゃりと曲がったり、ちょっと嫌な感じ。根がついているのか気になって、ごく軽く引っ張ってみたら、一本だけ、すっと抜けてしまったので水に差してみた。毎日、水を変えると根が出るのだそうだ。土組が全滅しても、お前だけ生きろ。新しい土を買ってきてやり直すか。悩む。

条件さえそろえば命はどんどん増えるのに、ゼロから生み出すのは難しい。枯れて消えていこうとする命を留めることも。

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京都在住の小説家です。医学博士(京都大学)です。理系ライターもやっています。 お仕事や活動履歴などはHPにあります。 https://kanchikuizumi.amebaownd.com/

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日々、考えたことを少し長い文章で。まだまだ人として未熟だからきっと考えは変わっていくのだろうけれど、その途中過程を書いておきたい。

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