その気になれば名など簡単に捨てられるこの世界で
空が秋の色だった。ハンバーガーを買って、わざわざ外に出てベンチで食べた。日差しはまだ暑かったけれど、風は冷たかった。
最近ずっとがんじがらめで身動きが取れなくなっていたのに、昨日のnoteで書いたことがわたしを解放してくれた。
理系ライターとしての仕事はある。講師としてもある。でも小説家としては世間に求められていない。いっそ小説家であることをやめれば、わたしはもっと自由になるのではないかとさえ思った。でもそれはできなかった。
その代わり、寒竹泉美であることをやめるという選択肢を思いついた。そうすると気持ちが軽くなった。わたしが残したいのは自分の名ではなく、自分の仕事だ。そんなふうにはっきり思えたことで、わたしは自分のことを前より少し好きになった。
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