見えないだけで、月は丸いままなんだ
「誰かが月を食べちゃった」?
子供の頃、三日月を見て、「昨日、誰かが月を食べちゃった」と
泣き出した友人がいました。
たまたま夜に月を見たら三日月だっただけなのですが、
子供同士なので皆信じ込んでしまい、「どうしよう・・」と
大泣きの連鎖が始まり、親たちは困りながらも、大丈夫と。
半信半疑でいましたが、徐々に月は回復していき、
「食べられたんじゃなくてよかった」と喜び合いました。
就学して、月の満ち欠けについて学びました。
地球の周りを回りながら、太陽の周りを回る。
一瞬、「なんだそりゃ」となりましたが、図でようやく理解。
月にとっての昼側が、自分達の見ている月か、と。
つまり月は丸いままなんだ。
当たり前ですよね。何かない限りは丸いまま。
見ているこちら側の都合というか視点で、そうなるだけ。
でも同じ事が日常生活でもよく起こります。
特に人間関係。
利害によって、立場によって、環境の変化によって。
相手自体が変わることももちろんあります。
仲良くなってきたら、図々しくなったり、適当な態度をとられたり
「こんな人だと思わなかった!」とかね。
でもそれは今回ひとまず置いておいて、その人は変わらないのに
自分の見る目が変わっただけ、の場合で、今回はお話を進めます。
今見えている部分はどこ?
今まで仲良くしていたのに、急に何だか感じる違和感。
「あれ、こんな人だったかな」みたいな。
少し距離を置ける人なら置いて、様子を見たりしますし、
どうにもそれが出来ない人なら、見ないふりをしたり、
自分なりに気晴らしをして、そのモヤモヤを追い払う努力をしたり。
それが長く続けば続くほど、「やっぱりもうイヤ!」ってなって
相手もそれを感じていて、その内ケンカになるか、自然消滅。
それもいいと思います。その人がいなくても大丈夫なら。
仕事関係なら、転職してもいいし(ちょっと悔しいけど)
視界に入らないようにさえなれば、また元の平和な生活です。
ご家族や、そうそう仕事辞めるなんて出来ない(大抵はそうですよね)、
ママ友で子供同士仲がいいしとかだと、そうもいかない。
何だか自分だけ損しているような気になってきて、イライラしたり。
それでまた、何だか小さい人間な気がしてクヨクヨしたり。
人間って、面倒くさい。
で、ふといただいた梅酒をチビチビ自宅で呑みながら思ったのが
「今見えている部分はどこなんだろう?」だったのです。
自分がちょっと移動して、その人を別の角度から見ただけなのかなと。
それでとんでもない人だと気が付いて、良かった良かったの場合も
あるでしょうが、今回それなのかな、いやちょっと待って、と。
もうちょっと移動してみる
まるで美術館で、彫刻でも見るような感覚で、あちこちから
その人の事を見てみる(考えてみる)。
すると、意外と自分が忙しくてイライラしてて、
ささいなすれ違いとかが、大きな怒りになっていただけとか、
次に元の素敵だなと思った時のその人を見ると
「やっぱりいい人!」になったりとか、そんなもんだなって。
欠けて見えたのは、月の満ち欠けと同じ。
そう思う様になって、自分の気持ちも楽になりました。
同じ自分を見直すのでも、こんなことをあの人に思うなんて
何て小さくて嫌な人間なんだとなるのではなく、
ちょっと立ち止まって、別の見方が出来るかなと思うだけで
自分が冷静になれるから、一時の感情でダメにするという失敗は
少なくなると思えるのです。
怒るのにもエネルギーを使います。
ずーっと怒っている人、すごいなと思う位、体力が要ります。
ただでさえ疲れやすく回復しにくいギラン・バレー症候群後の身体。
体力をどう使うか、も自分で考えたいと思うのです。
負の感情で満ちる時間をなるべく減らして、
良い方に変わるきっかけを探したい。
月は、自分が歩いているとついてくる
暗くなってから歩いている時、父にそう言われました。
見上げると、確かについてくる気がして、
どうしてなんだろうと、ちょっと怖くなったり。
でも夜空に光る月は、暗闇を和らげ、安心感をくれました。
見守ってくれているんだなと思いました。
人間関係も同じ。切りたくても完全には難しく、
自由気ままにと言っても限度があります。
守らないといけない節度があったり、ストレスも溜まりがち。
好意的に感じていた人の悪い面を見ると、その分ガッカリ感も
強くなりがちですが、とりあえず一周。
視点を変えてみたり、離れてみて再度満月の日が来るか
様子を見たりして、上手くやっていこうと思います。
恐らく周りの人も、自分に対してそうでしょうから。
夜空で変わらずいるのに、見上げてもらえなくなったら
それはもう、寂しいと思うのです。
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