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【理転】広島大学情報科学部編入体験記

1.初めに

 広島大学情報科学部の編入試験に合格をいただいたので、その体験記を僕も書いてみようと思います。
 
 先に言っておきますが、自分の場合ほかの合格者の方とは状況がかなり違う気がします。どちらかと言えば「こういう奴もいるのか」と、「自分は今、エッセイを読んでいるんだ」という心持で、広大を受ける予定のない人でも気軽に読んでいただけると嬉しいです。

2.僕のプロフィール

・愛知の公立高校で文系選択(数学はⅡB止まり)
・同志社大学社会学部 入学
・「統計検定2級」、「JDLA Deep Learning for General 2021#1」 所持
・TOEIC IP 825点
・広大編入を決意したのは6月12日    (試験は7/31)
・広島大学情報科学部 単願      (数学&C言語)


 ここに、「ほかの合格者の方とは状況が違うかも」といった理由がすべて入っています。僕は

「純文系大学生」で「期間約2か月」で「完全独学」で「理系型試験挑戦」


という、今思い返してみてもありえない状況での勝負でした。


3.受験理由 (興味ない方はとばしてください)

 初めは、同志社の中で転学部をしようとなんとなく考えていました。そのきっかけは2つありまして、「統計学、機械学習系統に興味をもった」「文系科目は自分に合っていない、理系にしておけばよかった、とずっと思っていた」です。  


 自分は受験期、文系でも確率漸化式が頻出する某大学を狙っていて(撃沈しました)、そのおかげもあって確率の分野が得意かつ好きでした。大学に入って「確率統計」という言葉を見まして、「おっ、確率か」と思い、勉強したのが統計学との出会いです。その後ベイズ統計学や機械学習手法にも興味を持ったり。そして大学2年の5月下旬、同志社の文化情報学部へ転学部してみようかな、なんてなんとなく考えていました。

 そんな中で見つけたのです。他の方の「編入体験記」です。無知な僕は編入制度すらあまり知らず、「こんなのあるのか」と感動しました。でも同時に「これは自分の世界ではない」とも考えました。当時は数Ⅲすらやったことないのですから。ただ、次第にもやもやは大きくなりまして。このまま「理系にしておけば」とたらればをはき続けるくらいなら、死ぬ気でも挑戦してみようかな。そう思い、父とも相談して6/12、ついに広島大学編入を決意しました。


 ではなんで広島なのか。初めは「TOEIC公開テストが間に合わない」というバカみたいな理由です。


 大学で英語をあんまし勉強していなかった僕は、英語資格なんて持ち合わせておらず。編入試験受験を決意したころには時すでに遅し。出願期間に間に合うTOEIC公開テストはひとつもなく・・・。かといって、他の英語試験は難易度高そう・・・。 そんな中、広島大学情報科学部はIPも可という情報を発見したのです。


 また、理系学部は高専生のみを対象としていたり、物理試験があったりと(僕は物理基礎止まり)、そもそも僕に受験資格がないような学校ばかりでした。そんな中見つけた文理融合型学部「広島大学情報科学部」は、僕に最高のチャンスを与えてくださったのです。加えて、広大には高校の友達がおり、かつ文理問わず実用的な学びができるカリキュラムにも惹かれていき、結果として広島で学びたいという思いは高まっていきました。


4.体験記

〇~5月
 
「あの頃理系を選んでおけば」という悶々とした思いのまま、興味のあった統計学や機械学習基礎、プログラミング(Python)をゆったり独学。
 この頃は数Ⅲの微積、線形代数の知識は誇張抜きに0。「eってなに?」状態。


〇5月下旬(勉強時間 0~5h/day)
 転学部を意識するように。マセマの微積、線形代数(基礎Ver.)を買ってみたり。


 その後編入試験の存在を知り、TOEIC公開テストが間に合わないことに絶望。ただ、IPを持っていればもしかしたら大学と交渉できるのかも、というわずかな望みを頼りに、5/29に初めてのTOEIC IP。765点でした。直前一週間で模試を3題解き、そこでTOEICがどんなものか初めて知りました。単語力は大学受験の際愛用した「TARGET 1900」の1500までの知識のままです。本番、書き込み不可なことを初めて知り苦しんだり、途中で腹痛のため一時退席して苦しんだり。



〇6月 (3~10h/day)
 広大編入を決意。幸い大学の授業がほぼオンラインだったこともあり、授業に割く時間を極力短くし(手伝ってもらう・授業動画を跳ばし見するetc.)、図書館で数学、C言語文法をひたすら勉強。それでも講義にかなりの時間を要する曜日があったうえ、周りには極力編入のことは隠して独学していたため、難しさや孤独感で何度も病みそうになりました。


 ただ、父が理系で色々教えてもらえたこと、理系キャンパスの所属サークル(同志社は文理でキャンパスが違う)のLINEグループや中高の理系友達に連絡をとりまくり、大学の授業で使った講義資料ファイルを送ってもらえたりしたことがすごく強みでした。みなさんありがとう。

 
 6/19に2回目のTOEIC IP。825点でした。もうこれで行こうと決意しました。勉強方法はほぼ変えていません。大学受験期の英語力が生きたのと、途中退席しなかったのが大きかったのかもです。


〇7月 (5~12h/day)
 数学はマセマをある程度回ったのち、「徹底演習」⇒「編入数学過去問特訓」の順に周回しました。情報科学部は今年から筆記が2.5hの長丁場になるので、集中力を鍛えるためにも後半は「編入数学過去問特訓」の1~7の各章(微分方程式は除く)のC問題を一問ずつ、計6問を2.5hで解くという勉強をしていました。

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 C言語は、安売りしていたアルゴリズム本を購入。しかし、この内容はあと一か月じゃ無理だと感じ、もう基礎知識だけで挑もうと投げやり思考に決意しました。
 なので勉強方法としては、Python独学で得たプログラミング知識を頼りに、「英語を日本語に翻訳する」ようなやり方でC言語文法を短期学習。その後ネット上の練習問題をvscodeで解きまくるという、頭のおかしいやりかたでした。皆さんはしっかり計画的に勉強してくださいね。


 同時に面接練習もスタート。Word10枚分の原稿を作り、毎日休憩時間に口パクしていました。また、学部の友達、アルバイトの友達に練習に付き合ってもらったり、話し相手になってもらったりしました。皆さん本当にありがとうございました。あの時直接話せてなかったら、応援してもらえてなかったら、確実に途中で心が折れていました。


 そんなこんなで、授業はほぼ投げやり、期末レポートも急いで片付けてひたすら編入勉強の毎日でした。サークルもいかず、バイトも7月分でやめたため、最後の方はとにかく孤独で辛かったですね。



〇受験前日
  今出川⇒京都⇒広島⇒西条と一日かけて移動し、西条駅近くの東横インに泊まりました。夕方、広大の友達2人と再会。友達の運転でお好み焼き屋さんへいったり、広大に下見に行ったりして、ほどよくリラックスできました。
 広島大学を受験される方は、前日西条駅周辺で泊まり当日は西条駅からのバスで行くのがよいかもしれません。 



〇受験当日

 率直に「落ちた」と思いました。

まずは筆記試験。
大問1、3つの小問の中にまさかの微分方程式。「ここ出題範囲なの」と焦る。とりあえず二回不定積分しておきました。
(※微分方程式の基礎を一通り勉強し終わった今ならわかります、完全にこれではアウトです💦  yは定数ではありません。。。)

大問2、双曲線の方程式の学習を飛ばしていた僕は、問題を見てグラフの概形を想像できず大慌て。変換行列が-π/6の回転行列だったことにさえ気づけず。小問2をラグランジュでごり押したところ、なぜか虚数が出現。悲惨でした。

大問3,4はおそらく完答。おそらく。

大問5もなかなか悲惨。難易度以前に、圧倒的にC言語の勉強量が足りなかったことを実感しました。


面接はさらにひどかったです。
いきなり受験番号を間違えた気がするのです。ただ、緊張しすぎて確かでないので、真相は闇の中です。


そこからは志望動機の後、統計学・機械学習についての質問攻めでした。G検定を受けていたので、機械学習の概要については勉強していたつもりでした。ただ、如何せん半年前のことで記憶が飛び飛び。加えてそんな質問が来ると思っておらず、終始あたふたしてしまいました。Word10枚分の苦労が...。



〇合格発表
 合格発表までの期間がとにかく不安でした。面接での失態に加え、筆記試験のケアレスミスに気づいてしまい、受かる気がせず。そんな不安を払しょくするため、とにかく自分の好きなことをしようと駆け回りました。おいしいものを食べたりマンガを読んだり旅に出たりして、当日までなんとかしのぎました。

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 そして発表当日、自分の番号を発見しました。今回「嬉し涙を流したい」という目標をひそかに立ててやってきていたのですが、見た瞬間は驚きが圧倒的に上回ってしまい、それはかないませんでした。その後友達や家族に伝えたことで初めて実感がわき、「やってやったぞ」といううれしさがこみ上げてきました。


5.振り返って

こうして当時のことを文章に起こしてみると、勝因として以下のようなものがあったと感じます。


・長く独学していたため、確率統計に強く、プログラミングや機械学習手法も基礎は独学していた
(体験記を読ませていただいた限り、他の方は統計学に苦戦されていたようです。その分自分は他の分野に苦戦しました)


・数学が高2冬頃からずっと好きであった
(数Ⅲ~大1までの数学を短期間で独学できた最大の要因)


・大学がほぼオンライン授業で、時間をフレキシブルに使えた
(対面授業は2週間に1回というスケジュール。後期こそは大学に行きたい)


・「自分を変えたい」という気持ち
(やみそうなとき何度も自分に言い聞かせました)


※SUPER BEAVERに出会えた
(「閃光」「嬉しい涙」「ひなた」を何度も聞きました。みなさんもぜひ)


 これを読んでくれている方の中に「何かに挑戦してみたいけど自分には無理そうだ」という思いを持っている方がいらっしゃるかもしれません。そんな方々が僕のこの体験記から何か前向きなものを得てもらえたら、この4500字オーバーの体験記も書いた甲斐があるものです。

 
 ただ自分も、社会学部の単位はほとんど引き継がれないため、むしろここからが本当に大変な時期になると感じています。一緒に頑張っていきましょう。そして同じく広島に入学される予定の皆さま、よろしくお願いいたしますね。


 最後に、面接対策に付き合ってくれた皆さま、僕の弱小メンタルを支えてくれた皆さま、受験・入学を認めてくれた父母には本当に感謝しています。ここで改めて感謝の意を述べさせていただきます。

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 こんな形で、このエッセイのような編入体験記を締めさせていただきます。最後までお付き合いいただきありがとうございました。



 それでは!


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