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【江戸ことば その11】嬶左衛門(かかあざえもん)
≪ 2011年、Facebookへの投稿 ≫
講談社学術文庫の『江戸語の辞典』(前田勇編)は1067ページもある大著で、約3万語を収録しています。
私は4年前(注:2006年秋)に「端から端まで読み通してみよう」と一念発起し、4か月半かけて何とか通読しました。今も持ち歩いては、「江戸の暮らしが目に浮かぶ言葉」「現代語の知られざる語源」「色っぽい言葉」を楽しんでいます。
1日に1語程度、ツイッターで紹介してきた江戸語を、Facebookのノートにまとめて採録してみます。
なお、カッコ内は私の感想・コメントで、編者の前田勇さんとは関係がありません。
「嚊左衛門」(かかあざえもん)
人妻のすでに年功を経、
亭主をも恐れざるに至ったを、
戯れに擬人化していう称。
(…妻をも恐れぬ、編者の大胆な語義解説。ほかに嚊大将、嚊大明神なんて例もありました)
文例・安永元年(1772年)
「入り婿は嚊左衛門にてくらし」
2011年1月22日 Twitter投稿
いつの時代も同じだなあ、と思わせる言葉。しかし、「年功を経る」とは、亀や大樹に使うような形容ではないでしょうか? それを妻に使う。そんな勇気は、ありません。
手拭いを喧嘩被りに覆った蓑介を見て、佐吉は笑いを噛み潰した。
「またかよ、蓑」
かかあにやられ放題の蓑介のことを、憐れまない店子はいない。どうせ、また叩かれ、こめかみあたりに青痣を付けたのに違いない。
「うるせえ」と佐吉は吐き捨てたが、視線は下を向いたままだ。
「うちの嚊左衛門、年経るごとに強くなりやがる」
佐吉はとうとう笑い出した。
写真は去年8月、実家の縁側で、私が撮りました。
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