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【江戸ことば その4】酒錆(さけさび)

≪ 2011年、Facebookへの投稿 ≫
講談社学術文庫の『江戸語の辞典』(前田勇編)は1067ページもある大著で、約3万語を収録しています。
私は4年前(注:2006年秋)に「端から端まで読み通してみよう」と一念発起し、4か月半かけて何とか通読しました。今も持ち歩いては、「江戸の暮らしが目に浮かぶ言葉」「現代語の知られざる語源」「色っぽい言葉」を楽しんでいます。
1日に1語程度、ツイッターで紹介してきた江戸語を、Facebookのノートにまとめて採録してみます。
なお、カッコ内は私の感想・コメントで、編者の前田勇さんとは関係がありません。

「酒錆」(さけさび)

アルコール中毒で鼻の頭が赤くなっていること。

(…「錆」に飲み助を非難する語感あり)

文例・天明7年(1787年)
「酒さびにて鼻の先赤く」
2011年1月11日 Twitter投稿

わびさびのさびは、「寂しい」のさびでしょうか。
でも錆は、「錆ついている」というように、あまりいい語感はありません。
昔は、鼻の頭に血管が浮いているおじさんがよくいたような気がします。高血圧で、酒好きで、やたらと声が大きい。
祭りの時には、神輿を担いで、山車に乗って太鼓を叩き、一休みとなると道端で酒をくいくいと空け、食事を出すのに忙しい女性たちに卑猥な声をかけ…。うんざりするような呑み助のおじさんたち。今はもう、みんないなくなりました。
過疎の村では、祭りも無くなってしまいました。

何も口にしねぇで半升も空けちゃぁ、まともに立っていられんめぇ。
このところ親方は、いつもこうだ。
またも呼び出された庄吉は、うんざりしながら、道端で寝込んでしまっている親方を見下ろした。
鼻は酒錆、粋だった昔の面影はもうない。

写真は、また村おこしで当時植えていたひまわり。
群馬の古里は、湿気の多い谷で、山がけぶるのです。
2009年、父撮影。

4ひまわり


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