金銀パールプレゼント

٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

森の中をきこりが材木にする良い木を探して歩いていた。手には鉄の使い込んだ斧。どんな太い幹にもチャレンジし倒してきた斧だ。
今日は良い天気だ。木を切り倒すには良い日和だ…きこりは空を見上げてしまった。
ここは森、木の根につまずき斧はきこりの手から離れ、川に落ちていった。
ああっ…。
強い強い川の流れがきこりの目にうつる。
目から涙が溢れてきた。

それを見かねた川の神。
「オマエが落としたのは金の斧、銀の斧、どちらかね?」
「金とか銀とか弱っちょろい金属じゃねー!土佐の巧みのもう引退した鍛治師のプレミアムな一品を返せー!」
川の神は静かに沈んで行った。あたりはしんと静まり返って行った。

(^.^)

森の中を一人の主婦が歩いておった。手にはスーパーの買い物袋。天気が良いわ。帰ったらお布団干そう。
そんな事を考えながらだから木の根につまずいた。「ああっ!!」
甲高い悲鳴が川に響き渡ったが、もちろん買い物袋は川に落ちていった。
その悲鳴に突き動かされた川の神。
「お主が落としたのは、金のスプーンか銀のスプーンか…」
「うちの子はねぇっ!銀のスプーンは食べないのっ!シーバよ、シーバ!」
「正直者よ、金のスプーン銀のスプーンシーバ全てあげよう」
「話聞いてないわねぇっ!シーバって言っているでしょう!シーバだけでいいのよ!」
川の神はシーバのみを残して静かに沈んで行った。

(^^)

森の中を水戸光圀の御一行が通っていた。天気はもちろん良く、森の光景に皆、見とれていた。次の国ではどんな困難が待ち受けているのか。この印籠でひれ伏してくれよう。水戸光圀は妄想に微笑んだ。
「ああっ…」
そんな悲鳴とも呻きとも区別出来ない声を上げて、助さんが川に転がり落ちる。これは骨の一つでは収まらぬくらい折れている。イヤ、死んでしまうかもしれぬ。
「格さん、助けておあげなさい!」
「ははっ!」
川に飛び込まれては困ると思った川の神。格さんの体を飛び蹴りをくらうようにして止めた。
「ぐふっ、オマエたちが探しているのは金の助さんか銀の助さんか」
汚いものにうっかり触ってしまったというように手を川で洗い水戸光圀を振り向いた。
「ご隠居、この薄汚れたジジイの言うことを信じてはいけませぬ!」
「助さん、助さんをどこへ隠したのです!」
「この紋所が目に入らぬか!」
変な勢いにひるんだ川の神。金の助、銀の助、普通の助を残して逃げてしまった。
「ご隠居こんな申し訳ないことに…」
「ご隠居こんな申し訳ないことに…」
「ご隠居こんな申し訳ないことに…」
色が異なる助さん達はハウリングが起こりそうなくらい声を被らせながら謝った。
こうして、三人になってしまった助さんを見た格さん。
「私も三人になりまして、戦隊モノをやりたい」
そんな事を言い川に飛び込みそうになった。それを肩をむんずと掴んで止めたのは由美かおる。(篠田麻里子ではない)かおるの手の力の案外強いことよ。
格さんはバンドだって出来るのに…と下唇を噛み締めた。

突然、人数の増えた水戸光圀の一行。峠の茶屋で風車の弥七がついうっかり川に落ちて金銀パールと三色になった三人の八兵衛の相手をしているのはまだ知る由もなかったのであります。

大所帯になった御一行がこの世の悪をばっさばっさと成敗して歩いたと言うことでございます。

とっぴんからりんしゃん。

#小説

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