プレゼント

クリスマスに私に負けないくらい大きいテディをサンタさんがベッドの横に置いてくれた。栗毛色の目が黒く世界を写しているテディ。私はテディをもちあげてベッドに座らせて赤いリボンを首につける。やって来てくれたお友達。これで24時間寂しくはなくなる。

ご飯を食べる時も勉強する時も一人きり。テレビはボリュームを上げるとたまに帰ってきたママが怒鳴り散らした。寝る時なんてベッドの中でジッとお布団が温まるの時間が長くて感じていた。

寝間着から着替えて外をテディと散歩しよう。ありったけのキャンディと床に散らばったお金を拾い集めて。

台所のシンクには何日も洗ってないお皿がグチャクチャに積み上げられていた。冷蔵庫にはオレンジジュースしかもう入っていなかった。

「ママ」とちょっとつぶやいてテディをギュッと強く抱きしめた。もうたまに帰ってきてほっぺたやお腹を殴ってりするだけのママなんていらないから。
買い物袋にたくさん食べ物だけ置いて家を出ていくママなんてどっかに行って。

ポッケからキャンディを取り出して口に放り込む。風が冷たいけど。

私はテディと生きていきます。
遊園地のコーヒーカップに二人でぐるぐる回る。
愛って、そーゆー事でしょ?

#小説

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