見出し画像

中央線一家

阿佐ヶ谷はきっと高円寺のお姉さんだと思う。
なんとなく、ちびまる子ちゃんのお姉ちゃんみたいなキャラクターで、しっかり者だけれどどこか間抜けなところもある。

高円寺は言わずもがなやんちゃ坊主だ。
小さい頃は坊主頭で10円ハゲがあった。
小中と野球をやっていたけれど、高校にあがるときに「坊主がいやだ」という理由でサッカー部に入るに違いない。

高円寺がギターを弾けるのは、荻窪お父さんから教えてもらったから。
エレキではなくてアコギで、桑田佳祐をよく弾いている。
荻窪お父さんは大学のころジャズ研に所属していて、キーボードも弾ける。

お父さんが三鷹お母さんと出会ったのもそのころだ。
ジャズ研の同期で、年は浪人していたお父さんの方が一つ上だったけれど、飲みの席で鍛高譚のソーダ割りが美味しいという話で意気投合して仲良くなったらしい。
2年のころに付き合って、お母さんが卒業する時に一回別れちゃったけれど、その3年後に復縁したそうだ。

兄弟のいとこにあたる中野さんには、最近東中野さんという意中の人がいるらしい。
ミニシアターのデートによく行くらしくて、オタク趣味もだんだん冷めつつある。
かくいう東中野さんは大久保くんからのつれないアプローチにも惹かれてしまっている。
どちらかを選ぶことができない自分があまり好きになれないけれど、モテていることは純粋に嬉しい。

それにしても国分寺おばあちゃんは本当に長生きだなあとつくづく思う。
いまだに毎日の喫茶店通いを続けていて、よく銭湯にいく。
すごく高い服を着ている日もあれば、それどこで買ったの?と言いたくなるようなオンボロの古着を着ていることもある。
そして彼女はよく本を読む。

といったようなことを、今日は新宿おばさんの家に仕事に行く時に考えていた。


おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?