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013 そして、梅雨

 日曜日から、毎日、雨が降っている。
 この降ったりやんだりが、一週間先まで続くらしい。本格的な梅雨の到来である。

 ついに来たか、という心境。
 金沢に引っ越してきてから、この時期のために、いろいろ準備してきたのだ。撥水加工のパーカ、全天候型の登山靴も買った。除湿剤の買い置きも十分。ふふん、梅雨よ、かかってきなさい。

 わたしは、北海道出身なので、実は、梅雨というものを大人になるまで、体験したことがなかった。

 はじめての梅雨は、新婚のころに住んだ千葉。
 
 子どものころに観た、『クレヨンしんちゃん』や『ちびまる子ちゃん』の梅雨エピソードのとおり、空はどんより鈍色で、毎日雨、雨、雨。

 漫画やアニメでは、梅雨は、じめじめ、むしむし、イライラばかり取り上げられているけれど、意外に寒いんだな、というのがそのときの印象。
 梅雨寒、というやつである。衣替えしたばかりだったけど、冬の羽織をまたひっぱりだして着ていた。
 この間までいた東京も、千葉と似たような感じだった。

 北陸の梅雨は、関東とちょっと違う。
 そんなに寒くないけれど、風が強い。
 ダーーーっという雨音のときは、強い風が、ビュービュー聞こえ、窓がガタガタする。これじゃあ、傘の意味ないだろうな、という感じの横殴りの風だ。
 この雨はまいるけど、穏やかな雨の方が多いので、よかったと思う。

 穏やかな雨の、ぱらぱらという雨音は、なんだか心地よい。リラックスできる。
 梅雨の時期は、洗濯物をため込まないようにしたり、買い物に行くタイミングを見計らったりと気を遣うけれど、雨の音は好き、という人は、けっこういるんじゃないかな。
 わたしと同じで、梅雨の休日は、無理して出かけず、雨の音を聞きながら、ホットティーでも飲んで、まったり読書タイムをしたい人たちが。

 この前ドラッグストアへ行ったとき、普段、買わないヘアスプレーのコーナーでなぜか足が止まったのは、湿気のせいかと、これを書いていて思い当たる。
 最近の湿度は、日中、八〇%近くまで行く。先月とくらべて一〇%も高い。そのせいか、頭のてっぺんにあほ毛が、ぴょんぴょん立つのが気になっていた。どうも髪のまとまりが悪い。

 かかってこい、などと威勢のいいことを言ったが、わたしはアホ毛の対策も満足にできない、梅雨ビギナーなのである。


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