不動産投資のお話 -タワマン節税封じ
タイタンの金澤幸雄です。
近年、富裕層を中心に絶大な人気を得ているタワーマンションは、不動産の中でも資産価値も高いとされる物件のひとつです。特に高層階は夜景などの眺望の良さや日当たりの良さ、プライバシー確保のしやすさなど、他の住居にはないメリットが多くあります。こうしたタワーマンションの購入によってできる相続税対策はタワーマンション節税(タワマン節税)と呼ばれ、注目を集めています。
タワマン節税とは、タワーマンションは購入金額に比べて相続税評価額が大幅に低くなる、というタワーマンションの特性を生かした節税のことを言います。
ご存じのとおり、タワーマンションは数百戸の住居を擁する大規模マンションです。同じ戸数で低層マンションを建てようとするとかなりの敷地面積が必要になりますが、タワーマンションは縦に積みあがっているため、同じ規模の低層マンションよりも敷地面積が少なくて済みます。そのため、一戸あたりの土地の持ち分が小さく、相続税においての土地の評価額を抑えることができます。また、高層階ほど眺望やプライバシーなどのメリットがプラスされるために市場価格も高額になる一方、相続税においての土地の評価額は低層階と同一のため、市場価格の乖離が大きくなるのです。
このような税の仕組みをうまく利用したタワマン節税が近年横行しており、国税局はその対策のひとつとして相続税評価額の算定ルールの見直しを決定し、2023年6月にマンション評価額の新しい計算式を公表しました。2023年8月現在、だいたい市場価格の4割前後とされている相続税評価額を、戸建てなどの評価額水準と同程度(6割)、あるいはそれ以上まで引き上げるというもので、順当に進めば、2024年1月から運用が開始される見込みです。
実は、国税庁の「タワマン節税封じ」は今回が初めてではなく、2017年にもタワーマンションの階数によって固定資産税に格差を設ける、つまり、タワーマンション高層階の固定資産税を増額する、という税制改正が行われています。しかし、この改正は固定資産税などへの対策であり、タワマン節税の主な目的である相続税に関しては税制が強化されていませんでした。今回の見直しでは、税負担の公平性という観点から、高層階ほど得をする仕組みと言わざるを得ない現行の相続税制を改正し、実質的にタワーマンションの相続税評価額を上げ、タワマン節税の封じ込めを図り、不公平感を減らすのが狙いです。
金澤幸雄
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