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不動産投資のお話 -不動産業界の、「2020年問題」

金澤幸雄です。

電通やエイベックスなどの大手企業が、コロナ禍で売上が減少したために保有していた本社ビルなどの不動産を売却するケースが増えています。

しかしその一方で、売り上げがさほど下がっていない企業も、価格が下落する前に不動産を売るケースがあります。不動産業界の、いわゆる「2020年問題」です。

2020年問題とは、東京五輪・パラリンピックの開催後、増えすぎたホテルやオフィスビル、マンションの需要が落ち込み供給過多となり、空き物件が増え、地価下落を招くというものです。

実際は新型コロナウイルスの感染拡大により1年延期されて「2021年問題」となり、下落が始まるのは2021年の秋以降ということになりそうです。

東京の不動産の価値は、アベノミクスの効果も影響して2013年から湾岸エリアを中心に上昇傾向にありましたが、オリンピックが終わればその湾岸エリアのマンション物件の価格が下落することは避けられないといわれています。

世界に目を転じると、2020年の不動産取引額は、コロナの影響により前年と比較して3割も減りました。中国マネーが動かしていたという海外の不動産バブルも、そろそろ新たな局面に入っていくでしょう。

そんな中、2021年の東京都内の公示地価が8年ぶりに下落に転じていると報じられました。

潤沢な資金がありながらも、コロナ禍でその使い途をなくしていた中国の超富裕層たちは、地価下落とコロナの収束のタイミングを見据え、日本の不動産をふたたび「爆買い」することも十分考えられます。

なぜ日本の不動産は中国人に好まれているのでしょうか。

第一に、中国では、土地は基本的には政府のものです。そのため、いつどうなっても保証されるとは限らないのです。中国人の富裕層は、中国国内の不動産投資も一応行いつつ、外国人であっても自由に売買ができる上に永久的に所有することが約束されている日本の土地に、自国の土地にはない魅力を感じているのです。

第二に、中国では戸籍による格差が根強く、いくら都市部に住んでいる富裕層でも、その人がいわゆる「農村戸籍」であれば、「都市戸籍」を持つ中国人と同じ行政サービスは受けられません。そんな「中国の都市部に住む農民戸籍の富裕層」は、将来的な日本移住を視野に、比較的価格の安定している日本の不動産を購入するのです。

そういった海外の動向もウォッチしつつ、時流に乗った適切な投資タイミングの見極めが今後より重要になっていくと考えます。


金澤幸雄

Photo by FLY:D on Unsplash

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