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#社会

マックス・ウェーバーについて

今回はウェーバーの入門書である、野口雅弘『マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家』を読んだ。その感想を記す。特に、読み込むのに大切なイメージをまとめたい。 (なお以下の引用はKindleより。「l.」はロケーションの略。) ウェーバーのキャリアがどこの時点からスタートしたのかについてから考え始めたい。彼の研究の特異点は父親の死ではないか。そこから彼の思想的な軸が開花してきたのではないか。 父親の死を契機として出てきたウェーバーの病が、彼にある考えをもたらしている。それは

腐ったさよならの土地で生きよ

はじめに僕らは今回『ロビンソン・クルーソー』ものとして『蝿の王』を選んだ。 『蝿の王』(以下「蠅」とも)はウィリアム・ゴールディングによって1954年に書かれた。『ロビンソン・クルーソー』が1719年だから235年の時間の開きがある。235年。人間で言えば当時の感覚から考えて4世代ぐらいだろうか。隔世の感がそこかしこに見える。 まずクルーソーでは一人で無人島に行き着くが、蝿では何人もの少年たちが同時に行き着く。少年たちが船だけでなく飛行機を含めて経済的に渡航可能となった。無