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2024年4月の記事一覧

言語との情事――ナボコフ『ロリータ』

作家ウラジーミル・ナボコフは、自身の小説『ロリータ』を、「私と『英語という言語』との情事の記録」であったと振り返りました。 ここでは、そのナボコフの一節をこねくりまわすことで、はじめて『ロリータ』を読んだ(そして読み切れなかった)感想の代わりとしたいと思います。 「情事」というワードが意味するものが、主導権を握り握られ、支配することが服従することであり、服従が支配であるようなシーソーゲームであるなら、「言語との情事」という表現は『ロリータ』にぴったりです。 語り手ハンバート

ナボコフ『ロリータ』

unigakikoeruです。かなめくんと信濃さんがやってるToughという読書会メンバーに入れてもらいました。いぇい。 さて、今回はナボコフの『ロリータ』です。これは僕が提案しました。なんで『ロリータ』なのかを書いてたら長つまらない文章ができたので、一番最後に置いておきます。これも後述するんですが、今回は読解というよりは、プリミティブな感想を書いていこうかなと思います。 ①語り手の自己主張が強い 『ロリータ』はハンバート・ハンバートという男の手記の体裁をとっています。