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今日のOK明日のNG


これは蜷川幸雄さんが稽古場でよく仰っていた言葉です。

舞台の上では、演出、演技が進化すれば見え方が変わるので、
それにあわせて今まで良かったものが明日はだめになることもある、ということだと思います。

蜷川実花と働いていると昨日までOKだったものが今日NGになる、ということが度々あります。

で、僕は「昨日OKって言ったのに、もう進めてしまったよ、変更するの大変だなあ(泣)」という気持ちが、一瞬芽生えてしまうことがもちろんあります笑

ただ、『蜷川実花』が見えている世界の広さと『僕』が見えてる世界の広さと高さが違うと思うんですよね。

意外に思われるかもしれませんが、蜷川は他者のアドバイスや意見を積極的に取り入れます。各スタッフから良い提案があった場合「それいいね」と取り入れることでプランが一瞬にして変わることもよくあるのです。

『蜷川実花』の位置からしか見えない世界があって、そこに対応するために昨日までのやり方を変える、様々な意見を取り入れる。それは気分の問題ではなくて対応の柔軟さ。

その判断による結果を僕は間近で経験してきたので、蜷川が考えを変えて「あ、前進したな」と思えます。

僕には見えていないであろう世界のサイズ、その誤差を想像力と経験で埋めていく、というのが僕の中で大事にしていることです。

それが「アーティストに寄り添う」ということになると思います。

アーティストに限らず作家や突き抜けている経営者のそばで働いている人たちは同じようなことを考えているのはないでしょうか。

ちなみに僕は昨日何を言ったかすっかり忘れて全然違うことをスタッフに言ってしまうことがあり、これは前進どころか後退しておりますので、素直に謝って許してもらっています(事務所スタッフ、いつもホントすみません)。

金谷



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