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杉山久子の俳句を読む

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俳人の杉山久子さんの俳句を不定期に一句ずつ鑑賞します。 【プロフィール】 山口市在住。「藍生」「いつき組」所属。山口新聞俳壇 選者。俳句甲子園地区予選審査員。 1997年 第三…
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#蟻

杉山久子の俳句を読む 23年06月号②

珈琲におぼるゝ蟻の光かな(句集『泉』所収)  蟻はさまざまな俳句で溺れてきた。まず、これまで詠まれてきた溺れっぷりをいくつか見ていきたい。 ほとけの水に溺るゝ蟻を出してやりぬ 林原耒井  おそらく墓石の手前にある窪みの水受けに溜まった水だろう。他の水ならば救わなかったのかもしれないが、正に仏心か。 閼伽桶に溺るゝ蟻を吾れ見たり 森田峠  「閼伽桶」は仏に供える水の器である。殺生を禁じる仏教の観念から見ると、仏のために蟻が溺れているような矛盾を錯覚する。 打水や溺るる蟻