【愛媛・道後温泉】ヒストリカル温泉道修行の旅(中編)
ヒストリカル温泉道初段を目指して松山にやってきた。
道中、八幡浜でネイティブ達の伊予弁会話を盗み聞きしたり、愛媛県民のみかん愛にカルチャーショックを受けたりした。
そして無事にご当地フォルムカードをGETした私は
いよいよ日本最古の温泉・道後温泉へ向かうことに。
↓前編はこちら
松山のソウルフード「鍋焼きうどん」
松山のソウルフード「鍋焼きうどん」。
鍋焼きうどんはこの旅において道後温泉、ご当地フォルムカードの次に大事な目的だった。
松山を代表する鍋焼きうどんのお店といえば
「アサヒ」と「ことり」だけれど、
私はその2店だけは絶対に行きたくなかった。
私の性格はかなりひねくれているので、
人気のあるお店にはどうも行きたいと思わない。
それに私の地元でもそうだけれど、
観光客に人気の店というのは大体地元民からの評判はそこまで良くない。
ということで私は例の2大鍋焼きうどん店ではなく、
いよてつ髙島屋の地下にある老舗のうどんチェーン「かめや」に行こうと決めていた。
しかし実際かめやに行って、
入り口のメニューを見てみると大きな誤算が。
鍋焼きうどんの「鍋」が土鍋だったのだ。
「アサヒ」と「ことり」には行かないと言いながら私の頭の中では「鍋焼きうどん=アルミの鍋」という公式が出来上がっており、土鍋の鍋焼きうどんというのがどうしても受け入れられなかった。
観光客のくせに生意気だと思うけど、私は変な所でこだわりが強い。
ということで髙島屋を後にして、
鍋焼きうどんを求めて松山銀天街を歩いてみることにした。(余談だけど「銀天街」という名の商店街は至る所にある気がする。もちろん別府にもある。)
おしゃれなスイーツショップや昔からあるであろう文房具屋(ここでもポストカード買った)はたくさんあったけど、なかなか鍋焼きうどんの店がない。
空腹はそろそろピークだ。
この日は気温も高かったし、炎天下の中空腹で歩き続けるのは熱中症のリスクがある。
それに何かイライラしてきた。私はお腹が空くとイライラするタイプの人間だ。
空腹に負けた私はこだわりを捨てて、
現在地から一番近かった「ことり」に向かった。
味のある引き戸を開けるとお店のお姉さんがすぐに来てくれて「何名様ですか?」と聞かれたので
私が「1人です」と答えると、
「あちらの席でもいいですか?」と店の奥を指差した。
その席は小さな席だった。
学校の教室にあるあの机を、2つ並べたくらいの大きさのテーブル。
それが店の角っこにぴったりとくっつけてあった。
しかも私が座ると壁と向かい合うことになるような向きで。
椅子は一応2つ並べてあるけれど、
大人が2人で座るにはちょっと狭い。
大人が1人で座り、横の椅子に荷物を置くとちょうどいいくらいだ。
私はこの席を見ただけで心が踊った。
「ワアアアア!ここまで痒いところに手が届くおひとり様専用席は初めて!!!」と心の中で叫んだ。
写真を撮らなかったのが本当に悔やまれる。
有名店には行きたくないとか思っていたくせに、
うどんを食べる前に「ことり」に対する好感度が爆上がりした。
しばらくするとさっきのお姉さんが来て、
「おうどんだけでいいですか?いなりは?」と聞かれた。
このお店は鍋焼きうどんといなり寿司しかメニューにないのだ。
私は全部食べ切れるか不安だったので、
とりあえずうどんだけを頼むことにした。
途中で地元の人らしきおばあちゃんが1人で来店し、慣れたように「おいなり1つ」と注文して席に着いた。
その後、観光客らしき男女4人組の若者グループが来店。金髪の若い男性が「ノンアル下さーい」と言うと、お店のお姉さんは怪訝そうな顔をして「置いてませんね〜」と言った。
このお店には本当に鍋焼きうどんといなり寿司しか置いてないのだ。
観光地では普通私のようなひとり者はどうしても目立ってしまうのだけれど、このお店ではノンアルの若者たちの方が少し浮いているように見えた。
ひとり者に優しい貴重なお店だ。とても居心地がいい。
しばらくすると、アルミの鍋が運ばれてきた。
さっそく蓋を開けようとするけれど、蓋がくっついてなかなか開かない。
(味噌汁のお椀の蓋がなかなか開かないのと同じ現象)
鍋の取手を持って蓋を開けようとしたけれど、
アルミなので取手が熱くて持てない。
リュックからハンカチを出そうとすると、
お店のおばちゃんが飛んできて「開けますよ!」と言って蓋を開けてくれた。
細切りの油揚げに甘辛く煮た牛肉、
かまぼこ、ネギ、それに薄い卵焼き。
見ただけでウワア〜!と声が出そうなビジュアル。
私も自分でうどんを作ることはあるけれど、
冷凍うどんを煮て卵を落としただけのものが多い。
こんなに具沢山で彩りバツグンなうどんを見ると嬉しくなる。
スープを一口啜ると、ほんのり甘くて出汁が効いていた。飲み干してしまいたいくらい美味しい。
麺も柔らかすぎず固すぎず、ちょうどいい歯ごたえ。
お腹が空いていたのもあって、するすると胃の中に入っていった。
いざ道後へ
「ことり」を後にした私はご当地フォルムカードを手に入れた後、伊予鉄のオレンジ色の市電に乗って道後温泉駅へ。
風情ある温泉街にぴったりのレトロな駅舎。
そして何気にスタバも併設されている。
神戸の異人館や鹿児島の仙巌園でも見たことがある、景観に馴染むタイプのスタバだ。
道後温泉駅の目の前の広場には
有名な(と言いながら私は道後に来るまでこの時計の存在を知らなかった)からくり時計。
決まった時間になると仕掛けが動き出すようで、
時計が動き出す時間になるとスマホを構えた外国人観光客が歩道にはみ出るほど殺到していた。
最初の目的は伊佐爾波(いさにわ)神社。
京都の石清水八幡宮、それから我らが大分の宇佐神宮とともに「日本三大八幡造り」の1つに数えられている神社だ。
心願成就や安産、商売繁盛にご利益があるので、
あんなことやこんなことをお願いしようと意気込んで向かったのだけれど、この石段を見て思わず尻込みしてしまった。
この石段の一番上に見える朱色の建物が伊佐爾波神社である。つまりお参りするためには、大きなリュックをかついだままこの石段を登り切らないといけない。
今この状態でこの気温でそんなことをしたら間違いなく熱中症で救急搬送だ。
神の御前でそんな醜態をさらすわけにはいかないので、今日は諦めて明日の早朝に行くことにした。
そしていよいよ本命の道後温泉本館にやってきた。
この写真が道後温泉本館の正面玄関なのだけれど、
旅行に行った日はあいにく工事中。
「裏にまわってください」と看板に書いてあった通りに歩いて行くと、すでに3人組の先客が。
幸いその3人組はすぐに入っていったので、
次は私が案内されるはずだったのだけれど、
気がついたら私の横に男性2人組が。
係員の方に「どちらが先ですか?」と聞かれたけれど、私も自分が先だったのかお兄さん達が先だったのか見ていなかった。
ゴタゴタするのが煩わしかったので、
私はお兄さん達に「先にどうぞ」と言った。
昔からの悪い癖だ。
揉めるのが面倒で自分は悪くないのに謝ったり、
譲る必要ないのに譲ったりしてしまう。
だけどこのお兄さん達は親切で、
「いやいや、そちらが先でしたよ」と言って順番を譲ってくれた。
私は恐縮しながら涼しい日よけの下に入り、
それから少し待って中に案内された。
中には受付があり、ここでお金を払ってから温泉に入るシステムらしい。
道後温泉本館は別府の共同温泉と一緒で、
タオルや石鹸、シャンプー等は一切置いていない。
持っていない人は受付で購入できるのだが、
訪れるほとんどの人はそこで石鹸やタオルを買うはめになっていた。(しかもちょっと高い)
私はいつも愛用している牛乳石鹸と手ぬぐいを持ってきていたので、入湯料だけ払ってそのまま温泉へ。
浴室内にいたのは私含め3人のみ。
金曜の午後だったからそんなに混んではいないだろうとは思っていたけれど、予想以上に少なかった。
別府のひょうたん温泉は韓国人観光客のツアーなんかが寄ったりするので、平日の昼間でもごった返していることがしょっちゅうあるからちょっと拍子抜けした。
道後温泉のお湯はすごくマイルドだった。
別府の松原温泉の激アツ湯に入ったことのある私からすると、ちょうどいい温度。
お湯は透明で無臭。ちょっと肌がキシキシする気もしたけれど、すごくいいお湯だった。
あまりにもいいお湯だったし、
人も少なかったからゆっくりして行きたかったけれど、ぬる湯だからと行って長湯すると最悪湯あたりでぶっ倒れてしまう。
以前温泉で一緒になったおばちゃんに、
「前に脱衣所で倒れた人がおったんよ。その人はお湯がぬるかったから、お湯から上がってはまた入るっていうのを繰り返しよったんっち。やけんあなたもあんまり長く入りすぎたらいけんよ。」と話を聞いていたので、長湯せずにさっと上がることにした。
上がった後はスタンプをもらい、
水分補給&糖分補給しにカフェへ向かう。
愛媛らしいスイーツが食べたかった私は、
事前に調べておいたカフェ「一六茶寮」さんへ。
愛媛銘菓の「タルト」と「坊ちゃん団子」にドリンクがついたセットを注文。もちろんドリンクはみかんジュース一択。
風呂上がりの乾いた体にみかんジュースが染みる染みる。
タルトと坊ちゃん団子もほどよい甘さで、ペロッと食べられた。
隣の席のおっちゃんがものすごい音を立てて何かの麺をすすってたのが若干気になったけどまあいいや。
この一六茶寮さん、
道後温泉本館の建物を一望できてとても素敵なカフェなんだけれど、残念ながら6月17日(ちなみに私の誕生日)に閉店しますとの貼り紙が。
旅行から1週間たった今ではもうきっと閉店してしまっている。
最後の最後にお伺いできてよかった。
喉を潤した私は今日のお宿「道後hakuro」さんへ。
道後温泉本館から歩いて5分ほどの所にある、
アーティスティックで素敵なホテル。
2年前に開業したばかりなので、新しくて綺麗。
さっそくチェックインして部屋で少し休憩した後、
宇和島鯛めしを食べに道後の街へ繰り出した。
後編に続く
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